台湾の歓び

著者 :
  • 岩波書店
3.91
  • (2)
  • (6)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 48
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000610100

作品紹介・あらすじ

数多くの民族と言語を抱えながら、きわめて実験的な文学や、洗練された映画を産み出してやまない台湾。その文化・社会とはどのようなものか。台北、台南を拠点に街を歩き、詩人、映画人らと対話を重ね、夜を徹した媽祖巡礼へ参加し、その尽きせぬ魅力について縦横に語る。長期滞在を機に書き下ろす、初の台湾紀行。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ひとをおくりだすことを考える。

    ひさしぶりに更新する。なにをしていたかというと、ぼーっとしていた。というのがいちばんただしい。本も読んでいた。いろいろいろいろあったのだ。

    ひとをおくりだすことをやった。じっさいには母がやった、のだけれども、家からおくりだすことをした。とてもこぢんまりとしたものだった。それでもそれでよかったとおもう。それがよかったのだとおもう。

    なんというか、こういうことって、必要なことなのだな、ということを考えた、というより、わかった。肌身にかんじた。ひとが、ひとにつらなってゆくこと、生きてゆくことの一端にふれた気がした。

    この本はそのあたり、その前後で読んでいた本だ。台湾というところには去年行った。とてもよいところだった。そのよさの、じぶんでは説明しきれない部分を、この本が補強してくれたような気もするし、まったく見えていなかった部分を教えてくれたりもして、また行きたくなったりもした。映画や詩について、見たり読んだりしたいものもたくさんできた。

    媽祖という女神を祀る巡礼についても読んだ。数万人のひとが片道百キロ強を三泊四日で踏破するという、とてつもない巨大なイベントになった経緯と、著者自身がそれに参加したときの体験談が書かれていた。読みはじめていたタイミングでは、はあ、どうしてこんなことをするのかねえ、とおもっていたのだが、わたし自身が、家族や親戚とのまとまった濃密な時間と空間の共有をしたなかで読みすすめていくうちに、ああ、これは必要なことなのだろうな、と考えるようになった。というより、わかったのである。なんとなくではあるが。

  • 興味深く読めた。
    日本とも関わりのある媽祖の話、胸を打たれた太陽花学連、尊く過酷な進香日記…。

    台湾映画や詩歌などについてもいろいろ触れてあって興味が湧いたので、手始めに知人にも薦められていた「KANO」を観た。とてもよかったのでKANOの部分を読み返したら、記憶だけで書いているのか内容がちょっと違っている部分があって若干萎えてしまった。ネタバレにならないように敢えて間違えて書いたのかな。まさかね(笑)

  • 実体験に基づき書かれた本は面白い。まそ巡礼の話が印象的。それにしても、まそ様は神ではなく実在の人間だったのか。。。新大久保のまそ廟にも行ってみたい。

  • 映画評論家である著者が台湾に長期滞在した経験をもとに書いた紀行。台湾は政治的に微妙な立ち位置にある。この本からもそれが垣間見れる。
    東日本大震災の時に台湾が日本に寄付した金額が世界最高額だったことを知っている人はどれくらいいるだろう。この本で台湾という国を知って欲しい。

  • 台湾紀行とあったので、台湾暮らしの軽いエッセイを想像して読み進めたところ、まったく最初の予想と違っていた。
    街の成り立ち、映画、媽祖信仰、、とても深く学術的なお話が含まれておりすべてがとても興味深い。
    私がいままで見聞きした、台湾の本や映画のお話がでてくると少しうれしく、より台湾への好奇心が刺激される。もっともっと台湾を知って、再び読み返したら今回理解できなかったところもまた理解できるようになるかしら?自分が楽しみ♪
    とくに魏徳聖KANOの深読みじゃない?と思えるほどの観かた、媽祖の進香日記が面白かった。(媽祖が日本にもあるとは!?と驚きで、大久保の比較的新しい媽祖も見に行きたいと思った)

  • 請求記号: 292.24/Yom
    資料 I D : 50079467
    配架場所: 図書館1階西 学生選書コーナー

  • 著者は2014年の春までの約半年間台湾に長期滞在した。その時の見聞を著した本である。韓国留学の経験もある著者と私には共通点がある。10年間韓国旅行ばかりして、最近台湾旅行もしてきた私と比べれば、ちょうど彼は「big私」ということになろうか。そのためか、とっても共感する所や、次回台湾旅行に役に立ちそうなことが多く書かれていた。再び言うが、著者はbig私なのである。あくまでも旅行者の視点でこの本は書かれている。

    本の構成は三部から成る。台北見聞記と、媽祖(マーツ)巡礼、台南ブラ歩きである。

    台北で詳しく描写されている龍山寺から西門町を経てさらに台北駅の北側の辺りは、まさにこの前の旅で私が集中的に歩いたところ。私の見聞がいかに浅いものだったかを、まざまざと見せつける。龍山寺前の公園のような一画の賑わいの秘密、寺の屋根にある装飾は「せんねん」ということを初めて知る。私たちが飲んだ華西商店街の北側にある青山宮の物語。西門町の歴史、迪化街の物語。第三部の台南のブラ歩きも素晴らしく、次回旅行時に持ち歩くか、出発前に読んでおきたい本になった。

    著者はいうまでもなく、映画評論家である。いろんな台湾映画人、作品が出てきて、その意味でも非常に参考になった。

    特に「海月七号」と「セデック・バレ」を監督し、「KANO」をプロデュースした魏徳聖(ウィ・ダーシェン)の評価については、ほぼ同意する。「KANO」についての長い紹介と評論がある。これが「セデック・バレ」と対の関係にあること、自己回復の物語であること、前半で水は暴虐を尽くし、後半ではそれを制御すること。日本の植民地統治に様々な部分で異議を唱えながらも、それを内面化する過程を描いたこと。いい評論だった。ただし粗筋の紹介で、決定的な事実誤認が幾つかあった。訂正を希望したい。

    学生の立法院占拠、媽祖巡礼の記事は読み物としてドキドキし、楽しかった。現代台湾が、まさに歴史を生きていることを知った。次回の旅行は、少しでもその残り香を嗅いで来たいと思う。

    2015年4月23日読了

全7件中 1 - 7件を表示

四方田犬彦の作品

ツイートする