誰の健康が優先されるのか――医療資源の倫理学

制作 : 児玉 聡 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 30
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000612203

感想・レビュー・書評

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  • 一章の道徳的論証における立証責任と思考実験の意義の説明のあたりはなんとなく分かっていたつもりだったものの解説をうけたことがあんまりない気がして勉強になった。

    <blockquote>道徳的論証にはしばしば思考実験が用いられる。思考実験では通常、「他のことが等しければ」という仮定を行うことが求められる。この表現は、事例を単純化することで一つの具体的な特徴に注意を向けることを可能にするために用いられる。</blockquote>

    <blockquote>とくに難しい選択においては、我々の学生たちはいくつかの新たな仮定を持ち出すことで問題を「解決」しようとすることがある。事例を修正することは道徳的論証の規則に反することだと我々は学生に伝えなければならない。</blockquote>

    <blockquote>我々が事例や思考実験を用いるのは、直観を明らかにするだけではなく、直観が一貫性をもつかどうか調べるためでもある。多くの人々は互いに衝突するような直観をもっているが、そのような衝突はさまざまな事例を検討することによって発見できる。</blockquote>

    <blockquote>大事なことは、あなたが一つの事例について自分の直観を明らかにしたならその直観を他の諸事例に当てはめて吟味することで、その直観が一貫性の観点からどこまで維持できるかを問うてみることである。</blockquote>

    <blockquote>中絶と新生児の殺害の両者を不正とみなす人々にとっては、一貫性の問題は全く生じない。中絶を支持して新生児の殺害を拒絶する人々は、自分たちの直観のいずれかを放棄するつもりでがないのであれば、胎児と新生児の間に道徳的に重要な違いを見つけ出さなければならない。立証責任は彼らにある。</blockquote>

  • 東2法経図・開架 490.1A/B62d//K

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