ソポクレース I ギリシア悲劇全集(3)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000916035

作品紹介・あらすじ

2500年の歳月を越えて伝えられたギリシア古典文芸の精華に新たな息吹を与えることを願い、現存の全篇を新訳、脚注・解説を付し、数多の「断片」をも集成して刊行する。

感想・レビュー・書評

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  • ソポクレスによる、知らず知らず父を殺し母をめとることになるオイディプス王とその子供の話3篇が収められている(一続きの話ではなく、題材は同じでもそれぞれ設定が違うようだが)。かなり面白かった。特に最後の「アンティゴネー」は、アンティゴネーの威勢のよさ、読ませる登場人物の掛け合い、まかれた種が一気に刈り取られるかのようなきれいなプロットと読み応え十分だったと思う。訳もかなり自由訳に寄っているようで、読みやすく人間味あふれた台詞になっていて楽しめた。
    アイスキュロスと違って(少なくともこの作品群では)神が訳者に割り当てられて姿を現すことはないし、悲嘆の感嘆詞もない。「アンティゴネー」で息子の死を知ったお妃が一言も発さず黙って退場してしまう、その故に悲しみの深さが知れるというあたりがはっきりと表しているが、見せ方が作者によって違って面白い。このあたりで前週も読むのをやめておこうかと思っていたが、つい次も読みたくなってしまう。

  • 所在:紀三井寺館1F
    和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=14113

    ギリシア悲劇の登場人物として、とりわけ心に残るアンティゴネー。

    シモーヌ・ヴェーユはソポクレースの悲劇について、「苦痛に充ちたものではあっても、けっして悲哀の印象を残さない。むしろ、静謐の印象を受ける」(冨原眞弓 訳『ギリシアの泉』より)と書いています。

    マルグリット・ユルスナールは『火』と題された散文詩風短篇集のなかで、「アンティゴネー あるいは撰択」という、この悲劇から着想を得たすばらしい一篇を書いています。

    アンティゴネーの科白は、道徳的とか教訓的とも言えるのかもしれませんが、シンプルに、どれをとってもかっこいいなと思います。

    ※ギリシア悲劇全集、紀三井寺、三葛の両館で所蔵していますので、興味のある方はぜひ。(紀三井寺館所蔵分は、OPACには表示されていないものもありますが、全巻揃っています。)

    【併読のススメ】
    『女たちのロマネスク―古代ギリシアの劇場から』
    和医大OPAC http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=21462
    ブクログ http://booklog.jp/users/wmulk/archives/1/448601586X

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