哲学がわかる 因果性 (A VERY SHORT INTRODUCTION)
- 岩波書店 (2017年12月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000612418
作品紹介・あらすじ
「原因」と「結果」は、私たちが世界を理解する基本的な用語だ。だが、二つの事柄を原因と結果として結びつけるものが何かについて、人々の意見は分かれている。哲学者たちを悩ませてきた因果性に関する数々の難問について、いくつかの基本的な考え方を平易に解説したうえで、最後に統計を使って因果関係を探る現代の科学的方法について哲学の立場から考える。
感想・レビュー・書評
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「因果」「因果性」について哲学がどう考えてきたかを簡潔
にまとめ網羅的に解説した因果性についての哲学的見取り図
のような本。同じシリーズの形而上学ほどの構成の妙はない
のだが、上手くまとまっているのではないかと部外者でも
思えるので、きっと良い本なのだろう。
この本を読んでも、自由エネルギー理論・予測誤差最小化
理論ではどう考えるのだろうかとつい考えてしまう悪い(?)
クセが付いてしまっているなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
普段の生活では単純な規則性をもとにして「因果関係がある」といってもよいのだけど、そうしたヒュームが批判した必然性にまつわる因果から離れ、様々な「因果」について考えていく後半が勉強になった。
とくに因果関係が存在しなければ成り立たない「科学」との関係については多数の例が取り上げられていて勉強になりました。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/719268 -
大学のレポート課題のために読みました。
本書では因果性にまつわる議論が横断的に扱われています。
話の導入が丁寧で、因果論を初めて学ぶ自分でも無理なく読み進められました。
因果論の入門書として非常に良かったです。
章ごとのキーワード
1 因果性、デイヴィッド・ヒューム、バートランド・ラッセル
2 規則性(恒常的連接性)、デイヴィッド・ルイス
3 時間的先行性と近接性、イマヌエル・カント
4 反ヒューム主義、必然性、スピノザ、アリストテレス、ジョン・マッキーのinus条件、エリザベス・アンスコム
5 反事実条件、多重決定
6 物理主義、ジョン・ロック、還元主義、創発主義
7 多元主義、ナンシー・カートライト、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン、ネッド・ホール、推論主義
8 原初主義、トマス・リード
9 傾向性主義、因果的パワー
10 カール・ピアソン、ロナルド・フィッシャー、RCT、因果グラフ(ベイジアン・ネットワーク)、ベイズ主義、ブラッドフォード・ヒル基準
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ほとんどの人にとっては興味の対象外なのだろうが、因果とは何か考えさせられる本だった。
因果は規則性に存するのか、反事実条件的依存性に存するのか、物理的な量の伝達に存するのか。
どれももっともらしいが反例がある。
例えば、好きな人に触れると体が熱くなるのは、物理的な量で説明するには複雑すぎる。その人との関係性や心理状態などが関係しているからである。 -
【サポートスタッフ企画展示:2018春 ブックリスト掲載本】
▼LEARNING COMMONS イベント情報
https://lc.nul.nagoya-u.ac.jp/event/?m=201804&cat=5
▼名古屋大学附属図書館の所蔵情報はこちら
https://nagoya-m-opac.nul.nagoya-u.ac.jp/webopac/WB03546519 -
【由来】
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【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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【目次】
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180504 中央図書館
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原題:Causation: A Very Short Introduction(Oxford University Press)
著者:Stephen Mumford
著者:Rani Lill Anjum
訳者:塩野 直之
訳者:谷川 卓
出版社:岩波書店
本体1,700円+税
刊行日:2017/12/14
9784000612418
四六 並製 カバー 200ページ
「原因」と「結果」は世界を理解する基本用語だ.だが,二つの事柄を原因と結果として結びつけるものが何かについて意見は分かれている.長年人を悩ませるこの問題に関する,いくつかの基本的な考え方を紹介し平易に解説したうえで,最後に統計を使って因果関係を探る現代の科学的方法について哲学の立場から考える.
https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b330638.html
【簡易目次】
はじめに なぜ因果性なのか
第1章 問題 因果性のどこが難しいのか
第2章 規則性 結びつきのない因果性はあるか
第3章 時間と空間 原因は結果よりも前に起こるか
第4章 必然性 原因はその結果を保証するか
第5章 反事実条件的依存性 原因は違いを生じさせるか
第6章 物理主義 すべては伝達に尽きるのか
第7章 多元主義 異なる多くの因果性があるのか
第8章 原初主義 因果性は最も基礎的か
第9章 傾向性主義 何が傾向を持つのか
第10章 原因を見つける それはどこにあるのか
一言だけのあとがき
解説(谷川 卓)
日本の読者のための読書案内(谷川 卓・塩野直之)
読書案内
索引