検証 「イスラム国」人質事件

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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000610506

作品紹介・あらすじ

日本人2名が犠牲となる最悪の展開をたどった、「イスラム国」による人質事件。2人はなぜ拘束されたのか。安倍首相の中東訪問はなぜあのタイミングで行われたのか。日本政府はどのような解放交渉を行ったのか。総力取材により新たに判明した事実まで織り込んだ決定版。

感想・レビュー・書評

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  •  2015年1-2月に表面化した「イスラム国」(IS)による日本人人質殺害事件の事実経過を検証した書。1月20日の身代金要求の映像公開前から、後藤健二の妻とISのメールによる交渉を関知していながら、「テロリストとは交渉しない」という建前に教条的に拘束されて何もしなかったこと、中東諸国歴訪で不用意にIS対策と明示して資金拠出したこと、有志連合の対IS空爆に参加して捕虜交換交渉の難題を抱えるヨルダンに依存したことなど、安倍政権の失態を明確に暴いている。政府関係者や人質関係者のガードが固い中で、できるだけ綿密な取材を行っており、現時点でこの事件の経緯を知る上で最適な本であろう。イタリアのテロ対策コンサルタントのロレッタ・ナポリオーニとイスラム現代政治研究者の宮田律のインタビューも非常に有益である。

  • 始まりは2014年8月の湯川遥菜さんの拘束事件だった。続いて
    フリージャーナリストの後藤健二さんがイスラム国に拘束された。

    年が明けて2015年1月、日本国首相・安倍晋三の中東訪問中に
    イスラム国は拘束した二人の日本の身代金を要求する動画を
    公開した。

    多くの人が成り行きを見守った事件は、ふたりの殺害という最悪の
    結果で幕を閉じた。

    本書は朝日新聞に掲載された検証記事に加筆して書籍化した作品
    なのだが、「検証」と冠した割には中途半端と言うか、腰が引けている
    感じなんだよな。

    吉田調書とか慰安婦報道とか、いろいろと立て続けにあったから
    かしらね。朝日新聞の名を失念するほどに、甘々だよ。

    湯川さんがシリアへ渡航するところから、事件後の有識者による
    検証委員会の報告まで。時系列で追うにはいいんだけどね。

    記者による検証部分が「政府も頑張っていたんですよ」みたいな
    トーンになっているのを補う為か。対テロ・資金洗浄問題コンサル
    タントのロレッタ・ナポリオーニ氏と現代イスラム研究センター
    理事長の宮田律氏のインタビューを通して政府批判をしている。
    ちょっとずるいかな。

    この事件を振り返る為に本書を読んだのだが、思うに日本政府は
    端からふたりを助ける気なんてなかったんだと思う。だって、外務省
    は後藤さんに対して「渡航をあきらめるよう説得したが、聞き入れて
    もらえなかった」と強調しているのだもの。

    それに事件が明らかになった時と、ふたりの殺害後の安倍の勇ましい
    が中身空っぽの声明。あらゆる可能性を探っていたと言うのであれば、
    イスラム国にパイプのあった中田考氏や常岡浩介氏がいたでは
    ないか。

    そもそも湯川さんが拘束された時点でイスラム国だと分かっていた
    はずなのに、動画が公開されるまでふたりを拘束した組織が分からな
    かったって言い訳はなんだ?

    ヨルダンに現地対策本部を置いたのは、ヨルダン情報部がアメリカの
    CIAと緊密な関係があるからだろう。過去の人質解放の実績を考慮
    したら、頼るべきはヨルダンではなくトルコであったはずだ。

    「いろいろやってるんですよ」とポーズを見せただけで、実質、なんの
    情報も得られていなかったのだろうな。まぁ、「どんな情報収集活動
    をしてきたのか」と政府に問うても、「それは特定秘密です」って逃げる
    んだろうけれど。

    もし、テロ組織といわれる集団に拘束されたのが企業の海外駐在員
    や外交官だったら、違った結果になったんじゃないのかね?安倍晋三。

    日本政府に見殺しにされた、湯川さんと後藤さんのご冥福を祈る。

  • 湯川さんと後藤さんの事件を検証する本。後から振り返ってみると少なくともリシャウィとの交換を要求してきたところら辺からイスラーム国側に交渉するつもりはなかったのかなと思う。当事者たる能力を持たなかった日本だけど、中東回ってからの安倍首相の会見なんかは不用意だったのかも知れない。

  • Easy to read yet informative.

  • 二人の日本人が!犠牲となった事件。2人の人となりから、後藤謙次さんの奥さんの対応、政府の対応、わかりやすい。
    ただ、深く突っ込んだ感がややかけるのが残念。
    政府の対応、姿勢、いわゆるマスメディアでのツッコミが早めに収束したのだが、その部分は、この本で補えるか、、
    でも書籍ならばもっと、、、

    ちょっと消化不良ぎみ。

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