分かちあう心の進化 (岩波科学ライブラリー)

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  • 岩波書店
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感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000296748

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  • 著者、松沢哲郎先生の40年にわたるチンパンジーの研究から、チンパンジーの特性や人間との相違などがわかりやすく紹介されている。ヒトの方が進化していると思いがちだけど、画面上に一瞬現れる複数の数字を覚えるのはチンパンジーの方が得意だとか、チンパンジーも学習によって文字を理解できるとか、興味深い。

  • 人間の特徴は利他性。人間には、草原のチンパンジーと森のボノボの特徴がキメラとなっているのではないか。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB2626258X

  • NDC(10版) 489.9 : 哺乳類

  • 著者の研究は、人間とそれ以外の動物の心を探ることで、人間とは何かを考える比較認知科学。1977年から霊長類研究所にやってきたアイの研究を続けている。

    野生チンパンジーの研究は、タンザニアのゴンベ保護区(グドール)、マハレ地区(西田)、ウガンダのキバレ森林(ランガム)、コートジボワールのタイの森(クリストフ・ボッシュ)、ギニアのボッソウの森(杉山、松沢)の5つから報告されている。

    チンパンジーの社会は、複数のおとなのオスと複数のおとなのメスがいるコミュニティと呼ぶ地域集団をつくる。その中でメンバーは小集団(パーティ)で行動するが、メンバーはいつも組み替わる。オスが群れに残る父系社会で、メスは他の群れから入ってくる。メスの初産は10歳代前半で、約五年ごとに47歳くらいまで子どもを産む。おばあさんはおらず、生涯現役。

    人間はあかんぼうを仰向けに寝かせる。仰向けの姿勢によって、あかんぼうは自発的微笑を見せて親に働きかけたり、声のやり取りや一緒に物を食べるなどの行動を共にできたり、自由な手で物を扱うことができる。また、他者の行動をまねたることによって自ら経験し、4~5歳になると他者の行動を見て心を理解することができるようになる。チンパンジーは親子で声を交わすことはない。夜泣きするのも人間のあかんぼうだけ。

    ニホンザルには相手に手を指し伸ばす行動は皆無で、チンパンジーには見られる。しかし、チンパンジーでも、相互に奉仕して利益を得る互恵的な関係は成立しない。利他性が人間を特徴づけている。

    チンパンジーの短期記憶は人間より優れている。人間は物を見ると言葉でラベル付けすることができ、仲間に伝えることもできる。人間は短期記憶を失う代わりに、想像する力や言語の能力を獲得したと著者は考える。

    チンパンジーも絵を描くことはできるが、目の前にあるものを見るだけ。人間はその時にないものを想像することができる。それによって、相手の心を理解することもできる。

    チンパンジーはオス優位の社会だが、ボノボはメス優位の社会。

    農耕民には多神教が多く、牧畜民には一神教が多い。新天地の開拓と権力の集中が相関している。人間は、森での平和共存的な暮らしから、サバンナや砂漠といった過酷な環境に移ったことで、とがった暮らしの方向に進化した。

    チンパンジー・アイ
    https://langint.pri.kyoto-u.ac.jp/ai/

  • 出版社による紹介ページ(立ち読みあり):
    https://www.iwanami.co.jp/book/b369917.html

  • 久しぶりの松沢先生の著書。私にとっては、新刊が出れば必ず読まなければいけない著者の一人です。本書は、NHKのラジオ番組「こころの進化をさぐる――はじめての霊長類学」をもとにつくられています。そのためか、かなり基本的な情報が多く、ほとんどが何度も読んできたことがらでした。その中でいくつか新しい情報。チンパンジーは一瞬でモニターに表れた数字を覚え、それが消えても、小さい順にタッチしていくことができる。これは、何度も見聞きした実験。新しいのは、2人のチンパンジーで共同作業をさせるもの。それぞれの画面に現れる数字はたとえば、1,4,5,7,9と2,3,6,8など。これを2人はちゃんと、相手の様子も見て小さい順にタッチしていくらしい。(動画で確認、かわいい)そして、この松沢先生、パントフートというチンパンジーの声を上手に操るのは以前から知っていましたが、フィールドワーク中にチンパンジーが食べているものは何でも自分でも食べてみているということを今回はじめて知りました。アリとかも食べているようです。歯ざわり悪そう。かまれないのかなあ。あとがきでは、無重力を体験している話も出てきます。ちょっと先に行ってます。これはおどろき。さて、本書には写真が2枚しか出てきません。ラジオがもとになっているせいか、でも、逆にせっかく本にするのなら、図版も多く取り入れ、読者の理解を助けるようにサービスすればいいのに・・・と思いながら読んでいましたが、いやいや、最終章で「想像するちから」についての記述を読んでいくうちに、想像する訓練をさすために、わざと図は抜きにしているのではないかと思えてきました。まあ、アイのホームページを見れば、いっぱい動画を楽しむことができるわけですが。

  • 請求記号 489.9/Ma 93

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著者プロフィール

2017年10月現在京都大学高等研究院特別教授

「2017年 『野生チンパンジーの世界[新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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