幽霊を見た10の話 (世界児童文学の名作B)

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感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001109894

感想・レビュー・書評

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  • 怖いお話しというか、不思議な、奇譚的な10のお話し。

    どれも面白くてクセになるけど、
    心を掴まれたのは、
    「水門で」
    多くを語らずして想像させるところがかっこいい。

    第一次世界大戦に囚われた、誰もが大好きだった兄さんと、製粉業者で水車小屋を管理する父親、まだ小さくて、助けにならないけれど、その父をなんとか、助けたいと願う少年のおはなし。ジェスという、素敵な犬も、いいんだなぁ。。

  • タイトルの通り不思議な10篇の作品を収録した短編集。おそろしい物語から、心暖まるものまで様々だ。いわゆる幽霊と言えば簡単だが、人の悪意であったり恐怖の記憶であったり、それらが起こす現象であり、なんだか現実でも起きそうな気すらしてくる。
    『水門にて』はなぜか知っていると思ったら、中学校のときの教科書に載っていたようだ。
    私が好きな作品は『手招きされて』。幽霊の手招きについていったら、恐ろしい目にあいそうだが……家族の再生を願う優しい幽霊の物語だ。

  • 小学校の国語の教科書に載っていた、「水門で」という話を無性に読みたくなって、Amazonで購読。

    恐怖もの、という企画の本なんだ。へえ。
    「水門で」はその1つで、本書によって小学校の時の記憶が修復された。
    ただ、教科書とは違うと思われる部分もあった。私の記憶が正しければ、
    教科書では、語り手であるわたしは、慕う兄貴から「ティドラー(小魚の意味、という注釈があった)」と呼ばれていたはず。その記述がなく、「ちび」となっていた。教科書の方が、その国のその文化が感じられて味わい深かった。

    客観的な描写が、豊かな感情表現、心象風景、そして読者に好感や共感を抱かせる、とても素晴らしい物語だ、とあらためて思った。

  • 人の心から生じた恐怖や怪異、今も根付く超自然のもの。それらはいつもあなたのそばにいる。不気味な雰囲気を纏いつつ、リアリティの伴う10の幽霊の話。それは、本当に異形の物が原因なのか? (個人的に)やや訳が固く、言い回しも昔風で少し読み進めるのに時間を要してしまった。 が、おもしろい一冊。いつも読んでいる幽霊話とはまた少し違う雰囲気だった。確かに出てくるものは理解しがたい非日常の産物ではあるのだか、それが生まれ出た過程を見ると悪意や執着、思い込みから生じる負の感情などが根底にあると感じる。「ミス・マウンテン」、「ジョギングの道連れ」はその傾向が強い。ミス・マウンテンは読んでいて不快になるし、おばあちゃんに心底同情する。最後の「アーサー・クックさんのおかしな病気」という話は読了後すぐは円満に終わった!と思ったが、今思い返しつつ感想を書いていると本当にそうか?と首をひねる。(最後につぶやかれた妻の一言が少し疑心暗鬼にさせる要因)

  • 幽霊というより怪・不思議と表現したほうがしっくりくる短編集。
    先日読んだ今野圓輔の幽霊分類に当てはめながら読んでみて、この作品も「恐れ」ではなく人間に焦点をあてているから、見知らぬ国の作家が書いた話であるのに「わかる」という感覚にさせられるのだろうと思いました。
    国や時代が違っても、そこに(幽霊側のものであれ見る側のものであれ)人間の思いが映し出されるからこそ、怪談や幽霊譚はいつまでも興味深く思えるものなんだなと実感させられた一冊でした。

  • 梨木香歩推薦図書として読みました。ホラーが苦手なので覚悟しましたが、幽霊というよりは「家」という箱にまつわる心霊現象と謎解きが一体化した子供向けのお話でした。梨木香歩としてはその「家」「屋敷」というテーマに惹かれたのだろうと思います。ここらへんは「百年の孤独」の解説に端的に記されています。

    影の檻‥‥土から発掘されるガラクタを美術館に持って行くことが趣味みたいなオヤジとその娘の年下の友人であるホイッスル・ヒルズの名の由来を、身を以って体験する少年の話
    ミス・マウンテン‥‥彼女が太っている理由・その象徴となった銀のクッキー容れと、孫娘・孫息子の話
    あててみて‥‥guess 学校が嵐に会い損害をうけ、並木道の古い木も倒れた。暫くほかの学校で授業を受けることになった姉妹にまとわりつく正体不明の彼女は一体…?
    水門で‥‥製粉所や家族、みんなから尊敬され愛されていたビーニイは徴兵され休暇で帰ってくると戦地の話は重く口を閉ざした。ある嵐の日、オヤジが水門を開ける作業についていく主人公は、その作業を支える影を見る。翌日、兄の戦死報告を受ける。
    お父さんの屋根裏部屋‥‥器量を母に期待されるロザムンドはある日立ち入り禁止されていた屋根裏部屋が開いたので入る。助け出された頃には父に母が抱く軽蔑「別に何も」という父に、誰よりも共感を感じていた。
    ジョギングの道ずれ‥‥足の悪い弟にすべての愛情を注いできた母が死んだ翌日、弟も階段から落ちて死んだ。そんな不注意のない人だった筈だのにだ。弟を母の愛情を奪ったことで幼少より憎んでいたケネスは母が死んでからは弟と二人暮らしになったその日も、いつもどおりジョギングをした。その彼の後ろに近づいてくる足音が聞こえる。彼と共に成長した憎しみだ。彼はジョギング中、心臓発作で死んでしまう。顔には恐怖が浮かんでいたという。
    手招きされて‥‥老人しか住んでいない筈の家に度々ボールを取りに行くピーター。一体自分を手招きしていたのは誰だったのか
    両手をポケットにつっこんだ小人‥‥アフリカでライオンに噛まれたせいで足の悪いポーターさんは一人暮らしで母は彼の代わりに買い物を引き受けている。その彼がアフリカから持ち帰った人形は、特別な液体を頭の天辺の穴に注ぐと敵を倒してくれるという。ある日ポーターさんの家に泥棒が入る。あの人形は道端に倒れ血を浴びていた。
    犬がみんなやっつけてしまった‥‥漁師だった叔父が気が狂って死んだ。その家に一晩泊まった甥は、鼠に襲われたが両親に夢だったといわれる。うっかり飼犬を泊まっていた客間に入れ、一晩大騒ぎさせたところ、犬がみんなやっつけてしまった
    アーサー・クックさんのおかしな病気‥‥庭の広い安い物件に引っ越したら主人のアーサーがテレビを見ようとするともやがかかり、気分が悪くなる病気になりだした。娘のジューディは直ぐに引っ越したという前の家の人、前の前の家の人、その前の夫が死んでからここを手放した老女を尋ねて行く。そして老女が最後に明かしたことに従うと、父の病気は解決する。

  • 20120730

  • あの名作、『トムは真夜中の庭で』の著者が20年のちに書いた怪談集。
    わりと普通ではありますがそれぞれ味わい深くもありました。

    (2006年07月15日読了)

  • なんともいえない怖さがあります。
    夢に出てきました・・・

  • この本は、フィリパ・ピアスが一九七七年に発表したThe Shadow‐Cage and Other Tales of the Supernaturalを訳したものです。「影の檻」をはじめ、十の短篇がおさめられていますが、もとの題名が示している通り、すべて私たちの人生をときどきおおうことのある暗闇と、自然を超えて人生に働きかけるふしぎな力を扱った作品ばかりです。しかし、テーマは「超自然」であっても、作品をつらぬいている方法は、あくまでもきびしい内面的なリアリズムです。

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