小沢健二の帰還

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 111
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000612364

作品紹介・あらすじ

1993年、ソロデビュー。1998年、NY移住。2017年、19年ぶりのシングル発売。空白の時期にも、彼の曲はより深く愛されてきた。空白の時期にも、彼は豊かな時間をすごしてきた。誰も語らなかった「神話」を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 音楽から、言葉から溢れ出す小沢健二の世界観。
    小沢健二の何を思い出すのかという質問は、切なくて哀しくて懐かしくて、どこか夕暮れ時の儚さに似ている気がする。
    自分のかっこ悪さを受け入れると、自分がもともと持っていたかっこよさを一瞬で取り戻す。
    それは絶望を知った上で希望を見出す小沢健二の世界観と同じだと思う。
    他者との関係性を冷静に考えれば考えるほど、1対多者との関わり合いは困難でしかない。
    古くならない新しさは変化と不変の混ざり合った曖昧さの上で成立して、美しいものは全てその2つでできている気がする。
    これからもずっと小沢健二の音楽と言葉に浸っていたい。

  • 気まぐれに思えた小沢健二の行動も、
    実は全て繋がっていたんだということが感じられた。

    難しいと思って途中読むのを断念した「うさぎ」も、
    もう一度ちゃんと読んでみよう。

  • 先日、宇野維正さんの「小沢健二の帰還」を読みました。

    小沢健二さんが日本での音楽活動を休止して、海外に旅立ち、「流動体について」をリリースし、復活するまでの、いわゆる空白期について書かれた本ですね。

    空白期とは言っても、アルバムをリリースしたり、ツアーをしたり、文章を発表したり、上映会をしたりしてるので、日本の芸能界の第1線で音楽活動をしていない期間ということなんですけど、そんな空白期の活動の中で、音楽活動と、音楽以外の活動は、一見別々のことをしてるように見えるけど、小沢健二さんの中ではつながってるだろうなあと思ったりしました。

    そのほかに思ったのは、「ある光」の歌詞の中で、「この線路を降りたら」という表現が出てくるんですけど、これは、日本の芸能界の第1線で音楽活動をすることから降りる、という意味だということを、この本を読んで気づきました(今ごろ気づくなんて、鈍いですね・・・)。

    あと、小沢健二さん唯一のベスト・アルバム「刹那」が、「LIFE」と、曲数や構成を合わせてたりするのも(ラストがインストで終わるとか)、この本を読んで気づきました(またまた、今ごろ気づくなんて、鈍いですね・・・)。

    なので、「刹那」は、「LIFE」と対になっていて、「LIFE」はA面(陽)で、「刹那」はB面(陰)、みたいな感じなのかなあと(とはいえ、「刹那」にも、陽な曲は収録されているんですが・・・)。

    それで、先日放送された、小沢健二さんと満島ひかりさんが共演した「Mステ」も見たんですが、番組の中で、小沢健二さんが、「実は「ラブリー」は、ものすごく寂しいときに書いた曲で、「夜が深く長い時を越え」という1節があるけど、まだ越えてない状態だった」(少し言葉は違うかもしれません)という、衝撃の真実を話してました(となると、「ラブリー」の中でも、「いつか悲しみで胸がいっぱいでも(略) 続いてくのさデイズ」という1節が、リアルな歌詞なのかも。そして、「ラブリー」は、小沢健二さんのハッピーな状態を描いた曲ではなく、寂しい状態を超えて、またハッピーな日々が来てほしい、という願いが込められた曲なのかも)。

    当時の小沢健二さんは、仕事もプライベートも充実していて、テンション高めなハッピーな毎日、みたいなイメージだったけど、そりゃ現実は、そんなハッピーな毎日が続くわけはないんですよね。

    なので、当時の小沢健二さんは、無理してる部分もあったのかなあと。

    そう考えてみると、唯一のベスト・ アルバムが、「刹那」と名づけられたのも納得できるかも。

  • 人気の絶頂から突如姿を消したポップスター、小沢健二。本書は彼へのレスペクトを表明する著者が、その〝失われた際月〝をつまびらかにするもの。何より、著者の筆致がとても素晴らしく、宇多田ヒカルやくるりについての本も読んでみたくな。ニューヨークに拠点を移した小沢健二は、姿を消したわけでなく、「うさぎ!」という連作童話にメッセージを込めながら、動きを止めることなく、本を読み、ギターを弾いていた。ニューヨークへ行く直前の「ある光」、そのアンサーソングとしての「流動体について」。失われた年月をつなぐ、点と点。愛に満ちた考察で素晴らしかった。あとがき、前書きを本人にお願いして断られた、という話があったけれど、解体されることを拒みながら、明らかにこの本も読んでいるような気がする。フジロックピラミッドで歌われた「ある光」をもしかしたら最後の披露なのか、と書き筆を置いた直後(と思われる)、銀杏BOYZ峯田とのデュエットを披露しているところとか、小沢さんの宇野さんへの茶目っ気、ウィンクのような気がしてしまう。

  • <​思想が強い=究極の自由>

    9歳の私が、人生で初めていわゆる「テレビの中の人」に恋をしたのだが、それは小沢健二だった。

    SMAP、KinkiKids、TOKIO、V6、ジャニーズJr.…とジャニーズ全盛期のキラキラした時代の中で、私は他の女の子達とまったく同じように、ただ「顔が好き」というだけでアーティストの小沢健二を好きになった。顔から入って、彼の音楽を聴いた。フリッパーズギターにまで遡り、コーネリアス等その周辺にあるいわゆる渋谷系の音楽をたくさん聴いた。今思えばませガキだったなぁと思う。おじいちゃんに買ってもらった初めてのCDプレイヤーで一番最初に聴いたのは、お年玉で買った『LIFE』のアルバムだった。それからずっとCDプレイヤーは持ち歩き、塾の行き帰りはずっと小沢健二を聴いていた。中学受験の寒い日、流れ星ビバップを聴きながら帰った。

    このようにいわば小学生の頃の私の音楽スペースはほぼ小沢健二で埋め尽くされていて、私にとって彼は神に近い。そんな彼のアーティストとしての過去すべて(空白の時期まで)を含めたこの本を読むのは、「人生最高の日だと私が思った日」にしようと決めていた(どんな日かは分からないけど、例えば子供が生まれた日とかなのだろうか)。

    しかし、ネットでこの本を絶賛するテキストを読むたびに、今年のツアーを見る前には読んでおかなくてはいけないという強迫観念にかられ、とはいえ焦らしに焦らしつつ、こうして前日に読むことになった。

    「なぜ作品を、早急に短い一文に交換しなければならなのでしょう?」と小沢健二が言っているけれど、バカみたいだけど「すごかった」としか言えない。本として、というよりもやっぱり小沢健二がすごい。でも、これを集約した本もやっぱりすごい。
    だけど、もっとすごいのが小沢健二の父親の小澤俊夫さんかもしれない。
    小沢健二が中学3年の夏以降不登校になり1人で籠もってしまっていた時期について、「子どもが休みたいと思っても「寝てるのは悪い」といって、周りが許さない空気があるんじゃないの。どうせ寝るのなら、安心して寝てたほうがいいじゃない。寝る(さぼる)のもいい」と話している。この人のおかげだと思った。
    自分の中での新しい視点というか、発見もあった。でもあまりにもったいなくて、ここでは書きたくない。

    あとこの本は、栞の色がとてもよかった。今日の私の服、気候、季節と合っていた。だからよいと感じたのかもしれないけれど。

  • 2018年4月5日読了。小沢健二の「空白の期間」1997年にNYに渡り活動休止してからの散発的な作品発表、文筆活動と突然のライブ、フジロックフェスティバル出演などの活動に対する取材を著者の思い入れたっぷりに語るノンフィクション。「レコード会社のプレッシャーに制作が追い付かず、海外逃亡」、かつ場当たり的・思い付きで活動しているイメージがなきにしもあらずのオザケンの活動だったが、その行動には筋が通っており、彼にしかできないやり方で彼のやりたいことを徹底した結果だった、ということが分かった。近年のライブもアルバムもチェックしきれていなかったことが残念。「一世を風靡したポップ歌手」にとどまらない(かといってそこを否定もしない)、オザケンの今後の活動には注目していきたい。

  • 767.8

  • オザケンの評論、勉強になりました。岩波書店で、宇野さんで、オザケンという取り合わせも面白い。

  • 1998年日本から姿を消したポップスター小沢健二。昨年の復活劇までの足跡を綴っている。渋谷系、王子様という一般大衆的なワードを使わず、音楽家・作詞家・文筆家そして一人の大人の姿を徹底的に追求している。なぜ僕らがオザケン追うかが本書を読む理由だろう。‬

  • オザケンの空白期から復活までを曲や文章を通して考察された本。膨大な量の文章を元にしてるからこそオザケンの心の変化などそうなんじゃないかなと思える部分が多かった。LIFEばかり聞いてるので(笑)、それ以外のアルバムも聞いてみたくなったし、オザケンの書く文章は小難しいけどユニークで面白い。GW前後のライブ行きたい!!

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