草枕;二百十日;野分 漱石全集 第3巻

著者 : 夏目漱石
  • 岩波書店 (1994年2月発売)
4.17
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  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000918039

草枕;二百十日;野分 漱石全集 第3巻の感想・レビュー・書評

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  • 夏目漱石初期の作品を集めた本。

    草枕がメジャーだと思うんですけど、この3作の中で一番よかったのが野分。
    何が良かったかというと、明治に生きている人間ですら、
    すでに皮肉・諦めの世の中でだということです。
    ちょっといくらか僕がはっとしたことを引用します。

    「なに世の中が皮肉なのさ。今の世のなかは冷酷の競進会見たようなものだ」

    『私は罪人の子です。切ないです』「それは切ないに違いない。しかし忘れなくっちゃいけない」
    『忘れてもすぐに思い出します』
    「しかしあなたの生涯は過去にあるんですか未来にあるんですか。
    君はこれから花が咲く身ですよ」

    「一般の世人は労力と金の関係について大なる誤謬を有している。
    彼らは相応の学問をすれば相応の金がとれる見込みのあるものだと思う。
    そんな条理は成立する訳がない。学問は金に遠ざかる器械である。」

    ここで「」は道也先生の言葉。『』は高柳君の言葉。
    道也先生はいわゆる世間からは小ばかにされている人。
    高柳君は先生の元生徒で、彼自身もすごく皮肉の世界に生きている人。

    人は世間の一般常識に合わそうと、時に自分の本来の姿・想いを曲げてまで同調しようとする。
    なぜならそれは他人の同意を得られて楽だから。
    でも世の中、見渡せばおかしなことで満ち溢れている。
    それを本当におかしなことだと言える人はごくわずか。
    それを実践できている人が、偉人達ではないか。
    ガンジーもインドがイギリスから独立できるなんて当時一般大衆が
    思っていなかったことを成し遂げた。

    ポイントは本人がまがい物であればあるほど、
    その人の人生もまがい物のようになってしまうという事。
    お金は大事だけど、それ以上に大事な事は山ほどある。
    愛、正義、慈悲、責任など。そして真の充実・満足はお金では得られないという事。

    僕はだから漱石の本が好きなんだよ。皮肉の中に希望を見出そうとしているから。
    その希望は絶えず持ち続けようと思った本でした。

  • 草枕はあまりにも有名な作品ですが、読んだことがなかったので挑戦してみました。小説というよりも散文、詩文のようなものであり、冒頭の言葉に始まり、口調が美文でリズム感に富んでいること、そして描写のテーマとして「美」を感じるものの、小説としての筋がよく分からず、読み続けるのは少し苦痛でした。「二百十日」に至っては、何がよいのかがさっぱり分からず、読後に巻末解説を読むと失敗作とのことで、そうだろうと思います。しかしながら、読むほどに漱石という人物が古文、漢文、そして英文に造詣が深い、凄い知性なんだと改めて感じます。

  • ISBNが書いてなかった全集を読んだので代わりにこれを登録。
    野分目当てで読んだ。

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草枕;二百十日;野分 漱石全集 第3巻はこんな本です

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