- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000904193
感想・レビュー・書評
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プラトンはおもしろい。おもしろいけど、うまく理解しきれない。すっきりしない。もどかしいんです。
「『ゴルギアス』に出てくるカリクレスのようなずるいやつ、周りにいるよなあ」とかのあるある話もできるし、「『メノン』の学習のパラドックスの議論は現代でも有効なのか」などの研究者じみた話もできます。
でも、どこか核となるところに思いが至らないままになっている気がするんです。プラトンの著作はそれなりに読んでいるし、読みやすそうなプラトンに関する本も読んだりしていますが、それでもなお、そうなんです。
もどかしいまま、なんとなく疎遠になって、しばらくして、また読みたくなって、読んでみて、おもしろいんだけどもどかしい、をまた感じてしまう。私にとってプラトンとはそういうひとです。(2015年8月11日読了)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
◆「ゴルギアス」では弁論術についてという副題がついているが、テーマは徐々に道徳や政治、幸福や人生に移行してゆく。
一番長い対話相手が、「善良な市民」の代表ともいえるカリクレスで、ソクラテスと激しい議論を交わすのだが
・・・後半になると
何十行にわたってしゃべり続けるソクラテス
カリクレス「そうだ」
さらに何十行にわたってしゃべり続けるソクラテス
カリクレス「たしかに」
さらに調子にのってしゃべりまくるソクラテス
時にソクラテスの主張は見開き6ページにもわたる
(「あれ、カリクレス消えちゃったよ」と思いつつ)
カリクレス「そのとおりだ」
最後に、ソクラテスが「この説についていこうでないか、カリクレス。」で締める。
・・・
対話になってねぇ~~~~wwwwww
◆「メノン」では「徳」とは何かということについて語られる。
プラトンの著作のなかでも割合短い対話編ということで、勧められることも多かった。
徳(アレテー)から想起(アナムネーシス)や仮設(ヒュポテシス)といった、「知の根源」を問う営みが対話をとおして探求される。
また、魂の不死と、魂の全知についても語られている。
「人間は、自分が知っているものも知らないものも、これを探究することはできない」という言葉には実に深いものを感じました。