オオカミに冬なし

  • 岩波書店
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001108187

感想・レビュー・書評

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  • 池澤夏樹さんの愛読書として、『わたしのなつかしい一冊』という本に紹介されていたので、手に取りました。正確に言うと、去年の冬に一度図書館で借りて、再読に挑戦。どうしても寒い時に読みたかったので、『エンデュアランス号漂流』と共に借りて、冬セットと称し、読んでみました。どちらも昨年、読むどころか、ほとんど手つかずで返却したので、期待に満ちて読み始めたのです。

    が…。読書子と名乗るに恥ずかしいことですが、『オオカミに冬なし』読了を諦め、中断しました。

    P90『14 チャールズ・フランシス・ホールの幸運と最後』まで読みました。多分本当に面白いところには達していず、救出行の端緒についたかなというところ。それでも、どうしても私に、本文の文体が合わないのです。中野重治の、ごつごつとした骨っぽい訳文は、この作品によく合ってると思います。それは承知の上で。

    読むのがつまらない…と残念ながら思ってしまうので。
    これはもう肌合いが合わんということなのだと。無念!

    サバイバルな冒険譚や勇気ある人々の描写は、本来好きです。新訳でもう少し活気のある訳で読みたいなあ。他の訳も出ているのでしょうか。『エンデュアランス』だけでも読み切りたいな。

  • 人としてどう生きるか、何が大事か、極限状態で何を選択するか。
    実話をもとにしているそうだがいい話だった。
    訳が古いからか読みにくかった。中高生が読むだろうか。

  • 実話ベースであるという。各人が最善の行動をするわけではなく、誤解や行き違いを克服しつつ進んでいく。
    とにかく冷たい北極圏の冬の熱い魂の話。北氷洋で難船した7→5隻(2失)275名の捕鯨船員の(夏に航行可能になるまでの)食料に“トナカイの群れ”をはるばる送り届けるストーリー(西欧人からは自堕落で天気まかせに見える{書かれてないが性生活の事情もあろう}エスキモーのライフスタイル、生活上の信念に主人公たちは理解が及んでいく。しかし地球唯一、酒醸造しない民族にアルコール教えたのは罪だった)…/極限状況で「生きるためには仕方がない」置き去り、「俺はオオカミになりそうだ、どうか撃ち殺してくれ」ハードな回顧談が挿入…
    1893年には船舶無線は無い。
    「いい考えってもんは、一ぱいになった胃袋からでなけりゃ、出ちゃきません…」、普遍的真実。NHK『爆もん学問』で東京・児童文学館紹介したときに、背後の本棚の目立つ位置にあったのは偶然か?続々と出る新作に“名作古典”は開架書架から外されがち。
    「(助けが来るまでは)鯨の脂身と鯨油で持ちこたえますとも。ひどい匂いですが」、捕鯨船員は鯨肉は獲った直後に捨てたのか。エスキモーの食料資源を浪費する白人には《餓死》も当然の報いだが、ジャーヴィスの義侠心にエスキモーの生活研究者マッカレンも賛同

  • 池澤氏のおすすめの本
    ■「ザリガニの鳴くところ」(ディーリア・オーエンズ著、友廣純訳、早川書房) 米ノースカロライナ州の湿地で一人生きてきた少女の成長と、青年の殺人事件が絡み合う長編小説。
    ■「パチンコ(上・下)」(ミン・ジン・リー著、池田真紀子訳、文芸春秋) 在日コリアン一家の苦闘を描く。
    ■「オオカミに冬なし」(クルト・リュートゲン作、K.J.ブリッシュ絵、中野重治訳、岩波書店) アラスカ北岸で孤立した捕鯨船員の救出劇を通じ、人間性の美しさと冒険精神を描いた絵本。

  • ホントに児童書なのっていう読みづらさが最初はあったのですが、エスキモー・ジョーが出てくるあたりからぐいぐいひきつけられて読み進めました。
    寒い寒い極寒の地域でも経験のない寒さを、エアコンのきいた部屋では想像もしがたいですが、1分も持たないでしょうねえ( ^ω^)・・・
    ジョーがかなり心に残りましたが、主人公であろうジャービスも魅力的でした。
    人はこうありたい!と思わせてくれる本でした。

  • 生のすぐ隣に死がある冬のアラスカで、北極をめざす船上で、白人が足を踏み入れたことのないカナダ奥地で行われる選択。これを児童文学として書いたリュートゲン、出版したドイツの出版社、翻訳出版した岩波書店は素晴らしい。
    革製品で飢えをごまかすなんてチャップリンの映画の作り事だと思ってた。固有の文化を侵食されたエスキモーたちの苦境も、ひねくれて利己的なイギリス貴族の振る舞いも、こうして本にならなければ私たちが目にすることのないもの。訳文が古いので(訳者は中野重治氏。私は読んで安心するけど)子供は読みにくいと思うけど、子供にも大人にも読んで欲しいサバイバル冒険行。

  • 実家にあったこの本はオオカミがタイトルにあり、表紙もオオカミの絵があったおで シートン動物気のオオカミ王ロボのようなものかと思い手に取ることもなかった。あるとき読んでみると、なかなかの極限小説ではないか。
    生きるかの死ぬかの瀬戸際で、自分でも気付かなかった自分の本性がでてくる。
    探検は未知の大陸の探検であると同時に、人間というものの探検でもあったことがわかる。
    それにしても寒くて 食料がなくて 死にそう っていやですね。

  • 『偉大なる王』のアムールトラのことを考えていて、これをリストアップしないわけにはいかぬ、と思い立ちました。このデータの本、幸いなことに私のものと基本は同じです。訳者(中野重治)による1964年の辞もそのまま。こういうものが残っていると、少しだけほっとします。これを初めて読んだとき、「人間も、オオカミも、すごい!」と感じた記憶が鮮明です。今あらためて開いてみても、やはりそれは変わりません。本書からは少し逸れますが、ちょっと前のシベリアンハスキーブームのとき、「ニッポンの夏」に完全にヘバっているハスキー犬をたくさん見て、怒りに似たものを感じました、「オオカミに冬なし、なんだよ、ここはシベリアじゃないんだよ!」と。あれこれあって、そうしてヒトもドウブツも、それなりに変化していくものなのでしょうけれども。(それは、進化、なのだろう、か……? われ知る由もなし)。群社会の狼よりは一匹オオカミ、犬よりも猫、の私ではありますが、それはまずもって、私が犬(思えばどれも飼い犬だ)によって2度も実際に怪我を負わされた(2度目はそれなりの大怪我だった)、というのが最大の理由です。出会いが不幸でした(そこに居合わせた大人の配慮が違えば、また事態は違ったかもしれません)。そう思えば瑣末なことで、私はもちろん、オオカミも犬も、尊敬しているのでした。ああ、オオカミ王ロボ!!三度目の正直、今後は絶対に、私は犬を「悪者」にはしないからね。

  • 再読物だが感動は変わらず
    とことん人間って奴をかんがえさせられるのだった

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