- 本 ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000616461
作品紹介・あらすじ
発達障害の特性が、生きづらさにつながる社会の正体とは――。特性がある人が負った心の傷、「ふつう」をめぐる本人や保護者の葛藤、学校教育のゆがみ……。増え続ける発達障害の周辺を、地方新聞の記者たちが丹念にルポ。人が自分らしく生きることを阻む、生きづらい令和時代の日本を深掘りした大反響の連載を書籍化!
感想・レビュー・書評
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学校を職場としている私。
発達障害が増えているというのは体感していた。
自分自身がこどもの頃にも発達障害のこども達はいたけれど、今より曖昧だった気がする。
今は診断がついてはっきり分けられているように感じている。
で、特別支援学級があったりするのだが…
この本を読むまで、私は特別支援学級に入れば手厚く見てもらえてその子のためにもいいのではないか、と考えていた。でも読んだ後よくわからなくなった。
インクルーシブ教育、合理的配慮、考えれば考えるほど分からなくなる。
今のところ公立学校においてこれらを行うには人手が足りていない気がする。
走り回って授業中に脱走する子、暴力的な子、落ち着きのない子等々…これらを特性だとわかっていても、対応してあげたいと思っていても担任の先生ひとりではどうにもならない。
補助や介助にあたる専門職、支援専門の先生方等もいるにはいるけれど、すべてに対応するには…
発達障害以外にも身体的障害を持った子も外国籍の日本語が不自由な子もいる。
すべて対応するには…
人員配置を十分にせずにインクルーシブ教育や合理的配慮は困難なのではないだろうか。
「ふつう」という言葉で一括りにしようとするのは良くないと思う。
そもそも、今は「ふつう」って何?と言いたくなるような時代だし。
十人十色、人それぞれだ。
それでも「ふつう」という考え方は、私の中にも間違いなくあって…
心が痛くなるルポだった。
気づかなかった視点から物事を捉えられたこと、考えられたこと、それだけでも読んだ意味はあった気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
発達障害の当事者、その他様々な障害と向き合うのはしんどい事だ。人と違う、当たり前の事ができない、変な目で見られる……。
多様性を謳いながら大多数の「ふつう」には合わせよというこの社会のウルトラベリーハードモードには嫌気がさす。本書には障害者を狙う詐欺案件も取り上げられておりため息しか出なくなった。大した世界、素晴らしき輝ける時代である。 -
社会における「ふつう」が発達障害がある人たちの生きづらさにつながっているのではないかという問題意識の下、発達障害の「早期発見」の現場、インクルーシブ教育の虚実、障害者福祉サービスへの民間参入の光と影など、様々な観点から、増え続ける発達障害の周辺を信濃毎日新聞の記者たちが丹念に取材した連載キャンペーンを書籍化。発達障害がある人たちの生きづらさの感覚をまずは「聴く」ことに希望を見出だしている。
自分にも小さい子どもがおり、他人事ではない発達障害について、多角的に丁寧に掘り下げたルポで、学びとなったし、とても考えさせられた。
発達障害がある人たちには、自分も含めた人々の「ふつう」という意識をはじめとする様々な社会的障壁が依然として取り巻いていることを改めて認識した。
一方で、発達障害がある人たちを受け入れる立場の教育現場や職場の人たちの苦悩もよくわかるところがあり、みんなが生きづらさなく共生できる社会の実現はそんなに簡単なことではないとも感じる。その点で、本書はちょっと「きれいごと」に傾きすぎているきらいがあるようには感じた。 -
選書番号:491
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発達障害を切り口に、社会の様々な立場の人々を取材。単純に社会の仕組みの善悪を述べるにとどまらない。オフィシャルな市井の研修会などでは得られない実情が記述されている。めちゃくちゃ面白い。おすすめ。
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「ふつう」という枠に苦しむ発達障害当事者や家族の置かれた状況を丁寧にルポし、最後の章では希望も描く。
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教育現場において多様性を認めることと排除が両立しているような気がする。
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【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/722266
著者プロフィール
信濃毎日新聞社編集局の作品





