かのやうに 雁 他 (鷗外近代小説集)

  • 岩波書店 (2012年10月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784000927369

感想・レビュー・書評

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  •  本書収録の『雁』を、文庫本のその薄さにこれならすぐ読めそうだと思って読んだのが高一のときだったから、ほぼ半世紀振りの再読。当時どういう感想を持ったか、また"雁"という題名もどうしてだったか全く記憶に残っていなかったが、今回読んでみて、確かに世評通りの名作だと思った。
     鷗外の作品は、その理屈っぽさいところが苦手という人も多いと思うが、『雁』はとても小説らしい小説。困窮する父の生活を助けるため心ならずも高利貸しの囲い者になってしまったお玉、そしてお玉の住まいを道すがら散歩するので軽い挨拶をするようになった大学生の岡田が主要な登場人物。岡田に憧れを抱いたお玉は勇を鼓して彼に話しかけようと通るのを待っていたが、ある偶然からとうとう声を掛けることができず、結局永遠の擦れ違いになってしまう。そのはかなさがとても哀切に描かれる。
     初心で世間知らずな娘だったお玉の、岡田の存在を意識するようになってからの気持ちの揺れ動きや変化が丁寧に描かれていて納得させられるし、脇役である高利貸しの未造と嫉妬に苛まれる妻との確執もいいアクセントになっている。

     今ではすっかり変わってしまっているだろうが、文学散歩ではないけれども本作の舞台となった無縁坂を歩いてみたくなった。

  • 『天寵』を読む。

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著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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