人間晩年図巻 2008—11年3月11日

  • 岩波書店 (2021年12月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784000615075

作品紹介・あらすじ

「ままへ いきてるといいね おげんきですか」。東日本大震災を生き延びた少女は、母親への手紙にそう記した——。未曽有の災害がもたらした別れの哀切と生の尊さが滲む「昆愛海ちゃんのママ」を掉尾に、〝晩年四十五年〟を生きたサリンジャー、〝デイ・ドリーム・ビリーバー〟忌野清志郎、〝旅先の人〟佐野洋子ら二十八人を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 「人間晩年図巻」の5冊目である。2011年3月11日までとなっているが、その日は東北大震災の日だ。本書に関川夏央は「あとがき」を書いているが、「人間晩年図巻」は、この5冊目で終わりであり、これ以上、書きつなぐつもりはないようである。
    本書の意図を、関川夏央は下記のように説明している。

    【引用】
    現代史を、直接にではなく表現する手立てはないかと思案し、時代の刻印を受け、また時代そのものをつくった有名人・無名人、その全盛期と晩年の記述で実践してみた。
    【引用終わり】

    「人間晩年図巻」は、その年に亡くなった方たちの晩年、あるいは、人生全体を関川夏央が語るという形式をとっている。私は、5冊のシリーズをどれも面白く読んだが、なぜ、亡くなった人を年ごとにまとめた本が面白いのかを説明するのが難しく感じていた。しかし、上記の関川夏央の説明を読んで、そうか、このシリーズは、亡くなった人たちを通じて、現代史を書くという関川夏央の試みが面白かったのだ、と気がついた。亡くなった人たちを描写しているのであるが、それが、その人が生きた時代の描写にもなっているのである。

  • 新しい三巻を先に読んだが、最初の二巻も読んでみたい。
    一人の人の死を読んで、また次の人の若い頃の時代に戻り、その人が亡くなり、また次というふうに時代が行ったり来たりするのが面白かった。
    大森に文士村があったのは知っていたが、三島由紀夫、石坂洋次郎、池部良、石井好子等もゆかりの人とは知らなかった。

  • 「人間晩年図巻」の第五巻そして今のところ最終巻。2008年から2011年までの28人の晩年を記す。シベリア帰りの高杉一郎、本に憑かれた草森伸一、「月光仮面」の川内康範、漫画家の広井てつお、世界を驚かせた「ジュンコ」こと田部井淳子、俳優の峰岸徹、ニュースキャスター筑紫哲也、バブルの娘・飯島愛、「プカプカ」の彼女・安田南、体操の遠藤幸雄が養護施設育ちなのに驚いた、ロック歌手の忌野清志郎、迷惑千万の藤沢秀行、投身自殺した蘆武玄、プロレスラー三沢光晴、孤独死した大原麗子、嫌われた山城新伍、私が愛聴する浅川マキ、サリンジャー、反骨の北林谷栄、妄想と計画の梅棹忠夫、娘に祖国を語ったつかこうへい、石井好子、梨元勝、池辺良、佐野洋子、与那嶺要、コント55号の坂上二郎、津波で亡くなった昆由香。

  • ふむ

  • 晩年って、だれでも寂しいな。
    もっと一人一人にページを割いても良かったと思う。
    図巻だから、仕方ないか。

  • 流れるように読めるが、晩年はどんな華やかであった人も寂しいのと、これまでの生き方が跳ね返ってくるものと実感する。

  • この年代になると知ってる方が多い。飯島愛さんは早死にだった。

  • 関川さんの文章は端正が過ぎて読むのに時間がかかることが多い。しかしこの本にはそれでもひと息に読ませる何かがあった。

  •  2004−07年が貸出中につき、やむなくこちらを借りる。11年3月11日と日付がある。あの日だ。
     取り扱われた28人中、知っているのは20人。盧武鉉など政治家は事績が多いので読みにくい。
     峰岸徹の記事の終り、言葉を濁しているが、関川夏央は知っているのだろう。「別の大物俳優の存在」は当時 噂に昇ったものだ。
     池部良の三島由紀夫への助言は興味深い。
     佐野洋子が大韓航空機爆破の工作員ハチヤシンイチと交友があったというのは、まさに現代史の裏面だろう。
     続けて読んでいると、人間は癌になるために長生きしているのか、と思えてくる。

  • これは過去への追憶に耽るための本であるだろう。過去に確実に存在した様々な著名人、起こった様々な出来事を振り返り愛おしむための本であるだろう、と。だが、同時にこの本は「今ここ」を見つめ直すための本でもあると思った。「今ここ」を生きるしかない私たちが、その「今ここ」へと私たちを導いた数多くの歴史の証人たちに敬意を表するための本……このシリーズのコンセプトに慣れてきたせいか、どの著名人の死もすんなりと呑み込んで厳粛に対峙することができるようになった。だが、やはり死は呆気なく訪れるものだという事実の前に言葉がない

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著者プロフィール

1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。
1985年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊ちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞。『ソウルの練習問題』『「ただの人」の人生』『中年シングル生活』『白樺たちの大正』『おじさんはなぜ時代小説が好きか』『汽車旅放浪記』『家族の昭和』『「解説」する文学』など著書多数。

「2015年 『子規、最後の八年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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