神話と日本人の心 (河合隼雄著作集 第期)

  • 岩波書店 (2004年2月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784000924962

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  • この巻は全集25巻(14+11)の最後に出版された本(2004.2月配本)なので、序文の中で河合さんは「これからはしばらく休憩」と締めくくっている。(おそらく文化庁の仕事に重点を置きたいという意味だとおもう)
    1982年に「昔話と日本人の心」でユングの伝道師本ではなく河合隼雄のオリジナルな本をやっと世に出せたと喜んでいた河合さん、その後の総決算として「神話と日本人の心」を出版し、やりとげた感のある序文は一読の価値ありです。
    一人暗い長官室で、自分の人生を振り返って、この序文の原稿を書いている河合さんを思い浮かべると感慨深いものがあります。
    残された時間はあと3年です。

    以下は「神話と日本人の心」のあとがきです。
    「日本文化について、いろいろと発言を重ねてきたが、ひとつの大切な区切りとして本書があると思って執筆をした。不思議なことに、2002年1月に、私は文化庁長官に就任することになった。昼のあいだは、日本文化についての極めて実際的な計画や行事などの実務につき、夜一人になって、日本文化のルーツにかかわるものとしての日本神話について執筆する、というのは、なかなか面白いバランスと感じられた。運命はときに味のあるアレンジメントをするものだ。
    このためになったのかと思われるような、生まれてはじめての「単身赴任」を利用して執筆に励んだが、問題は、書物の在所が、奈良、京都、東京と分散。それに最近とみに豊かさを増してきた老人力も作用して、神話学研究者の研究や文献の引用という点では、不十分にならざるを得なかった。」

    河合さんの発言がはじまりの文化庁の京都移転も没後26年後の今年5月ようやく叶いました。年寄りの『生まれてはじめての「単身赴任」』が少なくなるといいですね。

    あと「『風土記』と昔話」の章は、全集の1期第5巻の「『風土記』と昔話」の章のと同じ文章です。これはどう考えたらいいのでしょう?想うに、河合さんは1期の14巻の出版は気乗りしなかったのでは?全集が2つの群に分かれてていることからなんとなく推察するのですが・・・
    1期の14巻の出版時の岩波書店の社長は安江良介さん、2期目の11巻は大塚信一さんです。この二人と河合さんの親密度の差なのでは?大塚さんは河合さんの盟友です。大塚さんは自分の「河合隼雄全集」が出したかったのではないでしょうか。河合さんもそれに応えたかったので、配本時期を1年も先延ばしにして「神話と日本人の心」の単行本出版と同時に、それをこの最後の配本にそのまま入れたのだと思います。

  • 『神話と日本人の心』(岩波書店)のほか、論考5編を収録しています。

    著者はすでに『昔話の深層―ユング心理学とグリム童話』(講談社プラスアルファ文庫)で、ユング心理学の観点からグリム童話の解釈をおこなっていますが、本書では『古事記』を中心とする日本神話をとりあげ、やはりユング心理学の観点から分析をおこなっています。その際著者は、『母性社会日本の病理』(講談社プラスアルファ文庫)や『中空構造日本の深層』(中公文庫)などで示された「母性社会」論や「中空構造」論を解釈の枠組みに用いており、唯一神のような中心となる審級のもとにいっさいを統合するユダヤ=キリスト教的な発想とは異なる日本神話の特色を浮き彫りにしようとしています。

    同時に著者は、ヨーロッパの「中心統合型」の発想と日本のような「中空均衡型」の発想をより高い次元で両立させることが現代の課題だと主張しています。

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