山のクリスマス (岩波の子どもの本)

  • 岩波書店 (1953年12月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (88ページ) / ISBN・EAN: 9784001100334

みんなの感想まとめ

心温まるクリスマスの物語が展開されるこの作品は、町の子ハンシが山で暮らすハーマンおじさんの家を訪れる様子を描いています。汽車や馬ぞりでの旅を経て、ハンシは新しい体験を通じて成長し、神秘的なクリスマスを...

感想・レビュー・書評

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  • 「げんきなマドレーヌ」のベーメルマンスさんが、初めて書いたお話。
    これが絵本作家さんとしてのデビュー作だったとは信じられない。なんて良いお話だろう。
    派手さはなく挿絵もやや地味だが、素朴でしみじみとした味わいがある。

    町の子ハンシはクリスマスのお休みに、山で暮らすハーマンおじさんの家へ行くことに。
    汽車と馬ぞりを乗りついでたどり着いた、ハーマンおじさんの山の家では、初めての楽しいことがいっぱい。ハンシはいとこのリーザール、犬のワルドルといっしょに、山暮らしならではの体験をしながら、神聖なクリスマスを迎える。。。

    汽車に乗っていく場面や馬そりに乗っていくところ、もう目に見えるような描写が続く。
    初めてハーマンおじさんの家族に対面したときの恥じ入る様子。とても他人と思えない・笑
    クリスマスの夜の過ごし方がそれはそれは神秘的で美しく、冷たい空気まで伝わってくるようだ。とりわけ、山の上の教会の様子が素晴らしい。
    ため息が出そうになったのは、おじさんが用意してくれたツリーの登場場面。
    オルゴール付きの回転式ツリースタンドにツリーが乗っているのだが、後で調べたら当時の労働者の給料ひと月分もする高価なものだったらしい。
    もうひとつ、和訳では「コショウ菓子」などと表記されるレープクーヘンを作る場面。
    ドイツのクリスマス菓子なのだが、チロル地方でも同じものを手作りしていたことを初めて知った。これ、ツリーの飾りにもするらしい。

    山暮らしの間に少し成長するハンシに、大人も思わず心を寄せて読んでしまうだろう。
    初版が1953年だが、決して古さを感じさせない内容だ。
    クリスマス絵本としても冬の絵本としても誠実な味わいのある良質なお話。
    読み聞かせには長さがあり過ぎて無理だが、ぜひおすすめしたい。
    この本の後あらためて「マドレーヌ」のシリーズを読んだら見方が変わるかもしれないな。

  • 今年の小学校一年生に読んでやりたい絵本50冊
    その46

    ここからはもう絵本ではなく、も少し長いお話に入ります。
    べーメルマンは「元気なマドレーヌ」シリーズがキャラクターになるほど有名ですが、日本に紹介されたのはこちらのほうが先でした。
    紹介したのは光吉夏弥氏。彼は演劇関係の方だったらしいのですが、趣味で絵本を集めていてそのなかから、岩波の絵本が生まれたのです。
    実に本を見る目のあるかたで、日本の絵本はこの方の眼力の上に成り立っていたのだ、と言ってもいいほどです。
    ただ、その正しさと日本人の好み、は一致しなかったのですが。
    子どもだったときの私は光吉印の本を追っかけて読んでいました。
    のちはそれが神宮輝夫に変わるのですが、この2つの名前がついている本ならいつでも確実に間違いのない本に行きあたれたのです。

    この「山のクリスマス」は朗読したら40分ほどかかるでしょう。
    ご自宅で読むには一向に差し支えないでしょうが、学校で読むなら4回に分けて読まなくてはなりません。
    なので、公共図書館ではおはなし会などで使われたことはないでしょう。
    公共は4回、同じお客さんが来るのは無理だからです。

    ハンシ、という小学校一年生の男の子が、お母さんと生まれて初めて離れ、山の上に住むおじさん一家のところへ2週間、冬の休暇を過ごしに行く話です。
    冬ですから当然クライマックスはクリスマスになります。
    私が初めて読んだのは5歳くらいのときだったので、そのときにはハンシがどんなことをして冬休みを過ごすか、に気がいっていて、このお母さんは果物屋の屋台をやっていてハンシを一人で育てている、ということはシングルマザーなんだ!
    とか、大人なようにみえても、もしかしてまだ20代だったのか?
    (おじさんはお母さんのお兄さんです)
    とか、貧乏なのか?
    みたいなことには気がつきませんでした。

    金文字で名前が書いてあるコーヒーカップでコーヒーを飲むのをカッコいいなぁ、と思ったり、ハンシが学校から帰ってくる時間になると、お母さんは屋台のコンロにりんごを一つ入れる……。
    ハンシが帰ってくると
    “コンロのりんごは歌を歌って”いるのですが、息子を可愛がっているんだなぁ、というのは思いましたが。

    で、これを読んだあと、焼きりんご、作ってみたりしました。

    そうしてこの物語を私は50年、封印していました。
    ものすごく本質的で本物の物語ですが、地味で長いこの一冊は読み手がいなくなってしまったのです。
    発売された当時もそんなに売れたわけでも喧伝されたわけでもありませんでした。
    というより、この本に関してなにか言ってる文章なんて思い出せない、くらいです。

    でも子どもたちが変わったので、まてよ、いまなら使えるかも、と思ったので、試してもらいました。

    結果は大当たり!
    その学校では2年生は早々に飽きて、二回目は読めなかった……のに、一年生はすぐに話に入り込み、続き、絶対に読んでね!
    と念押しされ、ニ回目に本の表紙が見えた瞬間、全員さっ、と聞く体制になったのだとか(最初の3回は12月に、ラストの一回は帰ってくる話なので休暇明けに読むといいです)。

    全国の一年生がそうなるか、は保証できませんが、聞ける子どもたちは確実に増えている、たぶん4歳くらいからこれを楽しいと思う子たちがいるだろう……ご家庭での本読みにこの一冊も試してほしい、と思います。
    イヤ!
    と言われたらやめればいいだけの話ですから。

    光吉夏弥氏は、私の子ども時代を作った立役者です。
    1989年までご存命でいらしたのですから、大学生のときにでも会いに行ってお礼を申し上げればよかった、と心から思います。
    大学生のときにはそんなことは思いつかなかった……。

    みなさんも、お礼を言いたい方がいらしたら、いますぐ!
    おやりになったほうがいいですよ。

    2022/09/20 更新

    ※こちらは以前も紹介済みですーーーーーーー

    マドレーヌ、でお馴染みのべーメルマンの、マドレーヌの前に岩波の一番初めの絵本シリーズとして翻訳されたものですが、レベルはマドレーヌよりはるかに上で、これは極上品の一冊です。
    これを選んだ光吉夏弥にはただただ敬服するしかありません。
    生まれて初めてお母さんと離れて山の上のおじさんの家でクリスマスのお休みを過ごすことになった一年生、ハンスの二週間を描いた、ほぼ何も起こらない地味〜な話なのですが、一つ一つがとても深いのです。
    今の大人が読むにはちょっと心を落ち着けて、静か〜に深呼吸し、少々自分のネジをゆるめてやらないとこの世界には入れないかもしれません。
    でもいま読むと子どものときには気がつかなかったことにもいろいろ気づけます。
    この家にはお父さんがいないんだ、とか、お母さんが屋台の果物屋をやって暮らしを支えているんだ、とか、すごく大人のおばさんだと思ってたけど、ハンスのお母さんて、もしかしてまだ20代?
    とか……。
    自分の名前を金文字でいれた白いカップでコーヒーを飲んでいて、それがものすごくカッコよかったんですよね。

    この30年、使えなくなっていた本なんですが、いまの新一年生には響くと思います。その下の子どもたちにも……一年生にあがってくれば……。

    彼らは本物、に反応してくれ、深いところまで受け取ってくれます。
    なので司書は読んでおいてください。

    2020/12/25 更新

  • クリスマスのお話

  • 山での、クリスマス、最高ね!こんなクリスマスも、経験したいわ…

  • アマゾンに古本を売り出していたら売れたので、お別れに読んだ。

    しみじみとしたいい絵だなぁと、思っていたら、なんとまぁ、

    あの「マドレーヌ」の作者ルドウィヒ・ベーメルマンスの初めての本ではありませんか!!!

    いい本が眠っていたんだな。

  • ハンシという少年が冬の間だけ、山のおじさんのところにいく話し。
    物語はささやかで、マドレーヌ・シリーズのような破天荒のところはないが、しみじみしている。
    絵は、とびら絵が素敵。他の絵は・・・微妙です。
    同じ著者なら、やはりマドレーヌ・シリーズの方が冴えているのではないかな。でも、★は4つ。

  • 「マドレーヌ」シリーズで有名なベーメルマンスの初めての絵本。日本語版の初出が昭和28年とのこと。
    現代っ子の娘の食いつきが心配だったが、とても喜んで聞いてくれてほっとした。
    私がやや風邪気味で喉が痛かったこともあり、3晩にわけて、夜寝る前の時間にベッドで娘と読む。
    3晩に分けたことも、結果的には良い効果をもたらしたようで「今夜は〇〇のところからだね!」と楽しみに。

    寝る前の本読みが、やんわり復帰出来そう。

  • 1953年12月10日

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