• 岩波書店 (2020年10月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (222ページ) / ISBN・EAN: 9784000614276

作品紹介・あらすじ

「総理、芦部信喜さんという憲法学者、ご存じですか」「私は存じ上げておりません」(国会答弁より)。戦後憲法学のスタンダードをつくったのは、どんな人物だったのか。学徒出陣の戦争体験。実際の裁判にも関与し、後半生を懸け「憲法訴訟論」を開拓するまで。独自入手した資料を交え、その足跡を再現する。識者一三名のインタビューも収録。

みんなの感想まとめ

憲法の重要性とその背景を深く掘り下げた作品は、戦後の憲法学を築いた人物の足跡を追い、私たちの権利を守る憲法の意義を再認識させてくれます。著者は、憲法改正問題に関心を持つ中で、芦部教授との縁を通じて、そ...

感想・レビュー・書評

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  • 様々な憲法論議がある。その憲法とは何か。私たちの権利を保障する根幹であり国家権力の横暴を抑止する効力である。その理解の欠如が、まさに民と為政者の平衡を危うくするものであり、学校教育も含めて私たちは政治により関心を抱く必要性がある。でなければ、この国は勇ましい言葉と共にまたも戦争という悲劇へと行進するであろう。憲法第9条の平和主義を疎かにしてはならない。これは右左の信条とは関係なく人として守るべき尊厳にも通じる。戦争とは命を軽視する愚行にほかならない。当書で取り上げられる靖国参拝は合憲か、違憲か、結果ありきの靖国懇は、不穏な進路に気付かないマジョリティの思い上がりがちらついている。

  • 法学部で憲法を学んだ者で芦部教授を知らないというのは如何に真面目に学んでいないのかを自白するようなものだが、それが成蹊大学法学部出身の安倍晋三で憲法改正を目論んでいたのだから悪い冗談だ。
    著者は芦部教授と同郷で高校の後輩という縁から、信濃毎日新聞の論説委員となってから憲法改正問題を通じて関心を持ったそうだ。
    本書で特に注目したのは、著者がジャーナリストとしての嗅覚を生かした番外編2つのスクープ。
    1つは第4章国家と宗教でも取り上げられる閣僚の靖国神社公式参拝問題だ。
    戦前の国家神道が政治と不可分に密着し、軍隊を神格化し国への貢献を精神的に鼓舞してきた罪の大きさから現行憲法に設けられた政教分離原則との関係を中心にその参拝の在り方を検討する懇談会が中曽根内閣の官房長官の私的諮問機関として設けられ、芦部教授も委員として参加している。
    その議事録21回分が長く公開されなかったが、著者の情報公開法請求で2回から12回分まで開示される。
    しかし残りは不明という奇妙な結果。
    本書では第7回の議事録が掲載され、曽野綾子のような体制よりと見られた委員がキリスト者として参拝反対と発言するなど興味深い。
    2つ目は地方レベルでの政教分離の問題として県知の護国神社参拝について歴代の長野県知事(田中康夫を除き)が護国神社の支援組織「崇敬者会」の会長を務め、寄付集めの趣意書にも名を連ねる実態だ。
    また芦部教授が多くの憲法訴訟で意見書を提出し、平和と人権を擁護する立場から活動してきた事実に敬意を表したい。

  • •評伝と思っていたけど少し違った
    •少し著者の主観的な面があるように感じた
    •憲法学者などへのインタビューは良い
    •芦部先生についてもっと知りたいと思った(芦部憲法を読もうかな)
    •芦部先生の(大河?)ドラマが作られると面白いと思う

  • 良書。
    こういう人がいたということがしみじみありがたいし、でもこういう人は亡くなっていきつつあるという現実も思い出すし、こういう本が出版されて嬉しいし、岩波書店は潰れないでいてほしい。

    芦部先生の基本書にもう一度向き合おうかな...。

  • かなり面白かった。端々で泣けた。いろんな人が薦める理由がよく分かる。芦部先生がこんなに熱い人だったなんて。勘違いしていましたごめんなさいと心から謝りたい。
    取材対象の広さに感服。

  • 私が司法試験の勉強をしていたときは、佐藤幸治「憲法」、そして、まだ教科書も出ていなかったけど(マスメディア法とアメリカ憲法入門はあった)、松井茂記先生のお考えにどっぷりハマっていて、芦部説はあまり触れてなかった。通説だというので、芦部憲法も読んだけど、岩波の芦部憲法(確か、平成5年ころ?)の初版が出たときは司法試験に合格する年だったから、私が読んだのは放送大学のテキストだったはず。
     私は松井茂記先生(当時、留学帰りで助教授だった)の講義に出て、指定教科書が佐藤幸治憲法だったのに、それとも違うプロセス憲法観を黒板いっぱい使ってエネルギッシュに展開する姿にガビーンとなり、本気で法律を学び、また、司法試験を目指すことにしたのだった。
     だから、芦部放送大学テキストは物足りなく感じ、その後も、論文や、岩波憲法も読んでなかった。
     しかし、それから四半世紀以上が経って、芦部先生の評伝としての本書を読んで、芦部憲法に正面から取り組んでなかったことを後悔した。なので、今からでも遅くないから、読んでみよう(なお、佐藤幸治先生の日本国憲法の第2版も買ったまま読んでないので、読んでみよう)。
     平和の希求、人間の尊厳、人権に対する芦部先生のまなざしに触れる思いのする評伝でした。広く読まれるべきですね。

  • 著者による信濃毎日新聞(信毎)連載を単行本にしたもの。
    個人の尊厳を最高価値として憲法は読まれるべきであるという芦部憲法学のエッセンスが内容。

  • 東2法経図・6F開架:289.1A/A92w//K

  • 芦部氏の考え方の根底にあるものを理解できるのではないかと思う。信濃毎日新聞の連載をまとめた本 見落とした回もあったのでじっくり読みたかった。

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著者プロフィール

1948年生。慶應義塾大学教授(2014年3月まで)。
東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。
1986年、ハーバード大学社会学部訪問研究員、1998年、ハーバード大学エンチン研究所訪問教授。専門は家族社会学、教育社会学。主な著書に『勉強と居場所――学校と家族の日韓比較』(共編著、勁草書房 、2013)、『いま、この日本の家族――絆のゆくえ』(共著、弘文堂 、2010)、『現代日本の社会意識――家族・子ども・ジェンダー』(編著 、慶應義塾大学出版会、2005)、『現代家族の構造と変容――全国家族調査[NFRJ98]による計量分析』 (共編著、東京大学出版会、2004)ほか。主要論文に「個人・役割・社会――役割概念の統合をめざして」(『思想』686号、1981.8)ほか。

「2014年 『モデル構成から家族社会学へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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