権力

  • 岩波書店
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  • 本 ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000615914

作品紹介・あらすじ

社会の根本的なテーマなのに、実に論じにくく、理論も存在しなかった「権力」。そもそも権力は、存在するのか。ホッブズの社会契約説。旧約聖書。 税と軍隊。王に従うゲーム。権力を法に置き換えられるか。主権。白い権力と黒い権力。 ルールと民主主義……。権力という現象の全貌を明かす書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 【書評】橋爪大三郎著『権力』 聖書を「権力」という視点で読み解くのに有用な書 : 書籍 : クリスチャントゥデイ
    https://www.christiantoday.co.jp/articles/32357/20230526/daisaburo-hashizume-power.htm

    新刊『権力』岩波書店(4/12) - 橋爪大三郎 研究室
    https://onl.tw/yyXAhGr

    権力 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b623481.html

  • 「権力とは何か」という根本的な問いの探求と、その本質的な理解の試み

    権力の存在と不可解さ
    権力は確かに存在し、社会の秩序を形成するが、その実体は捉えにくく、理論的に説明されることが少ない。

    権力の仮説的構成体としての性質
    権力は自然科学の概念のように「存在するもの」ではなく、社会を説明するために仮定された概念である。

    権力と自由の関係
    権力はしばしば自由と対立するものとして描かれるが、自由を保障するためにも権力の存在が必要である。

    権力と法の関係性
    権力は法によって制限され得るが、法そのものも権力の一部であり、完全に置き換えることはできない。

    権力の普遍性の疑問
    権力の概念は文化や時代によって異なるため、完全に普遍的なものとして捉えることは困難である。

    権力の歴史的変遷
    権力の概念は古典的な社会契約説から現代に至るまで、歴史的に変化し続けている。

    権力の二面性(白い権力と黒い権力)
    権力には正当で合法的な「白い権力」と、隠された抑圧的な「黒い権力」の両面が存在する。

    権力と支配の関係
    権力はしばしば支配の手段として機能し、支配関係を正当化するために使用される。

    権力の再生産
    権力は一度成立すると、教育や文化、制度を通じて再生産され続ける性質を持つ。

    権力の象徴的側面
    権力は王冠や国旗など、象徴的表現を通じても示される。

    言語ゲームとしての権力
    権力は社会のルールや慣習と密接に関連し、言語ゲームの中で形成される。

    権力の正当性の条件
    権力が正当と見なされるためには、市民の合意や法的枠組みに基づく必要がある。

    権力と宗教的正統性
    旧約聖書など宗教的テキストでは、権力の正当性が神や預言者と結びつけられている。

    権力の相互作用的性質
    権力は単独で存在するのではなく、支配される側との関係性の中で成立する。

    権力の学問的探求の必要性
    権力の概念は曖昧であるがゆえに、社会科学の分野でさらなる理論的探求が必要であると強調されている。

  • ふむ

  • 権力は、よりよく統治や支配を考えるための仮設構成体である と「序」に定義らしいものが出てきたが、その後に古典理論、さらに旧約聖書が出てきたのには驚いた.経済と貨幣、法の支配、民主主義が続いたが、よく理解できなかった.権力に関連する社会主義、全体主義と西側世界の対決については、歴史的にも複雑な展開があったが、現在も継続中の問題だと思っている.もやっとした感じが残ったが、権力について考えることができたのは良かった.

  • 社会学を、性・言語・権力とする、という目的の基に書かれた本である。最初は聖書、とくにユダヤの民の旧約聖書から説明している。憲法を権力で説明したところでは、理論的に少し危ういところもある。
     今までの権力論とは一風変わった論であるので、こうした論があってもいい、という考えで読むのがいいと思われる。

  • 富山市立図書館
    311/ハタ/2023

  • https://cool.obirin.ac.jp/opac/volume/918621

    千駄ヶ谷にもあります。

  • 橋爪先生の集大成ともいえる著書。権力について深い考察がされている。知の巨人が権力をどのように定義づけたかや、そもそもそのような概念が登場した宗教的背景はなんだったかなど、縦横無尽に論じている。ヴィトゲンシュタインの言語ゲームという概念についての説明が分かりやすく、目からウロコだった。
    後半からは社会はどうあるべきかなど、巷間ありがちな予定調和な展開になって正直序盤ほどのダイナミックさは感じなかった。それにより☆を1つ減らした。しかし、この著作が橋爪先生の大きな足跡となることは間違いない。

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著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ だいさぶろう)
1984年、神奈川県生まれ。社会学者。
大学院大学至善館特命教授。東京工業大学名誉教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『権力』(岩波書店)、『ふしぎなキリスト教』(大澤真幸氏との共著、講談社現代新書、新書大賞2012)、『おどろきのウクライナ』(大澤真幸氏との共著、集英社新書)、『げんきな日本論』(大澤真幸氏との共著、講談社現代新書)、『ゆかいな仏教』(大澤真幸氏との共著、知的生きかた文庫、[電子書籍版]サンガ新社)など多数。

「2025年 『鎌倉仏教革命 法然・道元・日蓮』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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