定本 漱石全集 13 英文学研究 (定本 漱石全集)

  • 岩波書店 (2018年7月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (808ページ) / ISBN・EAN: 9784000928335

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  • 「英文学論」の前の講義であった「英文学形式論」が収録されている。漱石が書いたものではなく彼の授業を聴講した学生がまとめたもの。漱石の頭の中はいったいどうなっていたんだ。天才か。むちゃくちゃ整理されている。英文学を理解するための、むしろ心理学や哲学やモラルフィロソフィである。

    私もあまり漱石詳しくないけど、断片的な知識から予想すれば、彼は池田菊苗と話したときに科学的に文学分析するのもアリかなと思ってもう俺は自己本位なのだって思ってそれまで読みためたウィリアムジェームズ的な観点から文学理解するのだってなったのだろう。彼は英文学の感性わからんっていってたけど(←私はこれを信じないが。。ていうかそれ以上に漢文好きだったってこと?)西洋の哲学や心理学や社会学への愛は深かったし批判も鋭かった。

    ただこの「英文学形式論」の内容を読む限り、そこに取り上げられる文学(主に沙翁やらミルトンやら)の面白さは既に理解できてるのが前提になっている。その上で、なぜその文学を我々は面白いと思うのかを分析する授業だ。という意味で超ハイレベルである。つまりこのノートをとった学生もまた天才である。あと漢字に英語でフリガナついてるのが良い、漱石は元の英語の言葉で授業したのだろう、それに合う漢字を当てはめた。曖昧・朦朧(ヴェーグアンドオブスキューア)とか黙認的(イムプリシットリー)とか林檎売女(アップルウォーマン)とか笑。てかこれが現代日本語の標準表記になってもいい。カタカナ語見づらいし。

    漱石は大学をやめて文学論を完成させることを道半ばでやめたが(そのおかげで我々は彼の文学を享受できたのでそれはそれで良かったのだが)もしそのまま続けてたら、心理学や哲学者として世界的に名を挙げたのではないか。彼の文章を読んでるとわかりやすさに感動して脳内に快楽物質の分泌を感じる。とにかくおもしろい。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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