こわれた腕環―ゲド戦記 2

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001106855

感想・レビュー・書評

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  • ゲドは私のバイブルだ。
    私の中ではもっとボリュームがあったと思っていたのだけれど。
    テナーが名前を取り戻す2巻。

  • 読了。これも15年ぶりの再読だけど、内容はぼんやりとしか覚えていなかった。前半というか大部分を占める墓所でのくだりはサスペンスの様相だが、脱出した後の不安はありながらものんびりした雰囲気は対照的で好ましい。後半はなくても話としては成り立つが、その部分があるからこそ、テナーは救われるし、これを書いたのはル・グィンのやさしさなんだろうな、と思った。

  • 前作の続編の本編は、ゲドと同じく闇に捕らわれた一人の少女をめぐる物語。名前を奪われ、偉大なる巫女の生まれ変わりを信じ込まされた彼女にはコシルのような人間は自分のアイデンティティを否定されたように感じたことだろう。
    深い世界観は相変わらず物語にきれい事だけでない余韻を残していると思う。ただ、マナンが死ぬのは悲しかったし切なかった。

  • 【配置場所】特集コーナー【請求記号】933||G||2
    【資料ID】10403445

  • テナーが閉じられた世界から、
    戸惑いながらも外の世界へ飛び出す、出ていく過程がよく書かれていてよかったー
    誰しも通る道。

  • ル・グウィンが描くアスーシーの世界の三部作のうち二作目。
    この物語の主人公はテナーこと神殿の大巫女アルハ。ゲドはアルハのもつアチュアンの墓地にある大迷宮に侵入し、世界の均衡を回復するためにエレス・アクベの腕輪を探しに来ていた。




    アルハは、テナーという本来の名前を奪われて、名もなき者という恐ろしい神々の〈ごとき〉存在に使えていた。前半のほとんどがテナーの半生を描くことからいって、主人公は一作目のゲドではなくテナーだということがわかる。闇の迷宮に住まう彼らは大変恐ろしく、罪人に罰を与え、アチュアンの墓地というその地自体も闇の中にいるように変化というものなく停滞させている。それは地下という不変ともおぼしき死と密接につながっており、住まう巫女たちはみな黒装束で、命を携えていない限り訪れる人間はいない。太古から続くとされているその信仰は世界における〈汚物〉を象徴しているようでもあった。
    アルハは太古からずっと生まれ変わり続ける神殿の大巫女として村から連れてこられた。本当の名前はテナー。それは呼ぶことを許されず、誰のものでもなくなった名だった。アルハはその魂以外すべて名もなきものたちに〈喰らわれし者〉として君臨する。そうしていくうちに、彼女自身も墓所の大巫女として闇にとらわれていく。
    時に闇とは未知を表し、その探究心をくすぐる。ひとつひとつ知らぬものを得ていく過程は達成感があるが、一方で、いくらでも知らぬものがある底なし沼のようでもあった。闇とは見えないものの恐ろしさや醜悪さをすっぽり隠してしまえる。それによってアルハは罪人を処罰する大巫女として死に囚われるのは、ゲドを見つけたとき、のぞき穴から憎悪と恨みを込めて死を願うさまからもわかるだろう。
    アチュアンの神殿に秘められていたのは、怒りや憎しみ、怨嗟の塊でいわば〈負〉の部分とでも言いかえることができる。それはゲドが迷宮に訪れたことによって、魔法の力で抑えこまれていた。迷宮から脱出するときにその本来の膨大なエネルギーや攻撃性・圧迫感として姿を現す。本来の自分自身を取り戻したテナーとゲドを追い詰める。逃げられないとわめきながらも、暗闇を進む姿は、見えない未来を手探りで進むようなみすぼらしく泥臭いものだが、彼女はテナーの名を示したゲドと同様、たったひとつの光を求めて邁進するのである。
    解放されたのち、テナーが一瞬ゲドに悪意を持つのは、〈自由〉というものが誉れ高いものだけではなく、一方で孤独や困難を示唆しているのは言うまでもないことである。だが、だからといって彼女は許されないことをしたことを、成長や解放による犠牲があったことを認めながら、自らの可能性をかけて己のままに歩める道を獲得した。

    一作目は心理学の教養への理解のために、進められて拝読した。とても象徴的でありながら、ひとりの人格における自己実現・あるいは成長を抽象的にうまく描けている。それはあとがきにでも言及されていたことだが、この作品でも同じことを言えるだろう。母ともいうべき保護・停滞からの解放、回復。それはゲドという大魔法使い(心理学的に言えばアニムス)の存在が、彼女を開かれた場所へととびだたせるのである。

  •  アーシュラ・K・ル・グィンの『ゲド戦記』の第1巻『影との戦い』は宮崎駿の息子さんによってアニメ化されて有名になりました。この物語は「行きて還りし物語」の構造を持っていることでも知られています。また「成長小説」としての側面を併せ持っていると言われます。学生諸君が夏休みに時間を掛けて読むのに持って来いの物語だと思います。ぜひ実際に手に取って一読してみてください。
    1.影との戦い:4001106841、2.こわれた腕環:400110685X、3.さいはての島へ:4001106868、4.帰還:400115529X、5.アースシーの風:4001155702、6.ゲド戦記外伝:4001155729
    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000451969

    文学部 T.Y

    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000382804

  • アルハがかわゆい。

  • あれ?ゲドが出てこないよ
    主人公女の子だし
    ・・・というような始まり

    閉所くらやみの苦手な方は、ちょっとしんどいかも
    決意をするまでが、ちょっと辛くて
    ななめ読みをしました

    名前がわかるところ
    ゲドが名乗るところが、いいです(^^♪

  • 2巻の主人公・テナーは、言い伝えによって朝から晩までを「巫女」の役目に費やすよう育てられてきた年頃の娘さん。名前を奪われ、自分を封印してずーっとおつとめをこなさなければならない日々を送っていたところ、神殿の迷宮に見慣れぬ男がやってくる。・・・一話完結で見ても面白いと思う、が、より楽しむためには1巻が必要。
    いきなり1巻から入って馴染めない場合でも、なぜか2巻からならはまれるひともいるのでは?(←私) 人形の家をファンタジー訳したと思っても、まあ、そんなに外れではないのかも。

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著者プロフィール

1929年10月21日-2018年1月22日
ル=グウィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。

代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。

アーシュラ・K.ル・グウィンの作品

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