- 本 ・本 (590ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001109818
感想・レビュー・書評
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ミヒャエル・エンデ
「モモ」を読んでファンタジー小説に興味が湧き続けて2冊目読了。
映画「ネバーエンディングストーリー」は見ていませんが、広告等で登場してくるキャラクターをイメージしながらとても面白く空想に浸り読むことが出来ました。
前半はファンタージエン国を虚無の侵蝕から救う為、勇姿に選ばれたアトレーユがアウリンというお守りを託され、白い幸いの龍フッフールと共に、幼ごころの君(女王)を助ける旅。
ハラハラドキドキ!バスチアンの本にのめり込んでいく気持ちがわかる。
読んでいくうちに???この本の内容って…
後半はバスチアンがメイン。思い通りに望みが叶い置かれた立場の状況で少しずつ人格が変化していく様がわかりやすく伝わってきました。
ラストは涙が潤みました(家族のつながりや人情に弱い)
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えっ、これって児童書なんだと思ったのが、最初の正直な気持ち。ネバーエンディングストーリーは幼い頃に観たが、確かファルコンだったか、大きな白い竜に跨がった少年の記憶しかないし、物語の内容で思い返すこともなかった。
まあ、私が子供の頃に読んでいれば、アトレーユやバスチアンが活躍する、展開の読めない波乱万丈の冒険ファンタジー小説として、面白く読めるのも確かであり、終わり方も感動的だ。
しかし、これが大人になって読むと、バスチアンの冒険がそのまま人間の人生の足跡を辿っているかのように感じられて、時折空恐ろしくなってくる感覚も味わったような気分になったのは、作家の「ミヒャエル・エンデ」が人間というものをよく知っているのではないかという、不信感にも近い怖さだった。ただ、これは逆に言うと人生の指南書や哲学書としても捉えられるということなのだが。
ざっくりしたあらすじを書くと、小柄でぽっちゃり体型の「バスチアン」が読んでいるのが、私が今感想を書いている「はてしない物語」で、その中の異世界「ファンタージエン」の「幼ごころの君」の名前を付けたことで、自分の望みをファンタージエンで叶えることができるようになる。ちなみに、この間の段取りは、ファンタージエンの若者「アトレーユ」と白竜「フッフール」がしていて、バスチアンとアトレーユは友達になる。
そして、バスチアンは様々な望みを叶えていきながら、次第に負の欲望へと向かっていき・・・といった感じで、バスチアンが調子に乗っているところはやや中弛みしかけたが、その後の展開にはすっかり夢中になり、ページを捲る手が止められなかった。そうなったのは読んでいるうちに、これって私の人生なのではないかと思ったからだ。
人の望みというのは止めどがなく、一つ叶えば次の望みと、本当にきりが無い。この物語がすごいと思ったのは、人が様々な望みを満たされると最後にどんな望みをもつのかを理解しているところにある。それはあまりに恐ろしいもので、エンデがドイツの作家というのもあるのかもしれない。そして、それに対するリスク管理が当然のように用意されていて、唯一知らないのは望みを叶えようとしている者。その仕組みを知ったときの恐怖は自業自得という言葉も浮かんだが、バスチアンにしても最初は純粋な気持ちから始まっているだけにやるせない。しかし、人生ってそういうものだという納得もさせられる。
更にその後の展開で、そこからのバスチアンの冒険が傷つきながらも自分を見つめ直しつつ、次第に考え方や望みが変わっていく丁寧な描写に圧巻の一言。人生でいうところの、大人になってからの自分をもう一度見つめ直す時期を思わせられて、人はこうして過去を見つめながら、ちゃんと自らの人生を見出すことができるのだなと思えたことには、私にとってすごく励みとなった。
読み終わって改めて思ったのは、人生とはこういうものなのかもしれないということ。やはり最初からなんでも分かる人はいないし、失敗しても取り返せる。すごく辛いけどね。邪な気持ちだって人間は持っていて当然。
それでも大切なのは、自分らしく生きることの歓びだということを教えてくれた。
ちなみにバスチアン、星五の評価はアトレーユとフッフールのおかげだから、それだけは理解しとくように。バスチアン、まったく君というやつは本当に・・ただ、いちばん共感したのはバスチアンなんだけどね。もう一つのいちばんはアトレーユとフッフールの感動。雪原での一枚の絵になるような、あの美しいワンシーンには。 -
最高傑作!子どもの時に読んだ衝撃は、今も忘れられません。私が本好きになった大切な本です。
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もし本当にファンタージエンと人間の国を行き来できた子どもがいたとして、ファンタージエンでの出来事を話してくれたときに、「くだらん」とか「どうせ夢だろ」とか言うつもりはもともとなかったけど、「忙しいから後にして」って言っちゃうかもしれない。
バスチアンの父や古本屋のオヤジの対応にはハッとさせられるものがあった。私はバスチアンの父と同じくらいか、あるいはそれ以上の年齢になってしまったけど、まだ古本屋のオヤジよりは若いはず。間に合ってよかった。
冒険物語というよりは文化人類学のフィールドワークってこんな感じかなと思ったり、ドイツで1979年に発行されてから3年で日本で発行した翻訳者、世界観を見事に再現している装丁や印刷会社の仕事ぶり…やっぱ岩波すごー、さすが広辞苑の会社…と思ったりしたのは、大人になってから読んだ気づきだったと思う。
グラオグラマーンのセリフに、転職を思いとどまったりもした。大人の心にも響くセリフの数々。恐るべし、ファンタジー。大人もファンタジー読んでいいと思う。当たり前なんだけど、それを再認識。
重いので通勤のお供にできず、家でちょこちょこ時間を作っては読んでいて、1ヶ月かかってしまったけど、やっぱり文庫版にしなくて大正解だった。この本はどんなに重くてもハードカバーじゃないと意味がない。「あかがね色」といい、蛇の紋様といい、文字の二色刷りといい、物語そのものを再現していて、もう特別感がハンパない。
この本を今更読もうと思ったきっかけは、先月積読解消で読んだ雑誌『&Premium2022.10月号』にあった「まだ読んでいなかった児童文学の名作を読んでみた」というコーナー。
かつて姉の本棚にあった『はてしない物語』のずっしりとした重みや、絹張りの手触りはすぐに蘇ってきたものの、どんな話だったか思い出せない…あらすじを読んでもピンとこない。ということは、読んでいなかったんじゃないか。もしかしたら途中で挫折したのかも。
他にも読みたい本はたくさんあって、正直こんなことをしている場合じゃない…と思いつつ、どうしても気になる。そうして図書館から取り寄せた。読み終わった今から考えると、ファンタージエンから呼ばれた…ということにしておこう。
ただ、残念ながら図書館はケースがついてないし、ビニールのカバーがかかっていて質感を存分には楽しめない…。でも、中の装画も素晴らしいし、これはもう芸術品!と読む前から感動。子どもたちも読むかもしれないし、そのうち買いだな、と思っている。
ちなみに、芸術品という感想ついでに、中学生のときに取り組んだ「読書感想画コンクール」のことも思い出したりした。友人がミヒャエル・エンデの作品で何かの賞をもらっていたので、「なんの本だったっけ?」と連絡をとってみたら「『モモ』だったよ」とのこと。『はてしない物語』を感想画にするとしたら、絵巻か壁画になっちゃうよねとか、児童文学の話にも花が咲きまくって、めちゃくちゃ楽しい時間を過ごせた。これもファンタージエンの魔法かも。
映画の『ネバーエンディングストーリー』も見たことはないけど、見てしまうと自分の中の世界観が崩れそうなので、やっぱり本は本として自分の中で大事にしたい。 -
好きなYouTuberさん(QのTさん)が、この本がきっかけで読書を好きになった!と熱弁されていたので、読まずにはいられませんでした。
本屋の児童書コーナーに入るのはとても新鮮で、思い出深い絵本なんかも沢山あり、かなり興奮してしまいました。初めて、"エモい"という感情が分かったかもしれません(笑)
家庭や学校で孤独を感じ、現実から逃げ出したい気持ちを抱えていた少年・バスチアンが、とある物語を読み進めていくうちに、その本の世界へと入り込んでしまいます。
この本の世界、ファンタージエンという世界なんですが、この世界観がまた本当に素晴らしいです(私の語彙力では表しきれない)。
例えば、
青銅の鐘のような声を持ち、真珠貝色の鱗が美しい幸いの龍フッフールや、
色の砂漠、ゴアプの変化に合わせて、自身の体の色も変化するグラオーグラマーンというライオン。
銀以外のものをみな溶かしてしまうという湖、ムーフー。その湖のまん中には銀の都アマルガントがあり、家や舟など、全てが銀から作られている様は、訪れる人をうっとりさせる…。
このように本書には、想像すらしたこともないような生き物、植物、風景、建築物などが数えきれないほどたくさん登場します。
この本自体が、
「読んでいる本のなかへ入ってしまう物語」
なのですが、
私自身も、バスチアンと共に壮大なファンタジーの世界に入り込んでしまったかのような感覚に陥り、次はどんな冒険が待っているのかとワクワクさせられました。
いくつになっても、こんなにワクワク感を与えてくれる物語に出会えるということが、とても幸せだなぁと思います。
本を読むって、最高の娯楽ですよね。
もっともっと本が読みたい!と思わせてくれました。 -
はてしない物語。ネバーエンディングストーリー。
映画の内容もうろ覚えだったが、所々で断片的に思い出す。
盗んだ本から始まる物語。ファンタジーの世界へようこそ、という感じ。
力に魅せられ、大切なものを失う。
それは失ってから気付く。
これから読む方はぜひ枕元に置いて、寝る前に読んで欲しい。きっとおもしろい夢を見ることができる。
読了。 -
中学生の頃にハードカバー版で読んだ本。
今でもたまに思い出してパラッと触れたくなる。
「読者が物語の中へ入って冒険する」感覚、当時没頭して読んだ記憶がある。 -
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こんばんは。ブックリストから来ました。
(オールタイムベスト、選ぶの楽しいけれど大変そう……!厳選お疲れ様でした!)
「はてしない物語」、子...こんばんは。ブックリストから来ました。
(オールタイムベスト、選ぶの楽しいけれど大変そう……!厳選お疲れ様でした!)
「はてしない物語」、子供の頃親にあてがわれて読みました。冒頭はとてもワクワクしたのですが話が進むと難しくなって、その難解だった印象が強くて再読できずにいました。でもahddamsさんのレビューを読んで、「あ、そういう話だったのか、それなら今読んでみたい」と思いました。
装丁がめちゃめちゃ素敵ですよね。よくわからなかった苦手な本でありながらも、ブツとして素敵すぎて、実家から持ってきて今も家にあるんです。ある意味因縁の一冊…(笑)2024/09/18 -
akikobbさん、おはようございます!
ありがとうございます♪厳選には大変難儀しました(^^;;
『はてしない物語』は私も何度か断念し...akikobbさん、おはようございます!
ありがとうございます♪厳選には大変難儀しました(^^;;
『はてしない物語』は私も何度か断念しており、その間のどこかで映画版を鑑賞していました。akikobbさんが感じられたように、幼少期に原作を読んでもきっとピンと来なかったと思います。
映画版(『ネバーエンディング・ストーリー』)は本書の前半部分までの話で、後半部分を知った時はあまりのトーンの違いに戸惑ったのをよく覚えています…!それでも忘れることのできな自分にとっての大切な構成要素となりました。
是非ともリベンジを果たしていただけると幸いです(*^^*)♪2024/09/19
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子どもの頃に親が買ってきてくれて読んだことがあった。まず本の装丁が、それまで見たこともないような素敵なもので、こんなカッコいい本を読んでいるということ自体が嬉しかった。そして内容も、途中まではとてもドキドキワクワクして面白く、夜の森ペレリンのシーンを読書感想画の題材にしたこともあるくらいだ。だが後半、当時の私には、主人公が闇落ちしていくことがどうにも飲み込めず、読むのが苦行になった。結局最後まで読み切ったか途中で挫折したかは、定かではない。
そんな両極端な思い出そのままに、この本は今も実家ではなく自宅に持っている(物として好きだから)が、再読する気はない(読むのきつかったから)という、私にとってそれなりに因縁深い本だったのだが、このたびブク友さんのブックリスト「オールタイムベスト」に載っているのを拝見したのをきっかけに、一念発起、読むことにした。いや、読まずにAudibleで聞くことにした。
前述の通り装丁が外だけでなく中も素晴らしいので、ハードカバーで読むに如くは無しなのだが、まあそこは経験済みだから良しとして、それよりもかつて挫折したことや分厚さからくる「読み進める自信のなさ」を、Audibleがばっちり補ってくれたことの方が大きい。緒方恵美さんによる朗読はもはや一人芝居の域、いくつもの声色を使い分けて個性あふれる登場人物たちを生き生きと演じておられ、姿が見えるようだった。
さてさて、大人になった今再読したら、後半の闇落ちからの復活編をしみじみ堪能でき、改めて読み直す機会が得られて本当に良かった(ブク友さんありがとうございます)。特に、終盤の三、四章は全部線引きたいくらい濃厚で充実した章だなあと感じるが、同時に、ここに至るまでの道のりすべてが物語として必要だったとも感じた。ちりばめられた箴言めいた言葉に、冗長とさえ思われるほどの大冒険に、感嘆するしかない複雑な世界設定、もうお腹いっぱいである。一方には短歌や俳句のような短詩という文学の形があり、その対極にはこうした長編小説があり、それぞれに素敵だけれど今回は長編小説ならではのずっしりとした重みを心ゆくまで味わった。
以下、個人的な備忘メモ。
・アトレーユはもちろん素敵だが、幸運の竜フッフールがまたすごくいい。緒方恵美さんの声も良かった。誰に対してもわけへだてをしない幼ごころの君にもしびれる。
・バスチアンが来なくて、幼ごころの君とアトレーユがなぜ来ないかあれこれいうところは笑えた。バスチアンが決心できない理由もよくわかるし、決心せざるを得なくなった理由もよくわかった。
・「汝の欲することをなせ」「自分の真に望むことをする」とは。
・アウリンの力で望みを叶えると自分が自分でなくなる。別に元の自分好きじゃないしそれならそれでいいって思う気持ちも分かる。しかしその行き着く先が「元帝王たちの都」。"I'm OK"の地点から始めないといけない、のかな。
・変わる家でのアイゥオーラおばさんの言葉とバスチアンの変化に思わず落涙。ヨルのミンロウドでの絵の採掘、そして雪原のシーンも。-
たださん、コメントありがとうございます。
その時々や作品によって、オーディブル(で、合ってます!)が向いてたり向いてなかったりしますが、今回...たださん、コメントありがとうございます。
その時々や作品によって、オーディブル(で、合ってます!)が向いてたり向いてなかったりしますが、今回はぴったりでした。
たださんも読まれてましたよね。「児童文学」の懐の深さを感じたという点では、高殿方子さんの『ココの詩』にも通じるところがある気がしました。
この本ブックオフでも結構見かけるので、私ももう読まないしいつでもまた買えそうだし、売っちゃおうかなと思ったこともあるのですが、再読して、いやこれは持っておこうと思い直しました。2025/03/05 -
良かったです(^_^;)
普段、使い慣れない言葉だったもので。
私的には、本書は全く影響無いのですが、さすがに『ココの詩』を引き合いに出さ...良かったです(^_^;)
普段、使い慣れない言葉だったもので。
私的には、本書は全く影響無いのですが、さすがに『ココの詩』を引き合いに出されると、思い切り共感できるものがありました。今でも読みたくないなあと感じますし、そうした印象を、いつまでも与える本の力というか、作家さんの力も凄いと思います。2025/03/06 -
ああ、方子さんの長めの本もまた読みたくなってきました。『ココの詩』も私はまた忘れた頃に読みたいです。怖いけどジェットコースターに乗りたいみた...ああ、方子さんの長めの本もまた読みたくなってきました。『ココの詩』も私はまた忘れた頃に読みたいです。怖いけどジェットコースターに乗りたいみたいな気持ちです(笑)
あの衝撃に比べると、ミヒャエル・エンデもかわいいものですね⋯。2025/03/06
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ミヒャエルエンデの作品






そうですねぇ~「読んだらダメ!」と言いつつ、チョッと隠してあるようで、目に入る場所に置く訳で...
そうですねぇ~「読んだらダメ!」と言いつつ、チョッと隠してあるようで、目に入る場所に置く訳ですね。。。でも隠れて読んで目を悪くしないようご配慮ください。
>子供たちに本の世界にどっぷり浸かってもらえるようにと、エンデが自ら発案した装丁だという。
これ、びっくりでした。私大人でしたがどっぷり浸かったので。装丁も内容も本当に素晴らしくて!
他のレビューも少しずつ読まさせていただきます☺︎そして良い本に出会っていきたい。どうぞよろしくお願いします。
レスが遅くなり申し訳ございませんでした。
ご覧のとおりのボッチ系気まぐれブログでして、数週間に一度...
レスが遅くなり申し訳ございませんでした。
ご覧のとおりのボッチ系気まぐれブログでして、数週間に一度くらいのペースで更新したりしなかったりですが、気長にお付き合いいただけると幸いです。
ももいろのきりんさんの本棚も少しずつのぞかせていただきますね。
今後ともよろしくお願いします
(´∀`*)