サーカス物語

  • 岩波書店
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001109870

感想・レビュー・書評

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  • 永遠の少女・矢川澄子女史訳だからかもしれないけど、言葉遣いがとっても詩的でモダンだな~・・・。
    ハッピーエンドのはずなんだけど、どこか不安で寂しく感じたな・・・。
    落ちぶれたサーカス団とエリは時代の波を生き抜けるのか。

  • 真島昌利の『煙突のある街』という歌を思い出しながら読んでた。重い話だった。
    エンデの話は、『モモ』といい、児童書の体裁をとった哲学的な話と感じる。
    ジョジョとエリの関係性が好き。

  • サーカスワゴンの近くにある工場の公害のせいで障害を持って生まれた孤児エリを保護した団員達は、サーカス一座かエリか選択を迫られている。できる仕事は少ないが純粋で優しいエリ。冷たく苦しい現実世界と華やかでロマンチックな空想世界が交錯する。
    最後、団長の道化ジョジョの語りでみんなは失われた創造の王国を取り戻し、エリと一緒にいることを選び、容赦ない現実(ブルドーザー)と対峙する。

  • きたるべき世界は幻想からしか生まれない
    みずからつくりだすもののなかでこそ ぼくらは自由なのだ。
    p.192

    いいか 愛と自由とあそびの三つを手に入れたものだけが
    しんから心おきなくふるまうことができるのだよ。
    p.196

  • 意味するところがわかりにくい物語であった。

  • 満足を約束しながら際限なく拡大する貪欲な蜘蛛の巣に抗する愛と共感の物語。モモの裏。やさしくはない。

    司修の迫力ある挿絵が忘れがたい。

  • 戯曲。切なくて哀しいけど優しい物語。誰とも出会わずひとりだけど不死でいるのと、限りある命でも愛するものを見つけられるのと、どっちが幸せ?

  • 小学生時代にはじめて読んでから、何度目の再読でしょうか?
    『はてしない物語』と同様、いつの間にかこの本も私が何度も読み返す本の1冊になっていました。
    当時は登場人物たちのやりとりや雰囲気を単純に楽しんでいたのですが、今読むとハッとさせられる言葉にたくさん出会いました。
    年齢を重ねるにつれて、心に響く言葉は変わるんだなぁ…と改めて感じます。

    戯曲形式の物語なので、ト書きのような場面設定と登場人物のやりとりで構成されています。
    物語のはじまりは、大都市のはずれにある工場の敷地。
    みすぼらしい3台のサーカスワゴンのそばで、これまたみすぼらしい身なりをしたサーカス団の面々が集っています。
    その輪の中でピエロが語るお話が、"物語の中の物語"として展開していきます。

    サーカス団員たちの愛と決意と覚悟、そしてその決断によって立ち向かうことになる現実…。
    このラストシーンは何度読んでも色あせることはないでしょう。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ハッとさせられる言葉にたくさん出会いました」
      エンデも言葉の力を信じた作家でしたね。
      親がシュルレアリスム画家だった所為かな?
      「ハッとさせられる言葉にたくさん出会いました」
      エンデも言葉の力を信じた作家でしたね。
      親がシュルレアリスム画家だった所為かな?
      2012/07/19
  • エンデの思想が色濃く出ている戯曲。劇中劇と(物語中の)現実世界が溶け合ってゆくさま、鏡の精、ガラスの塔に住む不老不死のお姫様、悪を象徴する蜘蛛、呪いのためすべてを忘れてしまった王子様など、興味深いモチーフがいっぱい。先に「闇の考古学」を読んでおいてよかった。

    この物語は入れ子構造になっていて、外側の物語は、落ちぶれ、馬もテントも質に入れてしまったサーカス団が、当面の宿である空き地からも工事のために追い出されようとしている話。内側は、サーカス団の一人が語る、王子とお姫様の恋物語。外側の物語と内側の物語は壷の外側と内側のような関係で、王子とお姫様の物語は、サーカス団のメンバーの魂の物語となっており、王子と姫を陥れる悪役はまた、サーカス団を窮地に陥れる悪役と本質的な部分で重なる。

    だから、王子と姫が悪役の奸計を打ち破って結ばれた時、サーカス団のメンバーは人としての矜持を取り戻し、結果的に立ち退きを迫る重機と相対峙することになる。そしておそらくは潰されるだろう。彼らは確かに「現実」の世界では敗者に見えるかもしれないが、魂のあり方から見ると、完全な勝者だ。

    この結末について、作者のエンデは何も感情的な言葉を挟んでいない。それがかえって、彼らの高貴さを引き立たせ、魂の勝者が現実世界では敗者になってしまうやり切れなさをひしひしと伝えてくるのだ。

  • 素晴らしい挿絵と装丁。本文の文字色が好き。

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