無限 (岩波科学ライブラリー)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000296731

感想・レビュー・書評

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  • 「無限」という概念の、歴史や数学的扱いについて紹介した本。

    ・アリストテレスが彼の著書『自然学』において導入した実無限と可能無限。
    “そうすると、重要な問いは、「どのような意味で無限は存在するのか」である。
    それは、現実に存在するのかもしれない。すなわち、完成した物体として、なんらかの無限が存在するのかもしれない。そうではなく、つねに拡張することのできるプロセスとして、潜在的に存在するのかもしれない。しかし、それは、いかなる段階においても有限である。(p45)”
    言葉の意味としては上の引用の通りで、「実」と「可能」という文字通りであるが、そこには深い哲学的、数学的な意義が潜んでおりとても興味深い。(第3章)
    ・通常の(?)数学では無限小の概念を「任意の〜に対してある〜が存在する」という量化子を用いた形で定式化しているが(例えばε−δ論法)、実数に「無限小」を新たに添加して得られる非アルキメデス順序体を扱う数理論理学の一分野が超準解析である。僕は超準解析という言葉を知らなかったが、こういう拡張の方向もあり得そうだと感じた(実際成立している訳で何を言っているんだという感じだが)。(第4章)

     その他、第1章は無限が登場するパズル、パラドックス、第2章は無限は小学校の算数にも登場するが、非常に大きい数の謂ではないということ、第5章は無限遠直線と透視図法、第6章は光学、(古典的)重力理論、相対論における無限(特異点)、第7章は順序数、濃度(基数)の話題。

    1 パズル、証明、パラドックス
    2 無限との遭遇
    3 無限の歴史観
    4 表裏一体の無限
    5 幾何学的な無限
    6 物理的な無限
    7 無限を数える

  • 突然ですが、わたしは「男の娘」「アイデンティティ」などの概念を理解するには無限に関する理解が必要だと考えています。
    自分とはなにか、何故自分を自分だと思うか、は各事象に対する価値観を足し合わせたものになるからです。しかし、現実には事象は(まだ現れていないものも含めて)無限に目の前に現れてくるので、これは無限和になってしまう。そこで、無限とはなにか?が問題になってくるわけです。

    前々から無限フェアをしようと思っていたのですが、なかなか取り組む機会がなく…(いいわけ)
    ということで第一弾は岩波科学ライブラリーです。

    内容は、無限に関するトピックを次々に繰り出すという感じで、既に他で触れていないとこの本での理解は難しい。全体をレビュー的に捉えた本、という位置づけでした。

    ではまた、

  • 無限とその周縁を語る本です。哲学、宗教、芸術、宇宙、パラドックスなど幅広い話題を取り扱っているため数学本が好きな方以外も楽しめます。

  • 「無限とは起こらないことが起きる場所である」

    無限に続く直線と有限な円

    初期の神学者の考える神の有限な力による完全性と不完全な無限


    文学的な要素のある無限は面白い。数学的な話の部分は難しくて自分にはよく分からないので流す

  • #ようこそ「科学沼」へ

    金沢大学附属図書館所在情報
    ▼▼▼▼▼
    https://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB26086024?caller=xc-search

  • 図書館で借りた。
    無限にテーマを絞った1冊。高校2,3年生で初めて極限を習ったあたりで、「イマイチ意味分からん」な人には丁度良いレベル感な本だ。内容も非常に丁寧で、何なら中学生にだって読み進められる。
    一部宗教的な話もあったが、基本的には中高生の「無限って何なん!?」に対するアンサーブックと言って良いかと思う。しっかりと理論立てられているが、そこまで複雑にはならない。
    また、さまざまな無限に向き合うのもこの本の特徴だ。単純に計算的な意味での無限はもちろん、幾何学的、物理的などなど、「あぁ~、それも無限だね」と頷きながら読み進められる。

  • 原題:INFINITY: A Very Short Introduction(2017)
    著者:Ian Stewart (1945-)
    訳者:川辺治之
    定価:本体1,500円+税
    通し番号:273
    刊行日:2018/05/18
    ISBN:9784000296731
    仕様:B6 並製 カバー 174ページ

    哲学者・物理学者・数学者を魅了し,悩ませ続けた無限.なくてはならない概念であると同時に,ひとたび取り扱いを誤ると,とんでもないパラドックスに陥ってしまう.正しそうでもあり間違ってもいそうな9つの例を考えながら,無限の本質に迫る.算数レベルから解析学・幾何学・集合論まで幅広い話題は,数学通も必見.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b358683.html

    【目次】
    1 パズル,証明,パラドックス 001
    2 無限との遭遇 015
    3 無限の歴史観 031
    4 表裏一体の無限 061
    5 幾何学的な無限 081
    6 物理的な無限 103
    7 無限を数える 117


    【目次】
    コロフォン [ii]
    題辞 [iii]
    はじめに [v-xii]
    目次 [xiii]

    1 パズル,証明,パラドックス 001
    無限に関する9種類の主張 001
      最大の数
      正方形の対角線
      円の面積
      電灯のスイッチ
      袋の中の玉
      1/3の小数表記
      平方数と自然数
      ヒルベルトのホテル
      グランディの無からの想像の証明
    解答と注釈 007
      最大の数
      正方形の対角線
      円の面積
      電灯のスイッチ
      袋の中の玉
      1/3の小数表記
      平方数と自然数
      ヒルベルトのホテル
      グランディの無からの想像の証明

    2 無限との遭遇 015
    有限と無限 015
    ただ単に大きな数ではない 016
    算数における無限 020
    無理数 022
    顕微鏡を通して数を見る 024
    離散と連続 026

    3 無限の歴史観 031
    注意:無限あり 033
    人間の心にある先入観 034
    ゼノンのパラドックス 036
      アキレスと亀
      二分法
      移動する矢
      競争路
    ゼノンのパラドックスの考察 039
      アキレスと亀
      二分法
      移動する矢
    哲学者と無限 044 
    キリスト教信仰における無限 050
    近世 055
    最大の数はありうるのか 057

    4 表裏一体の無限 061
    アルキメデスの定理の証明 062
    微積分とその先駆け 064
    極限 069
    無限級数 072
    無限小の亡霊 074
    超準解析 077

    5 幾何学的な無限 081
    線遠近法 082
    水平線を超えて 086
    無限遠直線 089
    平行線 096
    直線の向き 098
    透視図法 099

    6 物理的な無限 103
    光学における無限 104
    古典的重力理論における無限 108
    相対性理論における無限 110
    宇宙は無限か 112
    宇宙の曲率 115

    7 無限を数える 117
    数え上げと1対1対応 119
    カントルによる超越性の証明 122
    フーリエ解析 125
    集合論 127
    超限基数 129
    カントルの先駆者 133
    超限順序数 136
    カントルとウィトゲンシュタイン 139
    数学,哲学,宗教 142
    プロセスと事物 146
    数学的存在 150

    参考文献 [152-154]
    訳者あとがき(2018年春 訳者) [155-156]
    索引 [157-160]

  • ☆Oxfordのa very short introductionシリーズの1冊

  • (図書館員のつぶやき)
    ”無限”を語るには私にはむりなので、冒頭のハムレットの一節より「ぼくは胡桃の殻に閉じこまれても、無限の宇宙の帝王と思っていられる人間だよ」いかがでしょうか、興味のわいた人は読んでみらんですか。

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著者プロフィール

ロンドンの建築工学設計事務所、デーヴィス・マグワイア・ホィットビーの技術者。これまでの主なプロジェクトに、ロンドン中心部のBBC本社ブロードキャスティング・ハウスとテート・モダンⅡギャラリーがある。また、シエラ・レオーネに図書館や文学センターを支援する目的で設立された産業関連慈善団体CODEPにも参加している。グラスゴーのストラスクライド大学で構造力学の博士号を取得。

「2012年 『橋の形を読み解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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