ビルボの別れの歌 (大型絵本)

  • 岩波書店
4.13
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本棚登録 : 55
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001106138

感想・レビュー・書評

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  • ルネサンス風の細やかな絵が素晴らしい。思わず見入ってしまう。細部をじっくり味わうのが楽しい。指輪物語のスピンオフ?船で旅立つビルボ。

    • 白いヤギと黒いヤギさん
      この本を読む人が増えた事が嬉しくて、ついコメントを書いてしまいました(笑)
      私の手元にある初版は、まだバーコードが付く前ですから。(1991...
      この本を読む人が増えた事が嬉しくて、ついコメントを書いてしまいました(笑)
      私の手元にある初版は、まだバーコードが付く前ですから。(1991年)なかなか手に取る人がいないのでしょう。デジタルでは決して表せない、手描きの良さを堪能できる本だと思います。
      2023/11/30
    • goya626さん
      白いヤギと黒いヤギさん
      わお、ヤギさんから、紙でないお手紙が来ました。ありがとうございます。この絵本は手間がかかっていますね。なんか香りが...
      白いヤギと黒いヤギさん
      わお、ヤギさんから、紙でないお手紙が来ました。ありがとうございます。この絵本は手間がかかっていますね。なんか香りがあっていいです。
      2023/12/02
  • マイ•ベスト『秋になると読みたくなる本』

    「ホビットの冒険」「指輪物語」の終末を描いた絵本。指輪戦争が終結し、エルフ達と共にホビット庄の森までやって来たビルボは、フロドとサムを伴って灰色港へと赴きます。ビルボが越し方を回想し、別れ際に詠んだ詩が美しい色彩で、その思い出と共に描かれていきます。

    "野の生きもののほかには、誰一人彼らの通り過ぎるのを見た者はありませんでした。"

    紅葉した森の中、けものたちに見守られながら、美しい馬に乗った上のエルフ達に混じって、小馬に跨ったビルボの最後の旅が描かれます。

    …以下は個人的な話。
    この本は原作者トールキンの生誕100年を記念して、1991年に発刊されました。その時にはまだ映画「ロード•オブ•ザ•リング」も「ホビット」も作られていませんでしたが、熱心な「指輪」のファンには好意的に受け入れられていました。個人的には、秋の気配がしてくると、エンヤのアルバム「ウォーター•マーク」に入っている「イブニング•フォールス」を聴きながら読むのがお気に入りです。そのため、映画第一作のエンディングにエンヤの曲がかかった時にはびっくりしましたっけ。

    • 白いヤギと黒いヤギさん
      コメントありがとうございます。
      「指輪物語」最終末部分を描いた本書。ビルボが書いていた『赤革表紙』の本はフロドの手で書き足され、灰色港で庭師...
      コメントありがとうございます。
      「指輪物語」最終末部分を描いた本書。ビルボが書いていた『赤革表紙』の本はフロドの手で書き足され、灰色港で庭師のサムへと託されます。メリーやピピンと別れたあと、サムはたった一人でホビット庄に帰り着きます。
      第一次世界大戦に従軍したトールキンは、過酷な旅に最後まで付き従ったサムを"もう一人の主人公"に据えていたのは間違いありません。それは英雄でも勇者でもない市井の目をもった庶民の視点を大事にしたかったからなのだと思います。ビルボもフロドも、そして魔法使いガンダルフも、最後には笑顔で船出して行きました。

      「指輪物語」追捕編によれば、この物語はサムの娘の嫁ぎ先"塔の下家"に伝わった赤革表紙本写本のひとつを元にしたものなのだそうです。そこに記された"塔の下家"に残る伝承では、
      『妻が亡くなると、サムは一人灰色港に赴き、船を仕立ててビルボとフロドが向かった西の海へと去って行った』
      ということです。

      …灰色港とはそんな場所なのだと思っています。
      2023/10/16
    • kuma0504さん
      白いヤギと黒いヤギさん、
      詳しい解説ありがとうございます。
      返事遅れました。
      追補編も読んでいたのにも関わらず、赤革表紙本写本の存在を失念し...
      白いヤギと黒いヤギさん、
      詳しい解説ありがとうございます。
      返事遅れました。
      追補編も読んでいたのにも関わらず、赤革表紙本写本の存在を失念しておりました。映画もサムの語りで終わっていました。スターウォーズ然り、銀英伝然り、そして「デューン砂の惑星」でさえ、いや全ての英雄伝は、そのように後世の「語り」で伝承された物語なのだという言い方も出来るのだとふと気がつきました。

      ただ、「指輪物語」の港から行き着く先の世界には、さまざまなパターンがあるようです。キリスト教、仏教は「天」です。「指輪物語」の方は海の向こうなのだろう、日本も仏教渡来以前は海の向こうのようです(常世の国、ニライカナイ)。では果たしてどういう構造になっているのか、追補編に詳しく書いているのかもしれませんが、この絵本を紐解いてみたくなりました。
      2023/10/17
    • 白いヤギと黒いヤギさん
      さすがです、深いですねぇ!

      「西の海の向こう、大海の遥か彼方」とは言っていますが具体のイメージは湧きにくいですよね。所謂"天"なのかどうな...
      さすがです、深いですねぇ!

      「西の海の向こう、大海の遥か彼方」とは言っていますが具体のイメージは湧きにくいですよね。所謂"天"なのかどうなのか。トールキンは創生神話として『シルマリルの物語』を構想していたようなので、私は「生前に完成していたら、大海の彼方の物語が、もっと具体的に描かれたんだろうなぁ」と、あまり深く考えず、簡単に考えていました。
      おかげで『指輪物語』の"再読…。再々読?再再再再々読…ルーティン"に入れそうです。(笑)ありがとうございます。
      2023/10/17
  • 絵を描いたポーリン・ベインズは、トールキンの友人であり、更にナルニア国物語の挿絵を手がけているとのこと(Wikipedia )。確かに穴熊や栗鼠を見れば、すぐにそれとわかる。懐かしき岩波少年文庫。
    肝心の「ビルボの別れの歌」は、ページ上段がビルボとフロドが中つ国を去るために灰色港へ向かう旅路、下段が行きて帰りし物語(ホビットの冒険)の名場面となっている。
    「家に帰りたいと思うのは、これが最後ではありませんでした」みたいな感じで、ビルボが次々とトラブルに巻き込まれてぼやきながらも、仲間を救うために頑張る物語が大好きだったので、下段の絵にばかり夢中になってしまう。
    ドワーフ達も全くいかめしくないし、トロールもゴクリもやたら可愛いくて、楽しい。
    (ネットを見ていると、トーべ・ヤンソン挿絵版のホビットの冒険もあるらしい。これも絵だけでも見てみたい。)

  • まずは装丁の緑がいいですね~。  KiKi にとってエルフのイメージ・カラーは緑。  「ロスロリアン」といい「闇の森」といい森の中で暮らす種族というイメージが強いし、この「ビルボの別れの歌」の段階ではエルフ最盛期の終焉を迎え、中つ国を去ろうというのですから、生命力にあふれた新緑の色ではなく、やっぱりこの本のような深い緑色こそ相応しいでしょう。

    さて、この絵本の絵を描いたのはP.ベインズさん。  あのトールキン先生の大親友のC.S.ルイスの「ナルニア」の挿し絵でも有名です。  さらにさらに、この後読み進む予定の「トールキン小品集(最近の本では「農夫ジャイルズの冒険」)」の挿し絵もこのベインズさん。  昨今の漫画チックな挿し絵とは一味もふた味も違う、どこかクラシックでどこか幻想的で、写実的ではあってもどこかコケティッシュな絵が魅力的です。

    この絵本の構成としては各見開きページの上段には「指輪物語」の最後の部分、指輪所持者たちが馬で西に向かい、灰色港から旅立っていくそのプロセスが描かれ、下段には「ホビットの冒険」の様々なシーンが描かれています。  絵本の絵を見ながら、読み慣れた「ホビットの冒険」のワンシーン・ワンシーンを思い出し、ビルボと一緒に思い出に耽ることができる時間は何とも言えない贅沢なものに感じられました。



    この絵本を読んでいて意外だったのはエルロンドがブルーのアイシャドーをしていることと、船大工のキアダンの髭がガンダルフよりも長かったこと(笑)  KiKi の中のキアダンのイメージはもっと逞しい男性だったんだけど、この絵だとまるでイスタリ(魔法使い)っていう感じです。

    この絵本の素晴らしさの1つにメインの絵に額縁のように描かれる繊細な植物や動物(← 以前、ターシャ・テューダーさんのインタビューか何かでこれの正式名称を聞いたことがあるんだけど、覚えていない)の模様が挙げられます。  この絵本の上段の絵は全部円形なんだけど、そのまわりを冬枯れ、秋枯れの木が取り囲み、それぞれの木に何らかの生き物が住まっていて、エルフたちは去っていくけれど中つ国に生命は残ることを印象付けているように感じます。

    そして素晴らしいのは言わずもがなの「ビルボの別れの歌」そのものです。  言葉の美しさともの悲しさを湛えた素晴らしい詩だと思います。

  • ポーリン・ベインズのフルカラーイラストの美しい絵本。灰色港から船出したビルボが西に至る旅を歌う趣向で、脚注のようについている小さい絵が実は『ホビットの冒険』のあらすじになっている、という一粒で二度おいしいアーモンドグリコ状態(笑。ファンにはたまりませんな。

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著者プロフィール

(1892-1973)オックスフォード大学教授。言語・神話への豊富な知識を生かして創造された別世界ファンタジー『指輪物語』は世界中に熱狂的なファンを持つ。他に『ホビットの冒険』等がある。

「2022年 『終わらざりし物語 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

J.R.R.トールキンの作品

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