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Amazon.co.jp ・本 (142ページ) / ISBN・EAN: 9784000296939
作品紹介・あらすじ
ヒトの脳波の発見者ハンス・ベルガー(1873–1941)。20世紀初めに脳の活動の解明をめざした彼は20年以上を費やし脳波の測定に成功する。しかし結果が世に認められるにはさらなる時を要した。その後一時はノーベル賞候補にあげられるも、ナチス支配下のドイツで彼は自ら死を選ぶ。脳に挑んだひとりの先駆的な科学者の伝記。
みんなの感想まとめ
脳波の発見に挑んだ先駆的な科学者の物語は、科学の進展と人間の苦悩が交錯する深いテーマを描いています。ハンス・ベルガーは、20年以上にわたる試行錯誤を経て、脳波の測定に成功しましたが、その成果が認められ...
感想・レビュー・書評
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頭皮に電極をおくだけで、人間の脳の活動がリアルタイムで測れる。1920年代後半、それが可能だということが発見される。PET、fMRI、MEGやNIRSなど、いまは非侵襲性の脳機能計測のツールがいくつもあるが、それらが現われるはるか以前、半世紀以上もまえのことである。しかし、この画期的な発見は、アカデミックな世界にすんなり受け入れられたわけではなかった。
発見者はドイツ・イェーナ大学のハンス・ベルガー。どのようにして脳波は発見されたのか、その発見はどうしてすぐには認められなかったのか、本書はベルガーのたどった足跡を追う。
ベルガーは、大学人としては不遇だったわけではなかった。33歳で助教授、46歳で教授、54歳で学長。若い頃には、同僚の脳地図のブロードマンと脳地図の共同研究もしていた。
ところが、彼の脳波研究はそうはいかなかった。なぜすぐには認められなかったのか。これが本書のコアの部分である。著者は非侵襲性の脳機能計測が専門。ドイツ語の原論文にもあたっているので、解説には説得力がある。
終わり方も衝撃的だ。ベルガーは1940年にはノーベル賞にノミネートされる(ただし本人は知らず)。しかし翌41年に自殺。享年68。
註もコラムも充実。初学者がよく抱く疑問(どうしてアルファ波やベータ波というのか、どうして閉眼安静時のほうが精神活動時よりも脳波の振幅が大きいのか)についての解説もあり、初学者にも安心して薦められる。
(蛇足。2018年刊のフィールズ『もうひとつの脳』(ブルーバックス)には、ベルガーについての記載が10ページほどある。こちらはかなりネガティブ。比べてみるのも一興か。)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
非常に綿密にHans Bergerについて調べている。歴史がわかるだけでなく、研究者の人生について、夢についても考えさせられる。
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最初に、ヒトの脳波を記録したドイツの精神科医ベルガーの生涯を紹介している。
精神エネルギーがあるとの仮説のもとに、脳の血流や温度等を当時の技術の限界のもと、知恵を絞って計測し、脳からの低周波の出力を発見した。異端とも思える発想は評価されることなく、孤独な研究を積み重ねていき、今日知られているアルファ波の存在を確認、記録に留める。睡眠で活性化し、覚醒で消える不思議な振る舞い。
根源的な何故?を知りたがる脳、脳の進化のからくりへと謎は深まる。 -
請求記号 492.16/Mi 86
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