エンデ全集〈3〉モモ

制作 : Michael Ende  大島 かおり 
  • 岩波書店 (2001年8月18日発売)
4.27
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  • レビュー :17
  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000920438

エンデ全集〈3〉モモの感想・レビュー・書評

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  • 私は「モモと時間泥棒」というタイトルでずっと記憶してました。
    それは、絵本だったのか、それとも演劇だったのか、
    果たしてこの物語を見聞きしたことがあるのか、
    残念ながら覚えてはいないのですが。

    児童文学と言われていますが、
    この年齢で読んでもはっとさせられることがたくさんある。
    あとがきに、ファンタジーとつくり話は違うというようなことが書いてあるのですが、本当にその通り。
    これはとても出来のいい「ファンタジー」であり、
    決して「つくり話」ではない。
    これは「現実」を違う口調で語り直している物語です。

    時間の話とは直接関係ないのですが、
    とにかく全体的に示唆に富んでいて、その一例を。

    灰色の男たちが重大な危機をどう乗り切るか話し合う場面。
    一人目は、二度とこのようなことがないように、と言う。
    二人目は、むしろ目的が達成された喜ばしい結果だ、と言う。
    三人目は、いや、警戒しなければならない、と言う。
    四人目は、この事件の背後には協力者の存在がある、と言う。
    五人目は、しかしそれに対する方策こそが必要だ、と言う。
    六人目は、冷静に、持ち駒を使った作戦を立てよう、と言う。
    七人目は、危険を逃れるのではなく、敵を利用しよう、と言う。
    八人目は、そんな作戦がうまくいくとは思えない、と言う。
    九人目は、相手の気に入る取引をしよう、と言う。
    十人目は、敵の大切なものを人質にしてはどうか、と言う。
    灰色の男たちは勝利を確信して冷たく微笑む。

    十人の演説者の一進一退の発言の一つ一つに私は丸め込まれた、
    そして最終的に辿り着いた結論は、
    それしかない、と言える作戦だった。

    議論の場で、私たちは時に前者の発言への返答に終始してしまう。
    一気に最上の結論に辿り着けることは稀だ。
    この十人の発言のひとつひとつは、
    私たちが陥りやすい罠でもあり、
    同時に、考慮しなければならない全てのことでもある。


    児童文学、ばかにできないですね。

  • この年になって初めてモモを読んだ。

    携帯電話やパソコンが普及したおかげで仕事が家までやってくるなんて話があるけど、節約した時間ってほんとどこにいったんだろう。24時間、生活を豊かで便利にしてくれるモノで世の中は溢れてるのに、労働時間は高止まり、ワープア、エトセトラエトセトラ。
    ゆとりを生むために節約した時間なのに、きづけばゆとりなんてどこにもない。

    これは時間泥棒に騙されてる所為…なのか!?
    なんてこった、取り返さなくっちゃ!!


    立ち止まって自分の言葉で考える時間は大事。
    あとカシオペイアが可愛すぎる…

  • 2016/12/05
    図書館から借りた

    灰色の男達の元ネタ?ってことで読みたいなぁと思っていた本。
    言うなら彼らは時間生物で、時間を食うために人に干渉するんだね。
    なんというか、ある種、灰色の男達の姿勢は理想的で、そうあらねばならない姿に感じた。
    各々の一番大事なものにこそ時間を使う訳で、時間のために生きているんじゃないんだな。お金と似たようなものかよしれない。
    忙しくいてもゆっくりといても同じ時間に縛られている。難しいよ。

  • 2016/08読了。娘の読書感想文のネタに、と再読したが、やっぱり変わらず面白かった。

    時の老人の描写は、トールキンにも通じる神話的なものがあるなあ、と思いました。

    最後にはみんな時間を取り戻し手ハッピーになるけれど、さて、現実世界の私たちはどうなんだろう。

  • 配置場所:摂枚フマニオ
    請求記号:943.7||E
    資料ID:59602177

  • 子どもの頃に読んだのですが、その時はさっぱり理解できませんでした。
    大人になった今読むと、名作だとわかります。本当に。

    時間の節約、仕事の効率、そればっかり気にしてちゃあ逆に人生がもったいないんですよね。

  • 素晴らしいの一言。こんな作品が児童文学の世界にあるとはしらなかった。どことなくみすぼらしい格好をしている少女モモ。しかし、彼女は人の話を真摯に聞き、多くの人に愛される少女だった。そこに忍び寄る謎の灰色の男たち。彼らは人から有り余る時間を吸い上げ、それを自分たちの生きる糧にしていた。。

    時間は非対称で、どんな生き物にもそれを捕まえることはできない。しかし、近代では時間をむしろ費用<コスト>と捉えて、それを削減するような方向に押し上げた。それは人が元来、時間に対して望んでいることなのか? それを一人の少女モモが読者に語りかけてくる。本当に人の望む一生は? 社会は? ということを考えさせられる名著だ。

  • 2011年で一番心に響いた作品。

    心に余裕を持って丁寧にじぶんの時間を生きる。

    他のエンデ作品も読んでみよう。

  • 見たこともないはずの風景がはっきりと頭の中に浮かび上がってくるような描写力、容赦のない孤独の表現。
    有名な本ですが、まずは作品のテーマについては考えず、一つの物語として楽しむことをオススメします!

    (琉球大学スタッフ)

  • 児童文学の金字塔……とも言われる本作ですが、この年になってようやく読了。前にこの作品に触れたのは、中学校の卒業生を送る会で、後輩たちが芝居をしていた時でした。

    そして、確かに面白い。灰色の男たちの吸っている「煙草」の扱いに、少し無理がある気はしましたが、まぁファンタジーですからそれは良いのでしょう。

    時間の概念、それを巡る大人と子供たちのせめぎ合い。普遍的な人類にとっての相棒「時」と、児童文学という形で昇華させた本作は、エンデの代表作の名に恥じないと思います。

    ただ。金字塔、と言われるほど優れた作品か、と言われると、小生はちょっと首をひねります。素晴らしい作品ですが、比肩するほどのものがないとも思えない。

    まぁ、本レビューは相対評価で考えていないので、絶対評価として★4つは軽くクリア。描写といいストーリーテリングといい、読んで全く損はないと思います。

    (2006年読了)

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