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Amazon.co.jp ・本 (370ページ) / ISBN・EAN: 9784000918381
みんなの感想まとめ
日本人の心の深層に迫る本書は、母性原理と父性原理の対比を通じて、日本の文化や物語における特有の視点を提供します。特に、日本の昔話や神話に見られる「無」の概念に焦点を当て、ヒーロー不在の物語が持つ独自の...
感想・レビュー・書評
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『昔話と日本人の心』のほか、4編の論考を収録しています。
『昔話と日本人の心』は、エーリッヒ・ノイマンの『意識の起源史』における父性原理と母性原理の区別を踏まえつつ、近代的自我の確立を重視する欧米の文化とはまったく異質の、日本における母性原理の豊饒性と危険性について、日本の物語や民話を通してくわしい検討をおこなっています。
『うぐいすの里』や『鶴女房』などに見られる「見るなの禁止」をめぐっては、西洋の物語における同様のモティーフとの対照をおこない、日本の物語にヒーローが不在だということを指摘したうえで、そこに「無」の顕現が見られるのではないかと著者は主張します。また、そうした「無」の顕現が女性と関係づけられていることに注目し、自我の確立を重視する西洋の心の理解を相対化する視座を示そうとしています。
「『古事記』神話における中空構造」は、『中空構造日本の深層』(中公文庫)に収められた論文です。このなかで著者は、日本人の心の深層を解明するにあたって『古事記』を参照しています。神々の中心に、アメノミナカヌシという「無為の神」が置かれていることや、天を司るアマテラスと地を司るスサノヲの間のツクヨミ、海彦のホデリと山彦のホヲリのあいだのホスセリなどが置かれていることからわかるように、『古事記』ではたがいに対立する重要な二柱の間に、活動しない「無為の中心」というべき神が存在しています。著者はこのことに注目して、日本神話では二つの対立する原理のどちらか一方が完全に優位を獲得することなく、両者の対立と調和をくり返しつつ中心の空性を維持しつづけるような円環運動が維持されると主張し、こうした構造に「中空構造」という名が与えられます。
従来の西洋思想の中であまり探求されることのなかった無意識の領域に挑んだユング心理学が、日本文化の基層に切り込むための一つのツールでありうることが示されています。その一方で、著者の議論はけっきょくのところ本質主義的な日本文化論ではないのかという疑問も残ります。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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