僕とアリスの夏物語 人工知能の,その先へ (岩波科学ライブラリー 309)

  • 岩波書店 (2022年1月15日発売)
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本 ・本 (206ページ) / ISBN・EAN: 9784000297097

作品紹介・あらすじ

小学生の悠翔のもとに突然やってきた謎の少女、アリス。まるで赤ちゃんのように何も知らなかったが、悠翔たちから多くを学んでいく。しかしそこに、怪しい影が忍び寄り……!? AIと共存する未来とはどういうものか。「発達する知能」は、いかに実現されるのか。小説と解説の合わせ技で、いざ、めくるめく知の融合体験へ!

感想・レビュー・書評

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  • AI解説と小説を交互に配する趣向が面白い。予備知識なく、少年たちの恋物語かと思って読み始めたら、私にとっては専門書に近い内容だった。人間が言葉や動きを習得していくプロセスは、AIが開発されているからこそさらに細かく研究されているのだと感じた。

    物語は物語として楽しめた。科学的な要素以外にも、昨今のいじめ問題がからんでおり、明るい未来が開かれていることにほっとした。

  • 『ふだん使いの言語学』で我々がいかに無意識に巧妙に言語を使っているか、ということに触れた後に読んだこともあるが、こちらはまた別の観点での人工知能の多くの課題を「ふだんの生活」の中に落とし込む形で論じている。
    そもそも、我々が生きるために獲得した「知能」、生得的な「本能」のみならず、誕生から長い時間をかけて獲得する部分もある「知能」をトップダウン的に構成することはできるのか。筆者は否定的な見方を取っている。確かにトップダウン的に与えて社会の「役に立つ」ものは確かに作れる。ただ、現在のスマートスピーカーのようなものは、以前よりも格段に曖昧性に強くなったと言っても、自分の想定する「文脈」を十分に理解してくれない。SFの中に描かれるような以心伝心できるアシスタントとは程遠いのはなぜか。『しばしば私たちは、文の意味はその文のみで完結していると考えがちだが、それは大きな誤り』のためだ。
    AI/人工知能を業務に取り込むことは現在のトレンドでもあるが、自分たちが無意識に、ふだん使いしている思考・言語・振る舞いの奥深さに気づかずに楽観的に捉えていると、落とし穴にはまることに気づかされる。

  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/683947

  • 縲千翠螟ァOPAC繝ェ繝ウ繧ッ縲・
    https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC12086089

  • AIについての解説はちょっと難しい部分もあったが、青春小説仕立ての物語が挟まっているおかげで助かった。人工知能の発達と人間の赤ちゃんの発達の比較、私たちはこれから人工知能とどう付き合っていくのか、など勉強になった。

  • 氷上

  • AIのことを少し知れて
    物語部分も思ったより泣けて
    一粒でニ度美味しい

    おすすめ

  • 毎年恒例の企画展示「科学道100冊」に2022年新たに加わった本。
    ラノベ風の小説部分と実行知能の現状と技術解説部分を交互に織り交ぜている。

    あらすじ:
    小学生の悠翔のもとに突然やってきた謎の少女、アリス。まるで赤ちゃんのように何も知らなかったが、悠翔たちから多くを学んでいく。しかしそこに、怪しい影が忍び寄り……!? AIと共存する未来とはどういうものか。「発達する知能」は、いかに実現されるのか。小説と解説の合わせ技で、いざ、めくるめく知の融合体験へ!

    最初、家にやって来た時、車椅子に座り、言葉もわからず、記憶もない、知らないことだらけのアリスに主人公の悠翔がいろいろ教えてあげることになるという展開で、赤ん坊状態から徐々にAIといか自立・自律型アンドロイドのアリスが成長していく。

    最近のChat-GPTの優秀さにも驚くが、それはあくまでも文字ベースの遣り取りが自然になりましたというレベルではある。

    ただその中で延長線上にアリスのような学習して自律的に成長していくAIが可能なのか?という問いに対して、従来ならまだまだ大きな壁が存在しているような気がしていた。

    しかしながら、最近はそういうAIの未来はあるとも実感している。

    その中で重要なのは、この本の中でも述べられているが、AIが自分の身体を持ち、視覚・聴覚以外にも触覚、臭覚、味覚など五感を持ち、リアルタイムで様々なことを経験して記憶していくことではないかと思う。

    それを一つ一つどう実現していくかが課題なのかもしれない。

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著者プロフィール

京都大学大学院情報学研究科教授

「2024年 『記号創発システム論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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