台湾の少年 戒厳令下の編集者 (3)

  • 岩波書店 (2022年10月15日発売)
3.94
  • (12)
  • (11)
  • (9)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 186
感想 : 21
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・マンガ (184ページ) / ISBN・EAN: 9784000615471

作品紹介・あらすじ

一九六〇年、ようやく釈放された蔡焜霖は幼馴染の「きみこ」と再会し、結婚する。「前科」のために就職にも苦労したが、やがて漫画雑誌の編集者となると、新たなアイディアを次々と実現し、児童雑誌『王子』を創刊するなど八面六臂の活躍をみせる。だが、その陰には常に「人より一〇年出遅れている」という思いがあった。

みんなの感想まとめ

主人公は、前科を持つという厳しい過去を背負いながらも、決して諦めない粘り強さで困難を乗り越えていきます。彼は漫画雑誌の編集者としてのキャリアを築き、児童雑誌『王子』を創刊するなど、台湾の出版業界での活...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • スパイの前科があることで、就職や結婚に困難があったものの、主人公(蔡氏)は絶対諦めない粘り強さがありました。

    漫画雑誌の編集者、広告会社への転職、児童雑誌『王子』の創刊、当時の台湾の出版業界の実状が分かりました。紅葉少年野球チームの援助など、好奇心のおもむくままに突き進む姿に驚くばかり。しかし、1969年の台風で雑誌は全て流され、破産宣告、一からの出直しになります。

    (2026.6.2読了)

  • 今回の絵柄はレトロポップな感じ。

    主人公、蔡焜霖(実在の人物)は緑島の収容所から戻るが、いわれのない前科があるために、職についてもすぐにやめることになる日々が続く。

    彼はようやく、編集者の職を得る。日本の漫画を翻訳し、翻案して出版する(今ではアウトな)出版社で働く。

    そのうちに彼は頭角をあらわし、広告会社に転職するとさらに才能が開花する。人徳があるのだ。

    しかしながら、前科持ちであるという過去は変えられず、警察はつねに彼をマークしつづけている。

    ふたたび編集者に戻ったあとは、王貞治へのインタビューの通訳をしたり、少年野球チームを支援して優勝させたり、大活躍。台湾での野球ブームはこの出来事がその多くを負っているそうだ。

  • 子供向け雑誌の出版をし、人気を博した。結構売れてたように見えたけど、当時の経済状況ってあまり良くなかったのかな。出版業界の斜陽さによる、借金の膨れ上がり。妻の親戚からお金を借りるも、破損してしまう。
    彼自身は、理不尽な元罪人。それが故に、国や社長から仕事を追われ、辞めさせられそうになったりと、経営もしにくい。
    ただ、破産後も家族ともに命は助かってよかった。
    理不尽な汚名に付き纏われる、台湾人のお話。
    次回4巻目。

  • 「無実の罪」での、10年間の収容生活からようやく逃れるも、警察の監視の目はずっと続く。

    出版会社から、広告会社と渡り、順調にキャリアを駆け上がるが…。

    この時代の日本はお手本とされる部分があったのだなと感じる…。

  • あの時代、理不尽な仕打ちに対して腐ることなく、抗うごとなく受け入れながら、自分の夢、社会に貢献する姿。その原動力は何だったのかな。

  • 雑誌や本の編集者としての日々。そこにも過去の拘留から続く政府の不当な介入が影を落とす。

  • 第3巻。主人公のあくなき向上心に驚かされる。努力の末につぎつぎと願いをかなえていくが、どこまでもしつこく付きまとう権力の陰。人の幸せを踏みつぶすことにためらいのないやからにはほんとに腹が立つ。

  • 緑島という小さな監獄から、今度は戒厳令下の台湾というより大きな監獄に入ることになったのです。

    さいこんりん氏の不屈の魂。
    創意、社会や国の未来を思い子どもたちの本や雑誌をだし、緑島の仲間に手を差し伸べ自らの信念を曲げない。
    紅葉小学校の野球チームブヌン族の子どもたちへの支援、その後日談。
    壮年期のさいこんりん氏の活躍と苦悩が、シンプルな画線で力強く描かれている。いつも死者が近くいる。死や弾圧と隣り合わせだがとにかくできることはなんでもする姿、父親を亡くした空虚さ。絶望から希望、希望さらに大きな希望へ。

  • 緑島に収監されていた人は、開放後は前科がついて不自由していたと初めて知った。たとえ身に覚えのない罪だったとしてもだ。自分が収監されていた間、人より遅れていると無我夢中で真っ直ぐ生きる姿勢に頭が下がる。

  • 台湾の児童文化に寄与した人々の記録。現代の台湾の文化はこういった人たちが作り上げてきたんですね。

  • 蔡焜霖の人生、緑島から出所後、台北で家族のもとに住みながら仕事探し。前科があるからなかなか仕事に就けなかったが、中日翻訳の能力で出版社に就職。その後、出版社は潰れるが、漫画雑誌を出してる会社に編集として再就職。その後、子供向けの漫画出版社を立ち上げ。広告代理店に転職するが、出版社に戻る。雑誌の仕事は成功していたが、利益は出ておらず、方々に借金を重ね、台湾を襲った台風のために会社も印刷所も打撃を受け、立て直す資金が尽きて無一文になり破産するまでの話。

    蔡焜霖がパワフルで、働きながら大学に行き仕事も掛け持ちし、24時間働けますか状態なのがすごい。

    そして、台中の学生時代から好きだった相手が台北で教師をしてるのに再会し、結婚し子供も産まれている。

    経済成長する、ネオンの煌めく台湾だけど、戒厳令の時代の中、前科者に対する警察の目は厳しく、蔡焜霖はホーソンの「緋文字」に自らの境遇を重ねる。

    台湾の漫画界の初期は著作権の概念がなく、日本の売れてる漫画を買ってきて、それを台湾で模写したりちょっと手を加えたりしたものを出版してた、って言うのが今じゃ考えられない時代で面白い。そして、台湾の漫画が日本の漫画の影響を受けてるのって、こう言う時代の影響が強いんだなと思った。鬼太郎を訳してるシーンが出てきて、まさに水木しげるや手塚治虫の時代の漫画が、台湾でも強い文化的影響を与えてたんだなと興味深かった。台湾オリジナル漫画としては武侠ものが人気だった。

    この時代の若者はもう日本語が読めない、ジェネレーションギャップというには大きい世代間の隔たり。

    日本の「少年倶楽部」みたいな雑誌を作ろう!という文昌出版の始まり。

    蔡焜霖が国華広告代理店で働くことになったというコマで大写しになってた、台北の松下電器のネオン、映画「台北ストーリー」でも印象的に使われてたやつだ!1960年代台北のアイコン的存在だったんだろうな(今もあるのかな?)

    蔡焜霖は日本語能力を買われて、松下電器の専門室主任になる(日本の影響の大きさをこういうとこでも感じる)

    台湾の漫画は、1966年に、編印連環図画補導法で検閲されるようになり失速。路頭に迷った文昌出版の人たちを集める形で、雑誌「王子」を創刊。

    子供の教育に関わりたいという蔡焜霖の夢は、教師になる道は前科のせいで閉ざされたけど、児童向けの教育娯楽雑誌を出すという形で報われる。

    台湾野球ブームに火をつけた、紅葉小学校野球チームの優勝。台北の大会に参加できるように、車を出して協力したのは雑誌「王子」だった。紅葉小学校は、ブヌン族の山の学校。他民族社会台湾ぽい。

    (「台北ストーリー」でも野球が大きな意味を持つものとして描かれてたのはこういう時代背景があったんだな)


  • 人口に膾炙した漫画が次から次へと連載出版されてゆき ペスタロッチの教育理念である「自ら体験するすることを重視する」姿勢を実践していった 紅葉チームではその後続け様に年齢詐称した選手の替え玉事件等が発覚した

  • ゆえあって、三巻から。
    途中からなので、揃ってから読もうか、と思ったけれど、読み始めてしまうと読みやすい。

    白色テロ時代を経て、その傷を負い、他より十年出遅れたという思いの強い主人公はアイデアを得て児童雑誌「王子」を創刊する。
    よく読むと、いろいろなことがバランスよくかかれて、事態の複雑さがそこはかとなく伝わってくる。 
    木版画に通じるような暖かみのある絵柄も、負わされている生きにくさを伝えて品性のあるものにしている。気持ちやこころが近い感じだ。

  • 東2法経図・6F開架:726A/Ta25t/3/K

  • 726.1||Yu||3

全19件中 1 - 19件を表示

この本が好きな人におすすめの本

游珮芸の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×