エウリーピデース I ギリシア悲劇全集(5)

制作 : 松平 千秋  丹下 和彦  池田 黎太郎  川島 重成 
  • 岩波書店 (1990年5月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000916059

エウリーピデース I ギリシア悲劇全集(5)の感想・レビュー・書評

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  • 解説によれば、『アルケースティス』は現存するエウリピデスの劇作のうちで最も古いものとされていて、初演は前四三八年である。その折に本作は「四部作」の最後、通例サチュロス劇が催される最後を飾る作として上演された。物語は以下のようなもの。ペライの王であるアドメートスが、女神から死の宣告とともに、誰か他に彼の身代わりを立てることで救ってやるという言葉を受けて、親類に助けを求めてすべて断られた後に、最終的に自分の妻であるアルケースティスを選ぶ。アルケースティスはそれを承諾し、冥府の世界へと赴く。一方、彼女が死んでまもなくヘーラクレースが家の客人としてやってくるが、アドメートスは特別なホスピタリティを発揮して、以上のような状況においても彼を華々しくもてなす。後にヘーラクレースは、自分が家に襲った不幸を知らされなかったことに憤慨するとともに、それにも関わらず快く応対してくれたアドメートスに恩義を感じ、その見返りとして冥府に向かい、死に神と一戦を交えてアルケースティスを彼の元に送り返す。

    話としては非常に平凡で、一読した後、どんな感想も頭に浮かんでこなかった。ただ巻末の訳者による情報量豊かな解説によって、ある程度まで読みを掘り下げることができる――本作が悲劇の形式を踏んではいるが、ところどころに笑いの要素を含んだ喜劇の性質も持っていて、それは四本立ての劇のおわりに上演されるものとしてある程度は当然視されていたということ、同時代を中心に類似した説話がヨーロッパ中に散見されること、近代劇を主として後生への影響などがそれで、特に最後のものは読んでいてなかなかおもしろかった。

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