イシ 二つの世界に生きたインディアンの物語

  • 岩波書店 (1977年9月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (284ページ) / ISBN・EAN: 9784001106909

みんなの感想まとめ

物語は、最後のヤヒ族の一人イシが白人の侵略と搾取に立ち向かう姿を描いています。彼の心の美しさや、故郷を失った悲しみが深く伝わり、読者は彼の苦悩と成長に共感を覚えます。イシは、白人に対する複雑な感情を抱...

感想・レビュー・書評

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  • 非常に心を揺さぶられる実話で、終盤は流れる涙をぬぐいながらの読書となった。
    大人向けのものと、こちらの児童書とを読んだのだが、大人向けの方は翻訳がやや不自然で読みにくく、その上前半部分があまりにも悲惨でレビューどころではなくなった。
    そのため、こちらの児童書版に載せることにする。ただ、内容は大人向けの方がより詳細。

    白人の西部開拓による激しい迫害から逃れ、山中で潜伏生活を送っていた最後のヤヒ族「イシ」が語り手。この「イシ」というのは仮名で、とらえられた際に決してその名を明かさなかったために付けられた名前。
    彼らの言語では「人」を意味する言葉らしく、実名を明かすこともなく「人」として生を終え、彼らの言語も彼の死とともに地上から絶滅したことになる。
    アメリカインディアンの一族であるヤヒ族の物語とその習俗、イシの崇高なまでの聡明さと生きる知恵、自然への深い畏敬の念、それらもまた滅したということだ。

    たったひとり生き残って偶然白人たちの前に姿を現したのが、1911年8月29日のこと。
    銃口を向ける白人たちの中、親愛の情を示す人も少なからず存在したのが不幸中の幸いだった。
    そのひとりが、彼をカリフォルニア博物館に迎え入れた文化人類学者のアルフレッド・クローバー。博物館も日本人が考えるものとは大きく違い、中に居所となる空間もあり、家庭的な雰囲気で満ちていたという。

    真摯に彼を受け止め、理解しようと全力を尽くして面倒をみてくれたアルフレッドとは、深い友情で結ばれることに。このアルフレッドが、「イシ」の名付け親だ。
    ファンタジー好きな方はご存知かもしれないが、この学者さんと著者であるシオドーラ・クローバーとの間に生まれたのが、「ゲド戦記」の作者であるアーシュラ・ル=グウィン。
    文明生活に馴染めなかったイシは5年後に結核で亡くなり、アルフレッドの最初の妻も結核で亡くなったという。
    あまりに深い痛手だったのか、アルフレッドはイシの思い出を一切語らなかったらしい。
    それを本という形に著したのが、二度目の妻であるシオドーラ・クローバー。
    迫害と殺戮とでインディアンたちを絶滅させた白人による、インディアンの本ということになる。
    皮肉な結果だが、そのおかげでこうしてアメリカインディアンの歴史に触れることが出来る。

    読みながら白人への憎悪の念で胸が苦しくなるほどだ。
    だが、それはイシの本意ではない。彼は一切憎んではいないからだ。
    ただこう述べている。
    「白人の神様は利口で、彼らにたくさんのものを与えた。だが彼らに、従うべきはっきりした生き方を示さなかった」・・日本人として、あなたはどう思うだろうか。

    Wikiで検索すると「イシ」でも「アルフレッド・クローバー」でも、同じ画像を見ることが出来る。ふたりで並んでいる古い写真だ。読後それを眺め、新たな涙にくれることになった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      急に読みたくなってます。。。
      nejidonさん
      急に読みたくなってます。。。
      2021/06/18
  • 物語を伝える―災厄を越えて―<3>芸術人類学者、秋田公立美術大学大学院准教授 石倉 敏明さん寄稿「再創造される物語――『イシの物語』から『宇宙の卵』へ」(前編) | 国際交流基金ウェブマガジン「をちこち」
    https://www.wochikochi.jp/serialessay/2021/07/3.php

    イシ - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b254572.html

    イシ―北米最後の野生インディアン
    https://booklog.jp/users/nyancomaru/archives/1/4006030851

    タイガーブックス(1)
    https://booklog.jp/users/nyancomaru/archives/1/4063738159
    ーーーーーーーーーーーーー
    少年文庫化希望!
    勿論、ルース・ロビンスのイラストで!!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      シオドーラ・クローバー(中尾ハジメ訳) 『内陸のくじら   〜カリフォルニア・インディアンの伝説からの9つの再話〜』|編集グループ〈SURE...
      シオドーラ・クローバー(中尾ハジメ訳) 『内陸のくじら   〜カリフォルニア・インディアンの伝説からの9つの再話〜』|編集グループ〈SURE〉
      https://www.groupsure.net/post_item.php?type=books&page=170328kujiraHP

      シオドーラ・クローバー「内陸のくじら 〜カリフォルニア・インディアンの伝説からの9つの再話〜」 - Calo Bookshop and Cafe | Online Shop
      http://calobookshop.shop-pro.jp/?pid=156702190
      2021/06/18
  • 「ゲド戦記」のル・グウィンのお母さんが書いた本と知り読んでみた。
    白人によって、住んでいた村を終われ、生活を搾取され続け、白人から隠れて生きてきた最後のヤヒ族イシ。
    たった1人になったとき、白人に殺されようと出てきたことから、博物館で暮らすようになり、白人の友達もできる。
    イシの言葉「〜白人の神々、白人の英雄たちは、ヤヒ族には、よくわからない。白人の神々や英雄は、ジェプカ神やカルツ神やヤヒ族の英雄たちより利口だ。白人の神々は、白人に車を火を出す道具を〜たくさんのいいものを与えた…だが白人の神々は、白人を賢く生きるようには、願ってなかったようだ。〈生きかた〉を―白人のしたがうべき、はっきりした〈生きかた〉を示さなかったように俺には思えるんだ。」が印象的。

  • なんてきれいな心、なんてきれいな魂なのだろう。ヤヒ族の世界の描写が美しい。あのまま暮らしていけたらどんなにかよかっただろう。でも、サルドゥーにも親しい友ができて、それはそれでよかったのだろうな。読んでいて苦しかったり、悲しかったりしたけれど、物語の終わりの方は穏やかで安心した。サルドゥーは最初は怖かっただろうし信用できなかったと思う。でもそんなサルドゥーと友になれたのがすごい。しかも故郷にサルドゥーと行ったというのもすごい。マジャパありがとう。読んでいて、読まなければ、知らなければよかったのかと思ったり、心配だったり、怖かったり、悲しかったりしたのだけれども、読んでよかった。イシのきれいなこころが支えてくれたのかもしれない。岩波現代文庫にもあるらしいから読んでみようかな。勇気が出たなら。

  • 読む時間がたくさん取れるようになった中で、最近心に刺さった本。
    白人に追われ、アメリカ最後の野生のインディアンとなった彼の数奇な運命を淡々と綴った児童書。白人の世界で友を得てもなお孤独であり続け、その孤独さえも受け入れた精神性は哲学そのものであった。

  • 『インガルス家の物語』の裏側、最後の野生インディアンの話。合衆国の最南部だが海に無縁のヤヒ族の土地に、ある時から馬で白人が押し寄せて川を荒らし鉄砲猟で鹿を山に追いやった(ゴールドラッシュ)。インディアンを殺し頭の皮をコレクションしていた。怒りのあまり彼らの宿舎に放火した青年は射殺されたが、主人公イシは遺体を取り戻し先祖の洞窟に横たえた。残ったヤヒ族7名は、見つかりにくい「熊の洞窟」に移り白人をやり過ごすことにした…/彼は居留地に“保護”された人々を「あんな太った奴ら」と軽蔑して会おうとしなかったが、6頭立て馬車(現在の重機にあたる)操縦の重労働するさるインディアンとは友人になった。

  • 他の方のレビューを読んでどうにか前半を乗りきろうと思っていたのだけど、だめだった。史実に基いている分、余計と読んでいて苦しくなった。

  • 上橋菜穂子さんがおすすめしてたことと、大好きなルグウィンのお母様が書かれた作品とのことで手に取った。
    はじめの方は民話を読んでいるような気分になる文章だけれど、中盤から急転、悲しい事実を淡々と語る口調にはかなり心が揺さぶられた。
    実話を元にしているというのが更に悲しい。
    でも読む価値のある本だったと思うし、技術だけは発展した現代の社会に生きる自分について考えさせられる点でも、読んで良かったと思う。

  • こうして少数民族は追い詰められていった。ネイティブアメリカンの自然と一体となった生き方が描かれる。

  • 児童書。

  • ずっと昔から、大地の神と生き物とともに生きてきたヤヒの人たちのまさしく最後の一人が、ヤヒとして誇り高く生き切った記録。
    人生の終わりに差し掛かった今、出会えたことの意味を噛み締める。

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