舞姫 ヰタ・セクスアリス ほか (鷗外近代小説集)

  • 岩波書店 (2013年3月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784000927314

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  •  うたかたの記、舞姫、ヰタ・セクスアリスの三つだけを読んだ。解説のところで鴎外が作品を発表するたびに作品に関する論争を作者VS批評家で堂々とやっているように、書くこと、やることがものすごく明確な時代なんだなというのを感じた。いまは相対的になっているポイントが、絶対的に争われているような……研究不足でわからないけれど、そう感じた。舞姫論争、石橋忍月のふっかけかたは今の批評にはあるのだろうか。
     うたかたの記は、読みにくい文章だった。とにかく難しかった。慣れてくるころに、「え? 湖で王様が突進してきた?」で話が終わった。絵描きの学生巨勢だが、最初出てきたとき、人名なのか描写の熟語なのかわからなかった。で、その巨勢が、気の狂ってるフリしている絵のモデル業のマリイと恋愛して、湖をボートで漕いでいたら、王様がマリイを昔好きだった人(マリイの母)と勘違いして突進してきて話が終わる。こう、「歌」に近い展開だった。歌劇というか。
     舞姫は、ベトナムに停泊中の船内で、日本のエリート豊太郎が書いた回想録だ。踊り子エリスが母親に「団長と寝ろ!」みたいなこと言われて泣いているところを豊太郎が同情しているうちに、恋愛感情が加わり二人は同棲する。そのせいでエリート街道をいったん外れるものの、豊太郎は友人の協力で再び復帰の道が見えてくる。日本に帰らないといけなくなったが、エリスには言えない。エリスは身ごもっていたが、豊太郎が日本に帰ることを知り発狂。エリスは精神病院へ向かい、豊太郎はおなかの子が生まれることも願いつつ、話は終わる。
     ヰタ・セクスアリスは、童貞珍道中~秘密の日記~というタイトルでもいい話で、童貞が、尻の穴をねらわれたり、いろんな女から誘惑されたりしながら、結局朝帰りして、「どぶに捨てた風俗代二万円」とかおそらく考えながら、「女なんかたいしたことないやん」と悟り、学生時代に女に狂ってしまった他の童貞たちを横目に、今を力強くいきている話だ。最後に、俺はインポじゃないけど、この自伝のようなものは我が子に読ませたくない、といいつつ表紙になぜか「性欲」と書いて本棚に戻す。いや、中身バレバレやん、と。
     これを聞いて、従兄弟の父親がエロビデオを隠すときに、なぜか「ぽるの」と物凄い小さい字でビニール袋にマジックで書いて、テレビの下の棚にしまっていたというエピソードを思い出した。
     森鴎外に「なにやらかしてんねん」と絡みたくなる三作品でした。

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著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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