韓国学ハンマダン

  • 岩波書店 (2022年12月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (194ページ) / ISBN・EAN: 9784000615693

作品紹介・あらすじ

あなたの韓国理解はもう古いかもしれない? 激動する社会・政治、フェミニズムのうねり、ミレニアル世代の生の声、日本では知られていない・誤解されている歴史、K-POPファンダム由来の新語や文学作品の深堀りなど、現地経験のぶ厚い新世代が全九章と充実のコラムで読み解く、韓国のいま。

みんなの感想まとめ

韓国の現代社会や歴史、文化を多角的に探求する本書は、若手研究者たちの熱意と誠実な視点が光ります。執筆者たちは、K-POPや文学、歴史問題、フェミニズムなど多様なテーマを扱いながら、韓国に対する理解を深...

感想・レビュー・書評

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  • 日本になじみがありながら(日本人や在日僑胞として)韓国に興味・関心をもち、韓国で励む若手研究者たちが各々の研究分野について概説しているもの。編者の一人・緒方さんの本を以前読んだとき、同世代で特に韓国に興味・関心もなく川崎で育っていた緒方さんが、ふとしたきっかけで友人が在日僑胞であることを知り、そこから一気に韓国になじんでいったことを知った。自分も同じように(?)まったく何の興味・関心もないところからある日突然韓国にハマり、ハマったからにはと過去の歴史についてもそれなりに知識を得て考えをもってきたつもりだけど、緒方さんやこの本に執筆している人たちにはまったく及ばない。知ったきっかけをここまで昇華できることに素直に感心してしまう。
    この本のなかには、15年ほど前に一度だけソウルで会った人も書いていた。日本の大学院を修了して韓国に来たばかりだったはず。それから歳月が流れて自分の研究の道をしっかり歩んでいるんだなあと感慨深かった。(それに引きかえ、韓国語もダラダラ習うばかりでペラペラはほど遠く、エンタメ中心に韓国に触れているだけの自分……。)
    それぞれの研究テーマに沿っているので体系的ではないんだけど、それぞれに韓国の文化や歴史、風俗などに思いをもちながら研究している熱が伝わってくるような感じがする。そして、執筆者それぞれの韓国とかかわるようになったきっかけを知ると、やはり韓国ってどこかほかの外国とは違うような気がしてくる。
    それにしてもだ。従軍「慰安婦」やその支援者たちがその歴史を学ぶための博物館を西大門公園につくろうとした2008年当時、独立運動家の遺族たちからなる光復会が反対したとか(p.44)。また、韓国の歴史の教科書においては「女性まで侵略戦争の犠牲になったりもした」という文章があるとか(p.72)。こういう書き方って主役が男性で女性は脇役みたいだと思う。日韓を問わず、「慰安婦」に代表されるジェンダー的な視点の硬さが気になる。これってもちろん、韓国に限ったことでなくて日本なんか「ジェンダー問題+嫌韓」みたいな始末の悪さがあると思う。そんな、ともすれば意気消沈してしまいそうな分野に注力している若手いるということに、まだ希望が感じられる。

  • いま読むべくして、読めた。
    韓国に行くにあたって、韓国のいまを知れる本は…といろいろ手にとっていたが、内容がドンピシャだった。
    本書の「はじめに」から、執筆者たちの日韓関係に関する誠実な眼差しが伝わってくる。
    KーPOPなどをはじめとして、韓国への関心は高まっているけど、その断片的な情報(音楽やドラマ、アイドルから美容、グルメまで)は日本で溢れているけど、その背景にある韓国社会と、その歴史という”土台”を理解せずして、それらの情報をつなぎ合わせることはできない。

    一方で、”反日”に対しても、私たちが感情的になるのではなく、なぜなんだろう? と立ち止まって考えるときに、手がかりになる本だと思う。


    民主化運動が、韓国の現代社会を語る上で外せないことを知った。
    独裁が続いていたことは、今の韓国からは想像ができないが、大統領の独裁と民主化運動に対する弾圧の激しさは知らなかった。
    (タクシー運転手という光州事件に関する映画を観ていたから、余計に民主化運動の悲惨さが想像できた。)

    日本でいう60、70年代の学生運動みたいなイメージ。
    日本では学生たちがシラけていった80年代に韓国の若者は闘っていた。
    日本の学生運動世代が、ちょっと左っぽかったり、政治に対しデモをしたりするよな〜、の人たちが、まだ韓国では50、60代だから社会に対しての発言力も大きい。

    政治に対しての関心度も熱量も高い背景の一つはそこにもあると感じた。

    慰安婦問題に関しては、2015年に日韓外相会談後に合意文が発表され、「最終的かつ不可逆的な解決」が宣言された。これをもって、もうおしまい!と、政府レベル(時の朴大統領、安倍自民政権)では合意したし、国同士の合意だから簡単には反故にはできない。
    だけど、韓国の国民レベルでは納得いかないわけで、本書では、その感情的なところや、フェミニズムや人権問題であって簡単に解決する話でもない、という韓国の人々の視点を述べている。


    何より執筆陣が30代など、若いことが好感を持てる。









    良い本に出会えました。

  •  慰安婦問題や在日コリアン、韓国史教科書などいわゆる歴史問題から、古代史に文学、更には日本で使われるK-POP語彙、若者の格差、「社会的経済」など多くのテーマに関する小論集。民主化運動の中で知識人層が持つ民衆像の変化、性暴力や人権問題としての慰安婦、教科書の一国史叙述からの脱却、新羅は日中の服属物ではない、二人の若者を通じて見る格差、など個別には興味を惹かれる点もあった。
     一方、たとえば古代史とK-POPで関心を持つ人は全く異なるだろう。専門書ではない一方で、韓国に関心を持ったばかりの初心者にはハードルがあるように思われ、どういう読者を想定しているのか不思議に感じる。また、各筆者の個人的思い入れが強めなのも自分にはやや苦手だ。

  • 日本と韓国を理解するうえで、双方の相手に対する常識がかけ離れてきて、相手を理解しがたいとの意識が日韓の問題に拭い難く存在する。この本は、若手の研究者達の目で、韓国社会を理解するうえで役に立つ目線や知識を与えるものである。

  • 現代韓国社会の解像度が上がりました。
    どんな国の「いま」もそこに至る歴史的文脈と、周辺諸国、国際情勢の文脈を抜きには理解できるわけがない……ということも改めて再確認しました。

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著者プロフィール

福岡大学人文学部東アジア地域言語学科准教授。1976年、神奈川県川崎市生まれ。明治学院大卒。政治学博士(延世大)。専門は日韓関係、現代韓国社会、在日朝鮮人をめぐる問題など。2022年まで約19年間韓国に居住、在韓日本大使館や弘益大、梨花女子大などに勤務。韓国KBS World Radio日本語放送「とっておき韓国ノート」に出演中。
主な論考に『韓国学ハンマダン』(共編著、岩波書店、2022年)、「6・25戦争と在日同胞参戦義勇兵──李承晩政府の認識と対応を中心に」(韓国語、『亜細亜研究』179号、2020年)など。韓国の日刊紙『亞洲経済』にはコラム「オガタの韓・日風景」を連載中。

「2023年 『韓国という鏡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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