天女の里がえり: 中国のむかしばなし (大型絵本)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001112030

作品紹介・あらすじ

貴州省の施洞を訪れた著者が、直接ミャオ族の古老から聞いた民話。ミャオ族の焼畑耕作などが見られ、とげや竹や山水の種をまきながら逃げる"呪的逃走モティーフ"も描かれています。

感想・レビュー・書評

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  • 2023.7.8市立図書館
    朝の新聞で君島久子さんの訃報を知り(亡くなってちょうど一ヶ月、七夕に合わせての公表だったのだろうか?)、追悼読書用にわがやの本棚にない本を図書館で見繕ってきた。

    天女が白鳥の姿で水浴びに来たところを羽衣を隠して一人帰さずに妻とするというのは日本でもおなじみだけれど、この話では羽毛扇で家族三人天に里帰りするという展開になり、そのあとは婿をためす難題譚になり、さらに三枚のお札的逃走譚になっていく。なんとか婿の試練を乗り越えたかと思ったら祝いの酒が毒入りで死んでしまったものの、天の川を伝って地上に思ってきて蛇に毒を吸ってもらって生き返るというアクロバチックな展開、昔話の大入り袋みたいでおもしろかった。小野かおるの挿絵もたのしい。

    あとがきによると、中国のミャオ族の古老が語ったものを中国語訳を通じて著者が日本語に訳したもの。日本の羽衣伝説の源流といえる天人女房譚は1963年に福音館書店から出した「たなばた」とも共通していて、各地の言い伝えや民話が少しずつ伝播しながら混じり合っていく過程を見るようで興味深い。

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著者プロフィール

君島久子 栃木県に生まれた。慶應義塾大学卒業、都立大学大学院修了。武蔵大学教授をへて、国立民族学博物館教授となる。中国民族学、文学を専攻、特に民間伝承および児童文学を研究。中国、東南アジア、日本を含めた広いアジア地域での比較研究をすすめている。1965年、『白いりゅう黒いりゅう』(岩波書店)、1983年、『中国の神話』(筑摩書房)で共にサンケイ児童出版文化賞を受賞。また1976年、『西遊記上・下』(福音館書店)で日本翻訳文化賞を受賞した。そのほか『ほしになったりゅうのきば』『たなばた』『しんせつなともだち』(福音館書店)、『チベットのものいう鳥』『王さまと九人のきょうだい』(岩波書店)、『アジアの民話』(講談社)、『月をかじる犬』(筑摩書房)など多数の著訳書がある。大阪府在住。

「2020年 『あかりの花 中国苗族民話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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