戦争と性暴力の比較史へ向けて

  • 岩波書店 (2018年2月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784000612432

感想・レビュー・書評

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  • たまにはちゃんとした方の上野先生本も読まないとと思って読了。
    もちろん非常に悲惨な話題を取り扱っている本だから、読み始めるのに時間がかかったけど、きちんと学問的に取り組まれていて、研究の方法論的な部分も多いから、読みだしてしまえば、しんどくはない。
    中心的なテーマとしては、研究者と証言者との距離、証言者による語りと「生の記憶」との距離がある。

    最近の本なので、黒川開拓団におけるソ連軍への性接待についてとか、まさに最近話題になった内容が取り上げられている。
    完全に知らなかった話としては、ナチスの強制収容所内の売春施設についてぐらいで、その存在が長らく不可視化されてきたことの理由についての分析など、面白かった。

  • 日本軍「従軍慰安婦」や満蒙開拓団引き揚げ者のソ連兵への「性接待」など、従来は近現代史に詳しい中央大学教授の吉見義明氏が歴史学を中心に、丹念に調査し、証拠資料を元に歴史的事実が紹介されてきました。本書では、歴史学的研究は一定評価しつつも、被害者やその関係者からのナラティブな「聞き取り」とその積み重ねを丹念に行い、整理を進め、また膨大な資料を調査・対比し、編集されているのが特徴です。
    被害者である女性は何十年も「沈黙してきた」、いや「沈黙せざるを得なかった」。その背景を、「男尊女卑」、「家父長制」、「ミソジニー(女性蔑視)」、「男性の女性に対する支配欲」などの観点から読み解きます。
    現代もなお続く女性への「性差別」と「性被害」の問題の根底が、この書籍に集約されています。ジェンダー平等を進める学習書としても、是非本書をお読み下さい。

  • 【書誌情報】
    編者:上野千鶴子[うえの ちづこ]
       蘭 信三[あららぎ しんぞう]
       平井和子[ひらい かずこ]
    ジャンル 歴史
    刊行日:2018/02/23
    ISBN:9784000612432
    Cコード:0020
    体裁:四六・上製・カバー・384頁
    定価:本体2,900円+税
    https://www.iwanami.co.jp/book/b345698.html

    【簡易目次】
    はじめに[編者] [v-xviii]
    目次 [xix-xxii]

    序章 戦争と性暴力の比較史の視座[上野千鶴子] 001

    第 I 部 「慰安婦」の語られ方

    第1章 韓国の「慰安婦」証言聞き取り作業の歴史――記憶と再現をめぐる取り組み[山下英愛] 035
    第2章 「強制連行」言説と日本人「慰安婦」の不可視化[木下直子] 065
    第3章 日本軍「慰安婦」制度と性暴力――強制性と合法性をめぐる葛藤[岡田泰平] 085
    第4章 兵士と男性性――「慰安所」へ行った兵士/行かなかった兵[平井和子] 111

    第II部 語り得ない記憶

    第5章 セックスというコンタクト・ゾーン――日本占領の経験から[茶園敏美] 143
    第6章 語り出した性暴力被害者――満洲引揚者の犠牲者言説を読み解く[猪股祐介] 171
    第7章 引揚女性の「不法妊娠」と戦後日本の「中絶の自由」 [樋口恵子] 199
    第8章 ナチ・ドイツの性暴力はいかに不可視化されたか――強制収容所内売春施設を中心として[姫岡とし子] 227

    第III部 歴史学への挑戦

    第9章 性暴力と日本近代歴史学――「出会い」と「出会いそこね」 [成田龍一] 257
    第10章 戦時性暴力被害を聞き取るというこ――『黄土の村の性暴力』を手がかりにと[蘭信三] 283
    第11章 戦争と性暴力――語りの正統性をめぐって[佐藤文香] 315

    あとがき(編者) [341-344]
    文献一覧 [3-23]

  • 生存戦略として行使される女性の、、、うんうん

    岩波書店のPR
    戦争における性暴力を当然視・許容する語りに抗しつつ,また,生存戦略として行使される女性のエイジェンシー(行為主体性)を否定せずに,戦争と性暴力を問題化することはいかに可能か.性暴力当事者間の関係性のグラデーション(敵味方/同盟国/占領地/植民地,強姦/売買春/取引/恋愛/結婚)に注目し,さまざまな時代背景のなかでどのような加害・被害の語りが社会的に許容されるか,また,時期によって語りと聞き取りがいかに変遷するかを,さまざまな事例を比較して分析する.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b345698.html

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著者プロフィール

東京大学名誉教授,NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長

「2024年 『挑戦するフェミニズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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