MARCH 1 非暴力の闘い

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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000612630

感想・レビュー・書評

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  • 7月に亡くなった、米国の下院議員ジョン・ルイスが著者の一人になっている。彼は学生時代、徹底した非暴力主義のSNCC(学生非暴力調整委員)の委員長を務め、公民権運動でも大きな役割を担った人物だ。

    日本では、英語の教科書などでキング牧師の話は読むことがあると思うが、ジョン・ルイスについてはあまり知られていないのではないだろうか。
    私も全く知らず、ニュースに触れてその存在を知り、この本(コミック)を借りてみた。

    コロナ禍でますます混迷し分断が進む米国で、大きな問題となっている「BLM」。
    その根深い闇の一端を、この本を読むことでほんのわずかであるが、日本に住む我々も知ることができる。

    1960年前後の南部の過酷な現状が、如実に伝わってくる。
    そこに住む白人の考え方は、奴隷制が合法であったころから脈々と続くもので、一朝一夕には変えられないものであることがうかがい知れる。
    白人の怒りを買わないように、息をひそめて差別以上の仕打ちに耐える黒人たちの姿。
    それを今こそ変えようという大きなうねり。

    2巻のワシントン大行進へと続く。
    2020.9.26

  • 公民権運動の中心人物であるジョン・ルイスの回顧の形を取ったグラフィック・ノベル(ご本人が作者の一人)。
    絵の力は文章だけの力とはまた違った角度から衝撃を与える。
    絵を描いているネイト・パウエルの後書きに何度も頷いた。
    「娘をはじめとする今の子どもたちが成長し、受け継ぐ世界が、より人道的で、より思いやりがあり、より愛情深いものになりますように。価値ある世界にしていこうじゃないか。」
    次巻もすぐに読みたい。

  • バラク・オバマの大統領就任式の日、かつての公民権運動の闘士、ジョン・ルイス下院議員は、これまでの道のりを振り返っていた。南部の農場で育った少年時代、成長するにつれ感じるようになった不平等、そして非暴力という手法を学び、運動に身を投じて命をかけた日々……。差別の解消を求め、平等な権利を得るために、いかに人びとが闘ってきたか。レストランでの座り込みを皮切りに、フリーダム・ライド運動、ワシントン大行進、そしてセルマからモンゴメリーへの行進といった歴史的な場面を、当事者の目線でふりかえった、骨太のグラフィック・ノベル三部作。全米図書賞受賞。

    https://www.iwanami.co.jp/smp/march/

  • 試し読み
    https://yondemill.jp/contents/34435?view=1&viewer=bookview

    岩波書店のPR
    バラク・オバマの大統領就任式の日,かつての公民権運動の闘士,ジョン・ルイス下院議員は,これまでの道のりを振り返っていた.南部の農場で生まれ育った少年が,いかにして差別に対抗する非暴力の手法を学び,運動に身を投じるようになったのか.公民権運動の歴史を当事者の目線で描く,骨太のグラフィック・ノベル第一弾.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b352581.html

  • 非暴力の闘いは無謀な行為ではありません。厳しい訓練や綿密な計画は欠かせないです。もちろん法治社会を前提としています。

  • 青春の本棚(ブックガイド)から。苦手な左→右タイプの漫画だし、まだ序盤だけど、これは最後まで興味深く通読できそう。愚かな暴力のせいで、世界中に暗雲が立ち込めている今日、なおさら本作の非暴力が意味を持つ。

  • 公民権運動のリーダーの一人ジョン・ルイスの若かりし頃の活動を振り返った自伝的なマンガ。3部作となっている。マンガで読みやすいとはいえ、内容の濃さと描かれている内容の重さから、じっくりと味わいながら読む必要がある(知らない人も多く、途中で誰が誰だかわからなくなってしまったりする)

    マンガという形をとることで、公民権運動が戦った差別主義の強固さ、不条理さ、残酷さがこれでもかと感じることができるし、この状況のなかでも非暴力の戦いを続けるルイス、そして多くのリーダー、無名の人々の勇気に感動する。

    キング牧師もところどころで出てくるが、話の中心は、ルイス自身の体験した物語り。キング牧師を尊敬しつつも、ときどき距離を感じたり、違和感を抱いたりするところも率直に描かれている。

    が、ルイスの非暴力の人種の違いを超えた戦いに対しても、彼が委員長を務めている組織のなかでさえ、異論は多く、徐々に孤立していくようすが描かれている。

    最後の第3巻の65年のセルマでの闘争と投票権をもって、ルイスの「公民権運動」は終了するわけだが、それをもって人種差別がすべてなくなるわけでもない。まだまだ、人種差別を実質的に実現するために解決しなければならない問題はたくさんあるし、経済的な側面での不平等という問題になると、さらに多くの課題がある。

    とはいえ、50年代中盤〜60年代中盤に実現したさまざまな成果は、それ以前と比べると、信じられないものだと思う。

    公民権運動について学ぶと、当時の南部の白人の人種差別の激しさ、暴力性に驚き、これが冷戦下において、自由と民主主義を掲げていた国の内部実態かと思うと暗澹たる思いになる。ある意味、これは、ナティスを支持したドイツ国民と同じではないかと。。。。

    だが、自分がそのとき南部の白人だったらどうしただろう?と思うと、同じようなことを「それがルールだから」「これまでそうしてきたから」とやってしまう、あるいは黙認してしまうのではないだろうかという思いも。。。

    人間のなかにある残酷性と尊厳性をじっくりと味わうことができた。

  • ◆7/21オンライン企画「差別ってなんだろう?~#BlackLivesMatter を通して考える~」で紹介されています。
    https://www.youtube.com/watch?v=TUnY1wjcFsY&feature=youtu.be
    本の詳細
    https://www.iwanami.co.jp/book/b352581.html

  • 仕事上の必要があって、社会派アメリカン・コミック『MARCH』全3巻を一気読み。

    アメリカでは「グラフィック・ノベル」として位置付けられるタイプの作品で、一般的なアメコミ(マーベルとかDCとかの)とは印象が大きく異なる。

    絵は1ページ1ページがそれぞれイラストとして価値を持つような見事なものだが、それでいて読みにくくはない。日本のマンガに慣れた読者にも抵抗なく読める。

    公民権運動において重要な役割を果たした「ビッグ6」の一人に数えられるジョン・ルイスの歩みを描いたものだ。

    ルイスの少年時代が描かれる序盤は、正直退屈。黒人差別に抗する闘いが具体的に始まる1950年代後半あたりから、徐々に面白くなる。
    ワシントン大行進の舞台裏が描かれる第2巻の途中あたりからは、ぐいぐい引き込まれた。

    マーティン・ルーサー・キングもローザ・パークスも、ケネディ大統領もマルコムXも登場する。
    が、日本ではあまり知られていない、公民権運動の末端の様子が詳細に描かれており、そのへんこそが最も面白かった。
    黒人側もけっして一枚岩ではなく、意見の相違と衝突がしょっちゅう起こっていたあたりがリアル。

    「ああ、そういうことだったのか」と本作で初めてわかったことも、たくさんある。
    米国の公民権運動について、ハリウッド映画などから知った断片的な情報で「知ってるつもり」でいたが、そのじつ、深いところまで理解できていなかった。

    21世紀の日本を担う若者たちにこそ読ませたい。全3巻揃えると7500円もする高価なコミックなので、10代が買うのはシンドいだろうが、図書館で借りてでも読んでほしい。

  • 2018.08.22 品川読書会で紹介を受ける。

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