「慰安婦」問題を/から考える――軍事性暴力と日常世界

制作 : 歴史学研究会  日本史研究会 
  • 岩波書店
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レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000610056

作品紹介・あらすじ

一九九一年の金学順さんのカミングアウトから二十余年、「慰安婦」の存在を否定し問題の矮小化をはかる動きが再び猖獗を極めている。強制性の有無をめぐる恣意的な議論に対し様々な角度から論駁するとともに、「慰安婦」制度が戦時下の極限状況ではなく、日本や植民地における日常世界の中でつくり出されたものであることを歴史的に検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 「慰安婦」問題を、日常生活、他国との比較、男性性…といったさまざまな角度からその「広がり」を追究していっている。広い裾野のうえに「慰安婦」問題があるという姿勢には共感を覚えた。歴史学としては、基本的にこういう取り組みを広げていくしかないのだろうと思う。

    現状の「慰安婦」問題は、(1)問題を強制連行の有無や女性の意思の海など限定的にとらえて「強制はない」とするグループと、(2)「強制があったことは歴史学的に証明されており、問題はそこだけにとらわれない」とするグループ(本書の立場である)、(3)政治的な問題と位置づけたうえで客観的な立場から問題を位置づけようとするグループ(熊谷奈緒子『慰安婦問題』が近年の代表例だろう)に、いっそう分裂していっているような気がする。(2)や(3)のように「問題」そのものを問題にする立場が登場したことにより「慰安婦」問題は複雑化している。

    90年代の慰安婦問題は、慰安婦の証言をめぐって(1)修正主義(藤岡信勝など)、(2)実証主義(吉見義明など)、(3)構成主義(上野千鶴子など)の3派に分裂していたように思う。この構図が2000年代に入り、問題そのものを対象化する構図へと変遷していった(かといって証言の事実性の問題も絡まっている)のはなぜか。本書ではここ20年が「ひとつのまとまり」として理解されているような気がするけど(最後の対談など…)、慰安婦問題をとりまく構図の変化もあるのではないか、という風に感じた。

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著者プロフィール

歴史学研究会
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「2017年 『歴史を社会に活かす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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