地球を壊す暮らし方 帝国型生活様式と新たな搾取

  • 岩波書店 (2021年6月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (330ページ) / ISBN・EAN: 9784000614757

作品紹介・あらすじ

グローバル・サウスから労働と資源を奪いつつ、排出物と廃棄物を押しつけることで成り立つ私たちの暮らし=〈帝国型生活様式〉。罪の意識を感じることなく地球環境を破壊するライフスタイルは、どのように広がり維持されてきたのか。グローバルな支配と搾取の構造を描き出し、ドイツで異例のベストセラーとなった話題の書

みんなの感想まとめ

地球環境を脅かす私たちの生活様式について考察する本書は、グローバルサウスからの搾取を背景にした「帝国型生活様式」の構造を明らかにします。特に、消費の促進や社会制度がどのように私たちの選択に影響を与えて...

感想・レビュー・書評

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  • 思想や主張として理解すべきか、厳然なデータに基づく科学的論拠として読むべきか。いずれにせよ、第一印象は監訳にも携わる斎藤幸平氏の色が濃く、グローバルサウスからの搾取構図も踏まえた帝国型生活様式とは、構造的犠牲者について、同情的な見方に感じた。

    プラネタリーバウンダリーがあり得るか。この一派?は、地球温暖化により、地球が壊滅的になると考えている、のだと思う。これは、大凡コンセンサスが取れている。また、利潤を獲得し資本を蓄積し経済活動を拡大し、自然を搾取する。そこに際限がなければ、過労や燃え尽きへと行き着いてしまうような人間労働力の過剰な搾取と同義。つまり、残業規制をするなら、搾取や経済活動にも一定の規制をという考えが根底にあるのではないか。

    自動車の購入が個人による費用や便益の計算の帰結である合理的選択、個人の意識によるものだけではなく、社会制度や社会慣習、公共交通を犠牲にして拡充された道路網、自動車の購入に際する国家の助成、自動車を購入することによる他者からのイメージ、排気ガスに対するゆるい規制、所有をめぐる社会的地位など、社会環境によっても決定付けられる。従い、政治がオルタナティブを提案できるはずだ、と。

    アントニオ・グラムシは白人扶養者モデルと家父長制的な家族内ジェンダー関係が、フォーディズムの生産消費規範に伴ってグローバル化していったと述べている。新しい工業主義が一夫一婦制を望むのは、勤労者としての人間が偶発的な性の満足を無軌道に追求することにエネルギーを浪費することがないように。資本主義の生産性の追求が社会形態に作用する、逆パターンも引く。1970年代には資本主義のフォーディズム段階が終わりを迎え、帝国型生活様式そのものが危機に陥った。

    グローバルサウスの犠牲の上に資本主義における質的に満たされた生活が成り立つが、グローバルノースの中にも搾取構造があり、そうした格差を煽る競争の構図こそ、地球破壊を加速させる。しかし、足ることを知るのは良いのだが、経済競争は軍事力にも直結するため、軍縮条約が先に成立し、その為にも、米中、ウクライナ、中東、北朝鮮などの変化が求められる。

  • 平たく言うと、アントニオ・グラムシの「ヘゲモニー(覇権)」概念の、グローバルな生態学的拡張を通して行われる、グローバル資本主義支配とこれに追従する先進国のミドルクラスと途上国のエリートおよびミドルクラス批判の書。

    グラムシのヘゲモニー概念が分からないと、多分かなり読みづらい。グラムシはマルクス主義哲学者なので、マルクス主義の上部/下部構造(base/upper structure)概念における、下部構造決定論を批判するなかでヘゲモニー概念を展開した。

    既存のマルクス主義は、社会構造を決定するのは経済的下部(base)であり、資本主義的経済構造の歴史的登場が、富めるエリートおよびブルジョアと、労働力を搾取されるプロレタリアートを形成し、その富の不均衡な集積が社会構造を決定するとする。

    しかしグラムシは、支配者の統治実践に、妥協し追従する人々を見逃さず、なぜこれら人々は、自らが統治されたくない人々に統治されても、妥協していられるのかを問う。ヘゲモニーとは、支配関係は単純に支配者の意志を貫徹させる権力であるだけではなく、支配されるものたちの追従によっても成り立っていることを発見する。この状態においてヘゲモニーが存在する。

    ブラントとヴィッセンは、資本主義構造自体はそれほど歓迎されていないのにもかかわらず、支配者と非支配者が妥協する地点を、グローバル資本主義が精算する「帝国型生活様式」の普及プロセスとして分析する。これは一言で言えば、「生活の豊かさ」への魅力である。

    社会主義は自らの領土の資源を搾取するが、資本主義は他国の領土の資源を搾取する、というのはよく知られた話だが、グローバル資本主義は先進国内部でこれまで、労働者にとっての「豊かさ」を提供してきた。それは他方で、外部の途上国の人間と資源を搾取することで成り立ってきた。近年、途上国の産業化により、途上国内部でも「帝国型生活様式」を求める労働者たちが急速に増加している。

    ここで忘れてはならないのは、資本主義的生産様式の普及は、外部の搾取にあるが、その外部こそ、我々が生きる地球であるということだ。資本主義の生産過程そのものが、拡張すればするほど、そのシステムの危機を生むため、帝国型生活様式が世界中の国々に普及すれば、地球の搾取がこれまで以上に深刻化することになる。

    それを見据えた上で、先進国ではこれまでの生活様式を保持しようとする極右的排外主義が台頭し、他方で人間の平等を保障しようとするラディカル左派が展開し、政党政治が二極化する。資源と労働力のゼロサムゲームという現在を我々は生きているということだ。

    書きすぎた。続きは本を読んでみてほしい。

  • 読みやすい本ではありませんが、各章毎に読むのをお勧めします。内容は綺麗にまとまっていて、特に消費の促進(助成金)の関係で書かれた内容が特に自分にとって響きました。グローバルな視点で見る消費とグローバルノースの生活様式は普段考えないからこそ、この本があてる視点で読むと非常に考え深いです。
    学生の時に読んでいないのであれば、社会人になってからでも読むべき一冊です。

  • はるえがおすすめしてた

  • 2章から読み始めましょう。それでも問題なく読めますし、そうしないとむしろ投げ出しかねません。そういう構成の本です。内容は昨今話題の「人新世の資本論」でお馴染みの斎藤幸平氏が監訳に関わっている、と書けば、なんとなく「ジャンル」のイメージは掴んでいただけるかと思います。

    要点としては…

    近代社会の発達を支えてきた一種のシステムである「帝国型生活様式」とは、絶え間ない外部化を推進することを内包しており、その外部化の先にグローバルサウスがあった。しかし、環境や資源問題に見られる諸問題は、すでにグローバルサウスに外部化することだけでは緩衝不可になってきており、新たな「大転換」が必要である。

    …これです。はっきり言って目新しい議論はありません。原著は2017年に出されているので、その時点であれば注目されたでしょう。邦訳が出るのが遅過ぎました。


    著者のスタイルなのかもしれませんが、とにかく言い回しが冗長で読みにくいです。ただ、本書は分担で複数の訳者が関わっており、明らかに章ごとに読みやすさが異なります。おそらくは訳出のせいかと…。というより、何を言いたいのか論旨が明瞭でなくなってしまっているところが多過ぎます。ある意味で「本の顔」である序文や第一章などは酷すぎます。

    なお、日本語版への序文では、コロナを踏まえての内容となっていて大いに関心を惹かれる箇所なのですが、これが大変読みにくく、文意がぼやけてしまっています。極めて惜しい書だと感じます。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000053154

  • 「ドイツ人の二人の社会科学者が現代世界の構造を分析した本書は、専門書ではないにせよ、読みやすい本とも言えない。

    〜〜〜

    他社による過酷な労働とその産物を利用。消費し、他所の資源を収奪し、排出物を別の場所に押し付け、その結果として地球の環境を破壊しつつある私たちの生活の仕方を『帝国型生活様式』と名づけ、分析し、批判するとともに、この生活様式を克服するための方策を探っている。」-監訳者あとがきより

    とにかく読みにくい。
    集中して読む必要がある。
    が、読んだら意識が変わる。
    変わる人は変わるが変わらない人もいるだろう。
    変わる人や課題感を持っている人と一緒に仕事がしたい。

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