- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001108231
感想・レビュー・書評
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あらすじ
オランダにショーラという小さな漁村がありました。村にあるたった一つの小学校には全学年合わせて6人の子ども達が通っていました。
一番大きくて腕白なイェラ、太っていて動きは鈍いけど頭の回転は早いエールカ、愉快な双子のピーアとディルク、おとなしいアウカ、そしてただ1人の女の子リーナ。
ある日リーナが自発的に綴り方(作文)を書いて来てみんなの前で発表したいと言うので、先生はそうさせてやった。彼女はコウノトリについて調べ、他の村にはコウノトリが渡って来るのに何故自分の村には来ないのか?と疑問を投げかけた。
そこで、その日は授業を打ち切って、何故コウノトリが来ないのかみんなで考える事にした。
翌日、他の村では屋根に車輪を載せていて、そこにコウノトリが巣を作ること、村には木が生えてないことが原因じゃないか…という結論に至った。
木はすぐには育たないので、屋根の上に乗せる車輪を探しに行こう!と子ども達は村中手分けして車輪を探しに行ったが…
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出だしは小学校の道徳の時間に見させられたドラマみたいで取っ付きにくかったけど、物語が進むうちにどんどん面白くなってきた。
車輪を求めて子ども達が近所の農家さんや金物屋さんなどの大人に掛け合って行く様子が、正に総合学習だなと思わされる。中でも元漁師で車椅子に乗ってる、ちょっと怖いヤーヌスがいい味を出している。
他にも90歳過ぎて頑張っちゃうおじいちゃんや、学校の先生、金物屋さんなどの大人達も皆いい人でほっとさせられる。その上先生も漁師のお父さん達もただいい人じゃなくて、ちょっとダメな所も描かれていて好感が持てる。
[国際アンデルセン賞受賞作家 5/35]詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ネットで検索しても書誌情報が見つからないくらいの古い児童書。
でもこの本には大切なことがいっぱい書いてありました。
オランダの、海岸沿いの小さい村が舞台。
その村の小学校に通う少女リーナの作文から物語は始まります。
彼女の住むショーラの村にはコウノトリが来ません。
近隣の村には来るのに、です。
もしコウノトリが来てくれるならコウノトリのことがよくわかるのに。
学校の先生は「なぜ、ショーラにだけコウノトリが来ないのか、考えてごらん」と6人の生徒に言います。
ショーラには、コウノトリが巣をつくれるように家の屋根に車輪を置いていないからだ(屋根の上の車輪に巣をつくるのです)、と考えた子どもたちは、村の中を、不用の車輪を探して歩きます。
その過程で子どもたちは、今まで接点のなかったおじいさんやおばあさん、両足を切断して車いすに乗っている元漁師と知り合います。
今まで知らなかったけれど、おじいさんやおばあさんたちの持つ知恵や、元漁師のおじさんの知識と行動力は、子どもたちに新しい世界を見せてくれます。
お父さんやお母さんたちをも巻き込んで、車輪を屋根に取り付け、コウノトリを待つ喜びと不安。
子どもたちは決してお行儀のいいよいこではありませんし、いいことを考えついてもたいていは失敗します。
でも、失敗して落ち込んでいても困っている人を見ると手助けをする。そうするとわらしべ長者のように何かいいことが起きる。
それらが一つになった時、村にコウノトリが帰ってきます。
学校の先生がいい。
”わたしたちが、なぜだろうと考えはじめると、いろいろのことを、本当に起こるようにさせることが、まま、できるものだよ。”
車輪を探すとき、「ありそうなところはもちろん、ありそうもないと思うところも探しなさい」という先生のアドバイスが、活きるのです。
”なさそうな場所に、思いがけないことが起こる、思いがけないことが起こって人を驚かす”
たった一人の少女の作文が、村のみんなを幸せな気持ちにしたという話。
挿絵はモーリス・センダック。
ちょっと言葉遣いが古いけど、子どもと一緒に読んだら楽しいと思いました。 -
オランダにアフリカからのコウノトリを巣作りさせる、一つの目標の為に皆んなが協力するのは、いい事ね~
1954年ニューベリー賞