岸惠子自伝 卵を割らなければ,オムレツは食べられない

  • 岩波書店 (2021年5月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (350ページ) / ISBN・EAN: 9784000614658

作品紹介・あらすじ

戦争体験、女優デビュー、人気絶頂期の国際結婚、医師・映画監督である夫イヴ・シァンピと過ごした日々、娘デルフィーヌの逞しい成長への歓びと哀しみ……。その馥郁たる人生を、川端康成、市川崑ら文化人・映画人たちとの交流や、中東・アフリカで敢行した苛酷な取材経験なども織り交ぜ、綴る。円熟の筆が紡ぎ出す渾身の自伝。

みんなの感想まとめ

人生の豊かな経験を綴った自伝は、著者の戦争体験から女優デビュー、国際結婚、そしてジャーナリストとしての活動に至るまで、多彩なエピソードが詰まっています。彼女の幼少期の活発さや家族への深い愛情は、読者に...

感想・レビュー・書評

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  • 印字はわりと大きめで拍子抜けしたけど、岸さんのご経歴を知らずとも一から丁寧に辿ってくれているから、リラックスして読み進められた。(巻末の年表から目を通したけど知っている箇所が数ヶ所しかなくて焦った汗)

    幼少期からお母様に似て容姿端麗。それでいて、清々しい程のお転婆っぷり。(ときどき激情型…)表紙のようにキリッとした表情も勿論素敵だけど、ふと頬を緩めて笑顔を見せた時は心の底から安心感がわいてくる。本当に特別な方だけれども、大好きな祖父への慕情とか(おこがましくも)親近感を抱いた点もあった。

    「うまい女優」であるよりも「いい女優」でありたい。映画産業が全盛期の時代に芸一本で生きていきたくない、世界と関わっていきたいと考えられていた。”stunning”のワードが脳裏をよぎる。前衛的だけど思い返せば幼少期から近所や旅先で外国人と接する機会に恵まれていたし、そう希求しちゃうのも無理もないか。それ故に国際結婚で成田を発つ場面は最高に輝かしかった。(因みに仲人さんは意外な方…!)

    離婚後メキシコを訪問したというエピソードにて不思議な体験をした。彼女が見たハゲタカが、数十年前の空襲で同じく低空飛行していた爆撃機と思いがけず重なった。木に登って爆撃から逃れようとしていた女の子が今、遠い外国でたくましく生きている。「何が何でも生きてやる」という気概に両者通じるものがあったのか。突如として舞い降りたこのビジョンは読了してからもぼんやり揺らめいていた。

    「夕空に虹がかかるのを待たず、わたしが虹を咲かせようと思った」

    格調高い奥様のイメージが強すぎて、本書の副題負けしない行動力を生涯何度も発揮されているとはつゆ知らず。
    本書でそんなカッコイイ岸さんを知ってからは「それでこそ岸さん」と何度も手を叩いた。ご家族との団欒を惜しむのは確かに少しでも取り戻していって欲しいと自分も思う。でももっとやりたい事にも沢山踏み込んで、引き続き世界と関わっていかれるところも見ていたい。

  • 岸惠子の好奇心は衰え知らず 円熟と若々しさが同居した自伝 - 映画な生活 - 芸能コラム : 日刊スポーツ
    https://www.nikkansports.com/m/entertainment/column/aihara/news/202104220000204_m.html?mode=all

    岸惠子自伝 - 卵を割らなければ,オムレツは食べられない(岩波書店刊
    https://www.iwanami.co.jp/kishikeiko/

    岸惠子自伝 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b570605.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      運命すら操る生き方 客観的に
      評 中江有里(女優、作家)
      <書評>岸惠子自伝:北海道新聞 どうしん電子版
      https://www.ho...
      運命すら操る生き方 客観的に
      評 中江有里(女優、作家)
      <書評>岸惠子自伝:北海道新聞 どうしん電子版
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/557823?rct=s_books
      2021/06/21
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      岸惠子さんの名言は自分流に生きる勇気がもらえる! | ハルメク暮らし
      https://halmek.co.jp/life/c/tips/41...
      岸惠子さんの名言は自分流に生きる勇気がもらえる! | ハルメク暮らし
      https://halmek.co.jp/life/c/tips/4109
      2021/07/02
  • 女優の括りでは収まらないスケール感のある国際人の自伝です。美貌や才能だけではない、人を惹きつけて止まない魅力があるのでしょう。人との出会いが新たな活動の舞台の拡がりになり、それを成功させるから、また、次の世界が広がっていく。そんな人生があるのですね。でも、その家庭を見返らない生活のせいか、離婚を経験し、親子関係もしっくりしません。ところどころで日本のエピソードが挟まれますが、記される日本人の島国根性丸出しには情けなくなります。これからも世界的に活躍する人は出てくるでしょうが、なかなかサン=ルイ島に住まう人は現れないでしょうね。

  • 2021年5月
    岸惠子さんは偉大な女優だと思っていて、作家としての活動をよく知らなかった。なんてこった。
    序盤ですぐ著者が素晴らしい作家でもあることがわかる。尊敬する先輩とのエピソードを回想し、その先輩の言葉に自分はそう思わなかったとさらりと書くというのは案外できないものだろう。
    様々な思い出が著者独自の視線で語られ、どれも面白いが、とくに興味をひかれたのは50代からの国際ジャーナリストとしての活動である。
    フランスで起きたイランの元将軍の暗殺事件に興味を持ち「自分の眼で見て、肌で感じる」ために単身イランへ向かうのが著者51歳の時。一度では何もわからないと再訪するわけだが、このイランでの取材活動が大きな転機の一つだろう。
    たまにわたしよりも10歳20歳若い友人の話を聞きながら「わかるよ、わかるけど、それには10年後20年後の人生の続きがあってだな…」なんて思ったりするのだが、この自伝は著者が現在88歳ということで、わたしにわたしの人生の続き考えさせてくれる一冊になった。

  • 女優 岸惠子さん。
    自分にとっては邦画のナンバーワンである「悪魔の手毬唄」のヒロイン。
    しかしながら、その人の人生において女優業は多彩な顔の一つに過ぎない。
    女優だけの芸能事務所を立ち上げ、フランス人映画監督であり医師でもあったイヴ・シァンピとの国際結婚を経てフランスに住み、NHK BSのパリキャスターとしてマイクを握り、革命直後のイランや、アフリカ、イスラエルに赴き取材をする、そしてそれらを本にまとめて出版する、、、大事な記念品を機内に忘れて紛失したりする天然ぶりも交えながらそれらの思い出を語る語り口は齢九十歳になるとは思えない「天真爛漫」さに溢れている。
    しかし、一方で、故郷横浜で幼少期に遭遇した空襲や疎開先での暮らしや、仕事に熱中するあまり愛する家族を孤独にしてしまい、最愛の家族と距離を置かざるを得なくなってしまう寂しさには、それでも必死に生きてきた重さも感じさせる。
    そして、そういう入り組んだ自らの物語をサラサラと淀みなく語る文章の旨さ。
    脱帽です。

  • 「映画」はよく観るほうです
    でも 女優「岸恵子」さんで選んだ映画は
    残念ながら…
    「たそがれ清兵衛」も観てはいるのですが…

    なんとなく エッセイも綴っておられるらしい
    というぐらいの方でした

    図書館の新刊の棚に
    「岸恵子自伝」というよりも
    この本が「岩波書店」から出ている
    事の方に興味が傾いて
    読み始めた一冊でした

    いゃあ 見事に 裏切られました
    1930年のお生まれ
    それからの世相史として
    読ませてもらった気がします

    むろん
    個々のエピソードもなかなかのものですが
    自分の目で見て
    自分の耳で聞いて
    自分の頭で考えて
    自分の足で歩く
    そこのところが
    とても 恰好いい

    「凛」としたお人柄が
    伝わってきます

  • 岸恵子さん、そこまで作品見たことがないけど最近テレビでおめがけしないな〜と思って聞いてみた。面白かった。パリにそんなに長く住んでいたなんて。

  • 卵を割らなければ、オムレツは食べられない。

    この副題に心惹かれた。

    彼女の自伝では3つの卵が割られた。
    いずれも、確固たる彼女の意志が感じられた。
    激動の時代に生き、
    こんな風に自分で決める、選び取る人生を
    すごいなと素直に感じる。

    類稀なる美しい容姿と才能をお持ちなのだろう。
    でもそれだけでは終わらせず、
    努力の部分の多くは語らず、
    魅力あふれる女性の生き様として読んだ。

    日経新聞の連載「私の履歴書」
    後追いとなるが、こちらも読んでみたい。

  • 岸惠子さん。90歳。女優だけどパリに住んで国際ジャーナリストとして活躍してる。。本書にもある、日本にも欧州にも根付かない生き方。なんとなくモヤモヤしてたイメージ。。本書を読んで、その活躍ぶりにとても凄いお方なのだということがわかりました。
    イラン、アフリカ、ロシア、東欧、、、現場に足を運んだエピソードを綴っています。どれも面白い話ばかり。。冒険家高野秀行さんの文章も好きですが、それと同じ感じ。。
    読んでると、とにかくスケールでかく生きなければと思わされます。文章も装丁も読みやすい本でした。

  • 容姿、実力にも恵まれた女優さんであることは間違いない。ジャーナリスト的活動に転身できたことも、その幸運に一因する部分もあるだろう。けれど本書を読んで思ったのは、想像以上に信念の人であり無鉄砲の人であった。娘家族との別れを「三つ目の卵を割った」と表現し、違和感やひずみを見ないふりせず、甘い幸せに溺れず、また違う場所へ向かい出すところは、少し破滅的なほど。

  • 美人、知的、おてんば
    今、周りを見渡してこんな破天荒な人がいるだろうか?
    冒険心と知性と美貌を携えた...

    本のあとがきのその後に略年譜が添えられており
    今年2021年 − 岸恵子生まれ年 1932年=89

    89??
    電卓を引っ張り出して再度計算 89だ

    なんと89歳...
    美しく冒険好きな おばけだ!と思ってしまった...

    誰もこんな風に生きられない...
    老いとか歳をとるとか...
    なんかすごい...謎だ...

  • 大女優は稀代の名文家でもある。79年の日仏波乱の人生を振り返る。

    横浜出身。空襲体験から松竹の研究生から「君の名は」で大スターに。フランス人の映画監督イヴ・シャンピとの国際結婚と渡仏。映画からジャーナリストへ。波乱の人生。

    高峰秀子でも感じたが女優として頂点を極めた人の観察眼と表現力は素晴らしい。一芸に秀でるとは多芸につながるということが良く分かる。

  • フランスと日本を行き来する美しいお洒落な女優さんという認識しかなかった自分を恥じた。強く、たくましく、エネルギッシュで命知らず。しかし、そこには強い自己顕示欲はなく、ある意味飄々とした生き方をしてきた人。それを知ることができた一冊。

  •  著者の岸恵子さん。日本を代表する女優のおひとりですが、エッセイストとしても何冊も著作を世に出しています。
     私としては、岸さんが出演された映画は「悪魔の手毬唄」「女王蜂」「たそがれ清兵衛」ぐらいしか観てはいませんが、それでも流石の存在感でした。
     本書は、ご本人による自伝。岸さんの様々な面を垣間見ることができるとても興味深いエピソードが満載です。

  • 女優岸惠子さんの出演作品は『細雪』と『悪魔の手鞠歌』しか見たことがないし、著作は今読んだこの自伝以外は一冊も読んだことがない。でも『細雪』には愛着があるので、それだけで「岸惠子といえば長女鶴子の人でしょ、大好き」と、“世代が違う割にはよく知ってるしそれなりに好きな女優さん”といった感情を持っている。だから読んだ。

    横浜で育った子ども時代、戦争体験、女優人生のスタート、『君の名は』の大ヒット、フランス人医師で映画監督のイヴ・シァンピとの結婚、私的海外渡航が認められていなかった時代のパリ移住、離婚、国際ジャーナリストとしての活動、娘や孫や両親のこと・・・。内容はそんなところ。

    ご本人としては、女優よりもジャーナリストや作家として活動しているときのほうがより強くやり甲斐を感じられていたようだが、そうした仕事は権威筋からは邪険にされたり、揶揄されたり、色々あったらしい。想像に難くないことではあるが、その悔しさ歯痒さプライドがイタいほど伝わってくる。
    また、家族のことを語る際はどこか冷めていてなんとなく距離感がある。それがカッコいいともいえるし、寂しげにも見える。

    終章で、庭で伸び放題のミモザの木が、土のなかではか細い根で辛うじて自分を支えている様子を「私に似ている」と語るところが、切なくて、一番好きな箇所だ。ミモザは根が弱いので、普通は枝が広がりすぎないよう剪定してあげるものらしい。それを知ってなおさら、「どこにも根付かなくたっていい、剪定なんかするものか、広がれ広がれ」とやけくそにも見える態度でミモザを見守る岸惠子。

    全体に、いけすかなさと紙一重の気高さにゾクゾクさせられた。なんだかんだいっても、いくつになっても若々しくてきれいでおしゃれな雰囲気を保ち続けているのだ。敬意をもって「女優さん」と私は呼びたいけどな。

    それにしても、自伝というジャンルの読み物は、読む前は正直あまりワクワクしないのだがいざ読んでみると面白い。内容以上に、語り口に人となりが隠しようもなく出るところが、面白い。

  • ★▼「岸惠子自伝」岸惠子。2021年岩波書店。岩波書店から出てるってところがナルホドですね。なんというか、プライドと希少価値が滲み出てる(笑)。

    ▼問答無用の大女優(&作家、ジャーナリスト)・岸惠子さんの自伝。ファンの方は、かなり多くの経緯はさまざまなエッセイなどで知っていることが多いのでしょうが。

    ▼なにしろ、1932年生まれです。もうすぐ90歳です。そりゃ運も拍子もあるかもですが、10代の頃から自分で働いて稼いで人気商売浮き沈み、国際結婚離婚にキャスター稼業…もう単純にほとんど「戦後史」的面白さです。なんというか、岸惠子さんが素晴らしいかどうかというよりも、「この70年を、色んな場所で、色んな仕事で派手に生きてきた女性の物語」というだけで、日本人としては相当にオモシロイ。
    (無論のこと、中盤以降はかなり「うーん、まあつまり、自慢か?」という要素は4割方はありますが)

    ▼その上、個人的には映画好きであり、映画史好きであり、日本映画史好きだったりするので、うーんなんというか、プロ野球ファンの人が、ドラマチックなシーズンの振り返り記事を読むような、そういうなんかもう読んでるだけで時間が止まっちゃうみたいな楽しさ、強烈にありました。
     やっぱり知名度としては「君の名は」なんだけど、日本の映画ファンに開かれた有名作の中で秀逸なのは「おとうと」「悪魔の手鞠歌」それからあんまり大きな役では無いけれど「細雪」。つまりは、小津作品よりも市川崑作品で輝いていたなあと改めて。こういうのは言葉にし難い、”相性”みたいなものなんでしょうね。
    (でも個人的には豊田四郎監督の「雪国」が最高の岸惠子さんだったと思ってますけれど。脱線するんですが「雪国」「墨東綺譚」「夫婦善哉」の3本だけでも豊田四郎さんはモノスゴイと思っています。もっと評価されてしかるべき。まあされてはいますけれど)

  • ”卵を割らなければ、オムレツは作れない”とういのは
    冒険をしなけらば、結果は得られないというフランスの諺らしい。
    著者はこれまでいくつもの卵を自らの手で割ったきた、この自伝にはそれがつぶさに書かれている。
    綺麗、綺麗だけの女優さんではないことは、うっすらわかっていたけど、まさかここまでとは。
    そしてなんと強運の持ち主。
    美智子妃とのエピソードも(著者の車が見えなくなるまで御所の前でひとり手を振り続けておられたという)印象的だった。

  • さすがに華麗な人生。一方でただのきれいな女優さんではない姿もそこかしこに出てくる。かつ、岸惠子って聡明な人だと思っていたけどそうでもないのかなというエピソードもちらほら。向こう見ずで突っ走っては危険な目に遭うこともしばしば。
    何となくしみたのは娘夫婦と同居するなかで出過ぎてしまい疎まれているのを感じて去るところ。夫と別れたときなど自分で家族を壊してきてしまった記憶を反芻するところは、人からは羨まれるような人生のようでもままならぬことがあるのだなあと思ったり。
    350ページほどもあるのでちょっといそがしいなかで読めるだろうかと思ったけど、わりと字が大きかったのもあったし、何より内容がおもしろくてどんどん読めた。読者は年配者が多いだろうから字を大きくしとくのはよいと思う。

  •  
    ── 岸 惠子《自伝 20210429 岩波書店》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4000614657
     
    (20240829)

  • この女優さんがそもそもインテリで、根っからの女優としてその身を捧げているわけではないからか、いつも感じる「大女優の自伝は面白い」という感想が特にうかばなかった。「女優としてその身を捧げ」たくはない旨、ご本人も長谷川一夫との会話を再現しながら語っている。

    全体の基調として流れる、それぞれきちんと取り繕いながらも、至る所で特定できる人に毒を吐いているそのタッチは面白かった。

    ちなみに途中で掲載される、盟友有馬稲子と当時の夫中村錦之助、さらには長嶋・王・野村・稲尾という野球史のトップ中のトップとのパリのご自宅での集合写真は、必見だと思う。まさに昭和の大スターが集合したとんでもないシーン。

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