おべんとうの時間がきらいだった

著者 :
  • 岩波書店
4.09
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本棚登録 : 176
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000614085

作品紹介・あらすじ

「弁当というものは、残酷だ。中学1年生で、私はそう思った。自分が背負っている家族を、小さな箱と向き合う度にいつも突きつけられる……どうかわかりませんように、気づかれませんように」。ANAの機内誌『翼の王国』の人気連載「おべんとうの時間」が誕生するまでの家族の軌跡。著者自身の「おべんとうの時間」がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 食を通して考える、家族、夫婦と子を語る、自伝的エッセイ。
    I 父と母
       おべんとうの時間  音の番人  『E.T.』のピザ
    II アメリカの家族
       トイレでかじるドーナツ  ハーリー家のごはん
    III 夫と娘
       ニッポン チャチャチャ  家族巡業のはじまり  父の弁当
    夫婦での作品「おべんとうの時間」の文を担当する、著者のエッセイ。
    家族への葛藤の悩みを語り、家族とは何かを読者に問いかける。
    中学生時代のお弁当と家族との葛藤。
    高校生時代のアメリカ留学先でのランチと人間関係の悩み。
    “弁当の人”との出会いと結婚で得た“料理は心”と食べることの
    楽しみ。“弁当を食べる人”撮影に揺れる心と気持ちの変化。
    幼い娘も一緒に夫婦で、日本各地へ撮影と取材・・・そこで出会った
    人々と“お弁当”は無限大の世界を広げてくれる。
    食べることは糧。人との出会いは心の糧。
    そして時の流れは成長を促し、心を柔軟に変化させてゆく。
    最初の、父と母、自分と父、自分と母・・・との関係はきつかったですが、
    晩年の父の姿と最後に父と母を受け入れる穏やかな文章は
    しみじみとした心境で読むことができました。
    「おべんとうの時間」の撮影と取材、連載に至る話も良かったです。

  • 「おべんとうの時間」は大好きなシリーズ。いろんな人の、特別ではないいつものお弁当から見えてくる「その人らしさ」にしみじみ胸を打たれる。阿部了氏の写真がいいのはもちろんだけど、私は直美さんの文章が本当に好きで、折に触れて読みたくなる。

    その直美さんが、「おべんとう」というものにこんなに複雑な思いを抱いていたとは…。確かに、お弁当には家庭や家族のありようが如実に表れるもので、みんながみんな温かい思い出ばかりというわけにはいかないというのは、考えてみれば当たり前なのだった。家族との葛藤を抱えながら、書くことで自分の道を開いていく著者の姿は、一人の働く女性として胸に迫ってくるものがある。

    一方夫の了氏は、「サラメシ」で見る明るいキャラそのままの人のようで、この方がまあ実にいい味わいなのだ。直美さんは本当にいい人と出会って、いい家庭を持ったんだなとなんだか嬉しくなってしまった。

  • 阿部直美さん「おべんとうの時間がきらいだった」インタビュー 家族みつめる13年の「旅」 好書好日
    https://book.asahi.com/article/13561687

    岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b508171.html

  • 「おべんとうの時間」という連載は知らなかったけれど、サラメシは好きで、たまに観ている。

    阿部直美さんの子供時代から現在までを詳細に綴ってあるのだけれど、子供時代について記した前半部分は読んでいるだけでつらくて、胸がぎゅーっと縮こまるような気分だった。

    怒ると手がつけられず、家族にも周りにも怒鳴り散らす父親と、不満を抱えながらも父の言いなりで、かといって娘に寄り添ってくれることもない母親。

    家庭内には、本来あるはずの安らぎがなく、絶えず重苦しい。そんな著者にとっては、お弁当の時間が何よりも苦痛で、家族の重苦しい気がそのまま詰まったような茶色い弁当が嫌で嫌でたまらない。

    正直、阿部さんがよく精神的に参らずに過ごすことができたな〜というくらい、父も母も強烈…。「亭主関白」ではくくれないくらい、いびつだ。

    お弁当に詰まっているのは、おかずだけじゃなくて、家族の姿そのものなのだと改めて思う。どれだけ手の込んだものを作っても、作り手が暗い気分であれば意味がないし、たとえ冷食でも、作る人が鼻歌交じりならばそれはハッピーなお弁当になる。

    この本を読んで、私の家族のことが頭に浮かぶ。

    私の幼い娘にも、いずれお弁当を持たせる日が来る。私の作ったお弁当を、できればにこにこ食べてもらいたい。

    そして、高校時代には朝5時過ぎに起きて、お弁当を毎日作ってくれていた母のことも思い起こされる。母と私は何でも話せるような関係ではないし、ヒリヒリするような喧嘩を何度もしてきたけれど、母のお弁当には、私が健康で美味しくお昼を過ごせるようにとの思いが詰まっていたなとようやく気づく。

    お弁当を通して、家族の姿が見えてくる一冊です。きっとこの本を手に取る人は、家族というテーマに何かしらの思いがあるはず。これから何度も繰り返し読みたい。



  • 「茶色弁当」。みんな自分のお弁当は、そう思っていたんですね。私もそうでした。母に良く文句を言ったものです。

    自分が母になり、お弁当というものは最も高度な料理ではないかと思うようになりました。手短かに作る必要があり、かつ栄養のバランスを考え、さらに数時間後に食べる、もっといえば食材同士が混ざって変な味にならない、という配慮が必要です。

    それはそうと。

    本書は、構成が素晴らしい。面白くできていると思いました。

    自分の中学時の弁当→家族のこと→食事→米国留学時のホームステイ先→留学で変わった価値観→若い頃のフットワーク→結婚→新しい家族(ここから3つに分割)1)父の死、2)ヨウ 3)サトル君  そして弁当の写真。最後に、母に感謝する父、飾らない母、と展開していきます。

    よく考えられた流れ。編集者さんが素晴らしいのか、著者のセンスなのか分かりませんが、文章を書くものとして見習いたいなと思いました。

    そして最後に父母を受け入れられたこと、良かったな。という読後感です。

  • ふむ

  • 作者のヒリヒリする生い立ちが、
    パートナーと出会うことで昇華されていく。

    特に強烈なキャラクターのお父さん。
    むかしはこういう雷親父がよくいたような
    気がするけど、それにしてもDV
    と紙一重のわがままさ。

    ホームステイのくだりは、自分も似たような
    経験をしただけに、読んでて辛かった。

    前半は読むのが辛いけど、後半からラストに
    かけて、作者が自分の中で落とし所を
    見つけるとともに、読む方も救われる。

    全編を通して、食がモチーフになっていて、
    食は人を表すんだなということがよくわかる。
    お弁当はその時代の記録。
    わたしも記録しておこう。

  • 文春の連載で平松洋子さんが推していた。
    強烈なお父さん!
    よくぞ阿部さんがぐれずに育ったって感じ。
    昭和のお父さんってよく怒っていた。
    うちの父も、明治生まれの祖父も。
    でも、阿部さんのお父さんはその何倍も強烈だ。
    アメリカ留学時代の話も、その場で経験しないと見えなかった景色だと思う。
    ダンナさんとの馴れ初めなど、とてもおもしろいけど、よくぞここまで書いてくれました。
    あとがきの小黒さん、ラジオでよく声を聞いていたので、口調が聞こえる。
    阿部さんの誠実さが伝わってくる。

  •  この本のタイトル、気になりませんか?「何で?」と思う人もいれば、「わかる わかる」と思う人もいるでしょう。
     お弁当にまつわる家族の話や、高校生の頃に留学したアメリカでの苦労話などが綴られたエッセイです。アメリカのホストファミリーとの出会いで、自分のことや、大嫌いだった家族のことを客観的に見られるようになるところなど、みなさんも共感できるかもしれませんね。
     家族や将来のことでもやもやを抱えている人には、考えるヒントが見つかるかもしれませんよ。

  • 家族って難しいよね。自分に照らし合わせて、改めて思った。

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著者プロフィール

1970年群馬県生まれ。獨協大学外国語学部卒業後、情報サービスの会社に就職。4年間の会社員生活のあと、雑誌編集部、音楽事務所などを経て現在はフリーランスのライター。 季刊新聞「リトルヘブン」で写真家の芥川仁氏とともに日本全国を巡り、人々の暮らしや土地の魅力を伝えている。著書に『おべんとうの時間がきらいだった』(岩波書店)、『里の時間』(共著、岩波新書)。

「2021年 『東京商店夫婦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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