私たちの星で

  • 岩波書店
4.12
  • (19)
  • (17)
  • (13)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 259
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000612173

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 作家の梨木香歩さんと、エジプト人の父と日本人の母を持つ文筆家の師岡カリーマ・エルサムニーさんの往復書簡。
    20通の手紙の中で、互いをの生い立ちや経験、思考や信仰を尊重しあう、彼女たちのしなやかで知的でおおらかなまなざしが満ちているように感じます。

    「カリーマ」「香歩さん」という呼びかけが、とても優しくて、読みながらじんわりと胸が温かくなりました。
    豊かな心の在り方のヒントにたくさん出会えたのですが、特に印象に残ったのは「寛容」「寛大さ」というキーワードです。
    寛容を鍛えて、洗練させていく。
    互いに異なるということを恐れないために。
    また心に刻むべき教えが1つ増えました。

  • ひとめ表紙を見たときの予感を外さず、いい本だった。往復書簡という体裁をとって梨木香歩さんと諸岡カリーマ・エルサムニーさんが交わした対談。梨木香歩さんは「家守綺譚」「西の魔女が死んだ」などの文学作品や、自然と人の暮らしを語るみずみずしいエッセイを綴る作家。諸岡さんはエジプトと日本のダブルで、幼少時には日本で暮らし、高等教育をカイロとロンドンで受けて、現在は日本でアラビア語教師をされつつ、翻訳やコラムを手がけておられる方。個人と集団への帰属意識、アイデンティティの問題、歴史と異文化同士の衝突と融合、信仰と暮らしといったテーマを扱いながらも、そこで語られているのは常に、ひとりひとりの人と人との関わりのあり方について。”それぞれの「寛容」を鍛え抜き、洗練された寛容にしていくこと。””その人の信仰故にあるべき姿を基準にその人の行いを裁くのは、必ずしもフェアではないということ。”自分がいま持っていない視点、に触れてものを考えることが好きな方には、ぜひおすすめしたい。

  • 石牟礼道子さんを
    想い起してしまった
    人も
    海も
    山も
    自然も
    それはそれとして
    すんなり受け止めて
    自分も自然の一部分に
    過ぎない
    だからこそ
    唯一無二の存在として
    人も我も
    大事にされなければならない

    人種だとか
    民族だとか
    宗教だとか
    国だとか
    そんなものを
    遥かに超える
    ものが確かに在る

    梨木香歩さん
    師岡カリーマ・エルサムニーさん
    のお二人の間の
    やり取りであるからこそ
    自ずと
    滲み出てくるもの
    なのでしょう

    梨木香歩さんの「あとがき」の中の一節で
    ー(心を震わせるような出来事があった時)
    あのひとがなんというか聞きたい、
    と思える大切な友人が増えることは、
    なんとひとを豊かな思いにすることだろう。

    と綴っておられることに心震えました。


    追記
    〽あたまを雲の 上に出し
     四方の山を 見守りて
     かみなりさまは 下で鳴る
     富士は 日本晴れの山


    上でも下でもない
    右でも左でもない
    一人の個人として
    立っておられる
    梨木香歩さんの替え歌には
    まったく そのとおーり

    • MOTOさん
      羨ましいな。用事とか報告以外の話を延々(永遠でも可)出来る友人の存在って、何より大切な宝者って気がします。(^^;
      羨ましいな。用事とか報告以外の話を延々(永遠でも可)出来る友人の存在って、何より大切な宝者って気がします。(^^;
      2018/03/12
    • kaze229さん
      ほんとうに! おっしゃるとおり!
      ホウ・レン・ソウだけが何より大事だとされている関係ではない、
      そんな人とちゃんと繋がっている、
      だか...
      ほんとうに! おっしゃるとおり!
      ホウ・レン・ソウだけが何より大事だとされている関係ではない、
      そんな人とちゃんと繋がっている、
      だから人は豊かに生きていけるのでしようね
      2018/03/13
  • 私は、というか大部分の日本人はおそらく、政治や宗教の話題をはっきりと語るのを苦手としていて、そこには、あまり理解していない恥ずかしさのようなものもある。それでも梨木香歩さんのエッセイを読むのは好きで、それは彼女の言葉が未知の世界に人間性や日常性を与えて、読んだ私も半歩くらいは歩みだした気にさせてくれるからかもしれない。まるでパッチワークのように多様性に富んだ、美しい私たちの星。その星を愛する2人の女性の美しい言葉。読んでいる数日間、本当に気分が晴れていて、そういう本があることに感謝したくなった。

  • 大好きな本。
    一語一句味わいたくて、わざとゆっくり読んだ。
    最後のカリーマさんからの手紙で、ポロポロと涙がこぼれてきた。心のもやもやがほぐれていく本だった。
    何度でも読み返したい。

  • 今、熱くなってる人たちに読ませたいなぁ、、、

    岩波書店のPR
    ムスリムのタクシー運転手や厳格な父を持つユダヤ人作家との出会い,カンボジアの遺跡を「守る」異形の樹々,かつて正教会の建物だったトルコのモスク,アラビア語で語りかける富士山,南九州に息づく古語や大陸との交流の名残…….端正な作品で知られる作家と多文化を生きる類い稀なる文筆家との邂逅から生まれた,人間の原点に迫る対話.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b309270.html

  • お二人の柔らかな思考。
    こんな時代だからこそ、この2人のような感性と知性と思考を学びたい。

    これまたうまく言語化できないけれど、お二人の往復書簡を読んで感じたことを自分なりに言葉にしたい。

    これももう一度じっくりじっくり読み返そう。

  • 往復書簡というのははまれるかどうかがなかなか難しいのだけれど、これは当たり。読みやすかった。深かったし、確かな感じがした。

  • 梨木さん、悪い意味でリベラルだったんだ。彼女の小説もエッセイも大好きだけど、これはちょっとダメだった。文学としてのすごみはあるのに、文学者としてのすごみが感じられない。政争ではなく、政治と権力をもっと深くえぐって欲しい。

    師岡カリーマ・エルサムニーさんは、初めて。梨木さんにおもねるところはあったが、事柄におもねりがなかったこと、自己を冷静に捉えていることに好感を持った。こういう生き方もあるのだと思った。

  • イスラム教、キリスト教、仏教…
    西欧人、東洋人、アフリカ人…

    人類は地球が丸いということを、紀元前から知っていた。

    それなのに、人類は分化を続け、互いを排他するようになっていった。

    文明の発達により、今、急速に地球は小さくなりつつある。

    文明が縮めた距離に比べ、人間同士の見えざる距離は、そう簡単に縮まらない。

    実は1対1の対話では、その距離が一気になくなる。
    ということは、人間同士の距離とは、人間の集団と集団の距離なのか。

    人類同士が排他し合う世の中を、終わりにできるような希望を感じる二人の書簡のやり取りでした。

    また二人の美しい日本語も、必見です。

全30件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

梨木香歩の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

私たちの星でを本棚に登録しているひと

ツイートする