ことばと算数 その間違いにはワケがある (岩波科学ライブラリー 312)

  • 岩波書店 (2022年7月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784000297127

作品紹介・あらすじ

「かける数とかけられる数、どっちがどっち?」「マイナスのマイナスは…とってもマイナス?」──混乱するのは子どもだけとは限らない。ことばのしくみに原因があることも。『ちいさい言語学者の冒険』で子どもの言語習得の旅を案内した言語学者が、小学生の宿題やテストの間違いを通して、意外に深いことばと算数の関係にせまる。

みんなの感想まとめ

テーマは、算数とことばの関係を探ることで、子どもたちの間違いから学ぶことの重要性です。著者は、自身の子どもの宿題やテストの間違いを通じて、算数の問題に潜む言語的な混乱を解明しようとしています。多くの読...

感想・レビュー・書評

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  • 『ちいさい言語学者の冒険』の著者さんと息子さんが、今度は算数と言葉の冒険へ!
    私自身も子どもの頃に算数で、何か納得いかない、違和感がある、ととにかくそういうものだと覚えてしまうのだと自分に言い聞かせてやり過ごしたことが満載で、頷きながら読んだ。
    算数、言葉、二つを併せて、のどれもわかりやすくて面白い。
    筆算のミスとそのユーモラスな分類名には笑ってしまったけど、ただ間違いだと突き返すだけじゃなく、なぜこう考えたのかを大人が真面目に検討することは、その子だけじゃなく大人にも意味のあること。
    親も先生もそんな余裕が持てるくらいの社会になったらいいのにね…。

  • 同じ著者による「子どもに学ぶ言葉の認知科学」と並行して読んだ。そのため、ところどころ既視感があった。どちらで読んだことか分からなくなることもあった。本書は主に算数の中で、著者のお子様の間違いをネタに考察が進められる。私もこの30年、たくさんの間違いに触れてきた。なるべく間違いの理由を見つけるようにしてきた。そこに何か意味を見出そうとしてきた。もっときっちりと記録を取っておくべきだった。まあ、多い間違い方は覚えているから、先回りして、こういう間違いが多いから気をつけるようにと言っている。ここで、1つ心配な点は、そういう話をするから、その間違い方が刷り込まれて、子どもたちが間違うのではないかということ。「ほら、言った通り間違うでしょ」っていうことがあまりに多いから。まあでも、本人が間違いに気づいて体感としての経験を積まないことには身につかないのだろうとは思う。さて、マイナスからマイナスを引くともっとマイナスになるというのはちょっと困るな。数直線を意識させて(温度計の方が分かりやすいかも)、その差を調べさせるのがいいと思うが。右が大きく(上が高く)左が小さい(下が低い)という前提を置いて、どちらからどちらを引くかで、答えのプラスマイナスは決められる。こういうことがイメージとしてもてている子は絶対間違わないんだな。イメージできなくて、意味も分からないまま、機械的にルールを覚えて解こうとすると、間違っていても気づくことができないんだな。それと、本書にもあったが、子どもたち(いやきっと大人も)簡単な方を選んでしまう。たぶん無意識に。だから、引き算の筆算で繰り下がりを回避するように下(大きい方)から上(小さい方)を引いてしまう。4x=2の解がx=4÷2=2となってしまう。これ、本当に多い間違いなんです。良く作られた複雑な計算問題になると、途中のステップで、「こっちの方が楽だよ」という誘惑が隠されていて、計算のルールに反するのに、ついそちらに引き込まれてしまうのです。こういう間違いの克服方法について本書には何も書かれていないが、1つ1つの間違いとしっかり向きあっていくしかないのだろうと思う。

  • 言語学からみる算数の難しさ!

    著者の息子の間違いを導入にして、算数の問題や解法が頭の中でどのように解釈されているのかを紹介している。確かに加減と乗除をどちらが先にするかって文構造の枝分かれと共通するところある。指してるものが何なのかわからない問題。言語習得はルールを学ぶというより、当てはめて(時に過剰一般化して)訂正しながら習得する。繰り下がりの筆算も子どもには自分なりに見つけたルールがある。この視点は興味深かった。

  • 貸出状況はこちらから確認してください↓
    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00306769

  • 筆者の息子さんの算数の間違いを題材に、あれこれと言語学の話。最後の「推論」の話は今井むつみさんに通じるものがあるなー。最短で正解を示すことじゃなく、子ども自身があれこれと答えを探す、その試行錯誤を見守って応援すること、が大切なのかもなーなんて。

  • 図書館で借りた。
    タイトルだけで選んだが、小学校レベルの算数におけるルール、またそれをどう解釈するかという問題についての本だ。これがまさに「語用論」の世界かと思った。
    個人的には、世間で言われる「ド理系」な経歴の上、論理学・形式科学的な考えでどっぷり浸かっていたので、「世の中、それだけじゃないよなぁ」とは常々思っていたところ。そこからの語用論的解釈、またその考え方を知ることができ、非常に満足。
    注意すべきは、「横かける縦がなぜバツなのか?」といった教育論は論じられていない。それは別の問題という認識。

    学問分野がまた一つ整理できた。大満足。星5つ。

  • 言語の習得の仕方と、算数の習得の仕方の共通性が面白かった。

  • 直接的には言語の話というわけではないので、星を減らしてますが、数学と言語の共通点から、それぞれの不思議に迫る本。ただし、数学が苦手でも全く問題なく読める。そして語り口調も軽妙。
    言語については、枝分かれの解釈の違い、二重否定、曖昧性などについて、他の本とは違う数学に絡めての説明が分かりやすい。

  • 著者のお子さんの実際の間違いから算数と言語のお話が展開されて面白い。
    「かける数」「かけられる数」について、文章の組み立て方によってどっちとも言えるというのは今まで気付いてなかった。
    最後の方の怒涛の引き算筆算混乱集も圧巻。

  • 市島
    正三角形を、二等辺三角形と呼ぶことは数学的には正しいけど、会話の暗黙のルールとして、「正三角形なら、わざわざ二等辺三角形と呼ぶより、正三角形と呼びましょう」があるのだろう。
    -(-4)は+4
    二重否定は肯定になることが多いけれど、「うちの店にないものはない」=「なんでもある」
    「持ってるんだろ?」「ないものはない」と無いを強調する場合もある。そのため、
    -4-(-4)はマイナスがもっとマイナスになって-8という答えになってしまう。

  • 算数の処理を日本語で言処理する過程では、適切な置き換えが必要で、教える先生の苦労が想像できました。正答に至らない生徒もまた日本語処理としてはなるほどと思える過程があり、このずれを埋めるためには同じ前提に立てる設題、ミスリードさせない工夫が課題に思いました。言葉に過敏で間違えた生徒の回答にヒントがあることも分かりました。大人の仕事場でも、どの計算(仕事)を先に行うか(項)を相互確認しておけば良かったと思う結果が出ることもあり、仕事も算数かもしれません。

  • 改めて算数の教科書を読むと、言葉の理解が大切で、実は文章解釈でないかと感じたことから、手に取ってみた。

    子育て本として読んでも気づきがあると思う。

  • 間違い方にその思考のヒントがある。間違いを探すのは大変

  • 算数の時代から、立派な苦手意識があった。
    それがなぜなのか知りたいと思い、本書を手に取る。
    本書の途中で、著者の広瀬さん自身も同じような動機でこの研究を始めたとあり、すこしうれしくなる。

    さて、著者は心理言語学者。
    こどもの言語獲得がご専門。
    本書は、ことばと算数の力の共通する部分と、逆にことばのありかたが算数の理解に混乱をきたしてしまうところなどを、実例に即しながら提示していく。

    まず、テストに添えられた図像をどう解釈するか。
    子どもの中には、文章題の中の人物の立場に自分を置き換えられなかったために誤答してしまうこともあるらしい。
    あるいは、どこを「上」と捉えるかが、大人が「当たり前」だと思っているものとは違うことがある。
    最初、私もなぜそんな答えが出てくるのかわからないのだが、解説を読んで、そんな理解の仕方があるのか、と膝を打つ。

    階層構造の中でどう認知されやすいかと、四則演算のルールが抵触してしまう?

    かける数とかけられる数。
    3×5なら、3がかけられる数、5がかける数。
    ところが、日本語では「3」をかける数と理解できなくもない。
    むしろ言語感覚が鋭いこどもの方がドツボにはまることがある。

    マイナスの数をひくと、もっとマイナスになる、という考え方。
    このことは二重否定の文への理解に似ている部分があるらしい。
    「すべてある」(肯定強調)という意味にも、「ないといったらないのだ」(否定強調)の意味にもとれるという、あれだ。
    ある年齢まで、肯定強調として理解することが難しいという研究結果があるそうだ。
    その難しさと重なるのか、と思うと、ちょっと納得する。

    最終章は、こどもが計算のルールを身につけるに至るまでの推論の誤りを分析したもの。
    ことばを獲得する上で、過剰一般化など推論の誤りをしながら、それでも時期が来ればきちんとルールを身につけていく。
    そう思えば、計算も、ある程度は時期が来ればなんとかなるものなのかもしれないな、とふと思ったりもした。
    (ただ、そのまま修正されないで大学生になってしまったようなケースを見聞きするのではあるけれど。)

  • 算数がわからない、できない原因を計算方法ではなく、言語学から紐解く内容。むしろ言葉に鋭い子ほどドツボにはまる?のフレーズに深くうなづいた。

  • 小学校の先生向けに授業のガイドがあるなんて初めて知った!
    しかも「二等辺三角形は正三角形の一部だけど、そのことは触れない」なんて書かれてるのはびっくり!一応、「気づいた児童がいればなんとなく触れてもよい」とはあるみたいだけど、そんなもんなの義務教育って。

  • ふむ

  • 請求記号 801.04/H 72

  • webちくまに連載していた(更新を楽しみに読んでいた)「宿題の認知科学(全12回)」のうち算数に関わるテーマの部分に加筆してさらにふくらませてまとめた一冊(言語関係のテーマはひと足早くちくま新書にて「子どもに学ぶ言語の認知科学」として刊行されたところ、既読)。

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著者プロフィール

大阪府出身。東京大学総合文化研究科教授。専門は心理言語学、とくに言語処理。著作に『ちいさい言語学者の冒険』(岩波科学ライブラリー)がある。近年は、言語発達過程の子供がどのようにその知識を運用するかに関心を寄せている。まだまだ続く息子の珍プレーに、喜ぶ日々。

「2022年 『子どもに学ぶ言葉の認知科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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