世界をわからないものに育てること――文学・思想論集

著者 : 加藤典洋
  • 岩波書店 (2016年9月29日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000611480

作品紹介

理に落ちてしまうまえに、そのとき生まれた一瞬の驚きに立ち止まり、世界をわからないものに育てる-そういう時間をつくりあげてゆくことが、いまを生きる私たちにとって大切なのではないだろうか。『巨匠とマルガリータ』から『永遠の0』『東京プリズン』まで-同時代と歴史に沈潜し、文学の"現在"を浮き彫りにする。

世界をわからないものに育てること――文学・思想論集の感想・レビュー・書評

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  •  愛は勝つ心をひとつに花は咲く。社会を席巻する感動の制覇。棹させば流れを乱し摩擦を生む。どんな思想とも矛盾なく共存し着脱可能で愚劣なまでに操作可能なら抵抗もままならず社会の呼び声にせき立てられ沸点を低くして自らを一本化し人との一体化を求めたところやたら感動しやすくなった。大きな風が吹くと一斉に同じ方向に流れるなら、ただ小さく語るのみ。

    『熊谷直実の話が私を動かすのは、彼が、平敦盛の首を取ったということ。その平敦盛がそのとき、彼の子供とほぼ同じ年齢であったこと。そのことが、どうも彼を震撼させたらしいということだ。その震撼の内容がどんなものであったかを、知ろうとは思わない。 また、彼が法然の前に出たときに、もし法然に手を切断しろ、といわれたら、切断しようとまで、思い詰めたこと。そのため、罪に軽重なし、念仏のみで、「別の様なし」と言われたとき、涙がほとばしったという事実だ。その単純さが、手軽に理解=納得するなよ、と私に言うのである。』212頁

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