- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000610407
作品紹介・あらすじ
『西遊記』、『ガリヴァー旅行記』、ラペルーズの大航海-多彩な資料から浮かび上がる、身近な海の新たな姿。思考を広やかな地平へと誘う、トポグラフィック・エッセイ!
感想・レビュー・書評
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とても面白かった。
ユーラシア大陸周りの内海の歴史をたどりながら、既存大陸最後の辺境地であった日本海北部、間宮海峡発見に至るエピソードなど、なぜロシアが海にこだわったのか、なぜ日本が日露戦争に勝てたのか…。
いろんな話が盛り込まれていてとても楽しめた。
最近の時事へのコメントだけは少し余計な感もあるが、それもご愛嬌?。
なんかほっとする読後感に包まれる。 -
日本海をめぐって、西遊記から始まって、大黒屋光太夫、ラ・ペルーズと話は飛んで、最後は、中国での日本海の捉えられ方までぐるっと及ぶスケール。話は思いつくまま気の向くままなのはいつもの中野美代子節を堪能できる。久生十蘭「海豹島」はあらすじの紹介だけでも興味をそそられる。18世紀のヨーロッパの地図では、日本海、朝鮮海が混在し始め。欧米では宗谷海峡がラペルーズ海峡と記され。オクトプス・マップ、トラブル海での釣りなどの図像で、19世紀ロシアが極東からヨーロッパにまで触手を伸ばす様を描き、それをプーチンと重ね合わせるところは、歴史は繰り返すというべきか。そして、西太平洋はすべて中国のものだ!とい大前提を立てれば、日本海も東海も南海も、それぞれ固有の歴史や現状もろとも吹っ飛ばせるだろう、という見方も示し。一つの海をめぐって、時代により国により、捉え方見方は様々な事を改めて教えてくれる。言われてみると確かに、地図をじーっと見てると、日本海とはいうが、もっと俯瞰で見ると、太平洋と言えなくもない、という気になってくる。