哲学IV 神々の本性について 運命について (キケロー選集)

  • 岩波書店 (2000年12月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (380ページ) / ISBN・EAN: 9784000922616

感想・レビュー・書評

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  • これも勉強になった。「神々の本性について」は「神は存在するが実体を持たず何もせず人間や世界には関わりをもたない」とするエピクロス派、「神は宇宙・節理として存在し、人々や世界全体は神の手によるもので深く関わりを持つ」とするストア派が神について自説を披露し、アカデメイアの懐疑派コッタがそれぞれを論駁するという流れ。エピクロス派についてはそれは具体的にどんな神なのかも分からないし、実際は無神論ではないかという批判をし、長々とインテリジェント・デザイン的な議論、節理(予定説)の強調をしていたストア派については論理的な不備や神議論を中心として反論を試みる。ストア派への反駁部分が欠損してところどころよくわからなくなっているのが残念。
    「運命について」も運命論を支持するストア派と否定するエピクロス派の両方をキケローがアカデメイア派の立場に立って批判するという内容なのだが、欠落が多すぎて正直よくわからなかった。単に運命論というのではなく、「あらゆる事象には原因があるか」「あらゆる命題は真か偽のいずれかであるか」などの論点で細かな立場の違いがあるとのことで、それをふまえた高度な議論になっているようなのだが、もっと完全な形で読んでみたかったなあ。

  • 「すべての事象が先行する原因によって起こる」という運命論は、人間の自由を確保しうるか。キケロはこの「運命論」で、人間の自由意思の存在を擁護する立場にいるようだが、この作品が断片であることもあり、その決定的根拠は不明である。「すべて」が因果の連鎖の網にあると考えるならば、人間には自由の余地がないと思われるのだが、キケロは、この点ではストアの伝統から外れているように見える。

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著者プロフィール

ラテン語愛好家。1961年京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程学修退学。専攻は西洋古典文学。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。
1999年よりラテン語メーリングリスト主宰。
単著『しっかり学ぶ初級ラテン語』『しっかり身につくラテン語トレーニングブック』(ベレ出版)、『ローマ人の名言88』(牧野出版)の他、訳書に『キケロー選集11』(岩波書店)、『ローマ喜劇集2』(京都大学学術出版会)他。
ウェブサイト:山下太郎のラテン語入門(http://www.kitashirakawa.jp/taro/)、ツイッターアカウント:taroyam

「2017年 『ラテン語を読む キケロ―「スキーピオーの夢」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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