犬になった王子――チベットの民話

著者 : 君島久子
制作 : 後藤 仁 
  • 岩波書店 (2013年11月16日発売)
4.07
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  • 本棚登録 :72
  • レビュー :16
  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001112429

犬になった王子――チベットの民話の感想・レビュー・書評

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  • チベットに伝わる民話。
    読みたくて読みたくて、図書館でリクエストして到着日を指折り数えて待った一冊。
    壮大なストーリーとそれはそれは美しい挿絵に、心を惹き付けられながら読むこと、約20分。
    長さと内容からして小学校の高学年以上かな。
    読み聞かせするには右手が痺れてきそうだが、頑張る価値があると思われる。

    舞台はチベット東北部のプラ国。主人公は、この国のアチョ王子。
    食べ物が少なくて貧しい民のために、美味しい穀物の種が山の神様のもとにあると聞いて、旅に出るのが始まり。
    しかしそれは、99の険しい山と99の川を越えて行くという、長く危険に満ちた旅。
    ようやく山の神に会うことが出来ても、その先に更にとんでもない試練が待ち受けていた。。

    チベットの主食である「ツァンパ」は、大麦を炒って粉にしたものに、お茶やバターを入れて捏ねて粘土状にしたもの。
    主食であったり携帯食であったりと、チベットの人々にとっては命の糧のような「ツァンパ」の原料の来歴を語るお話で、山アリ谷アリの冒険物語が、息もつかせぬほどの展開で繰り広げられる。

    神話のようでもあり、おとぎ話のようでもあり、日本画のような色調の美しい絵で、時間を忘れて読んでしまうこと受けあい。
    次々と襲いかかる試練を、王子はどのように乗り越えるのか。
    【人々の幸せのために】という、強い信念と理想は、ここまでひとを動かすのかと、心を揺さぶられる思いだ。

    読後の、なんとも言えない懐かしさはどこから来るのか、しばらく考えてみる。
    すると、子ども時代はこういうお話に満たされて過ごしたことを思い出す。
    ああ、なんて幸せなことだったろうと、今更にして。

    政治的には、中国の侵略によって実に悲惨なことになったチベットだが、民話や昔話というのは、貴重な文化遺産なのだと、この一冊を読んでそう思う。
    他山の石としながら、私も日本のお話を少しでも学んでいこうと思いなおす。

  •  君島久子先生の文、後藤 仁の絵によって、岩波書店から出版された絵本です。2013年11月15日発行。〔ISBN 978-4-00-111242-9〕
     Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館「The White Ravens 2014 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。
     この絵本の出版は、岩波書店創立100周年、岩波の子どもの本創刊60周年を記念する出版事業の一環となります。文は中国文学・民話研究の第一人者である君島久子先生(国立民族学博物館名誉教授)によって過去に訳された「犬になった王子」(民話集『白いりゅう 黒いりゅう』所収、1964年、岩波書店)を、先生が絵本用に書き直されたもの。作画は私が日本画を用いて一年余りをかけて丹念に描きました。中国の少数民族・チベット族に伝わる民話を元にしており、原話の題名は「青稞(チンコウ)種子的来歴」です。 
    〔絵本のあらすじ〕
     穀物のない国の勇敢で心の優しい王子が、美しくて思いやりのある娘ゴマンの愛によって救われ、苦難の旅を乗り越え麦のタネを手に入れるまでを描く、壮大な冒険物語です。犬になった王子の姿は、気高くもかわいらしいです。宮崎駿「シュナの旅」(徳間書店)(のちにスタジオジブリのアニメ映画「ゲド戦記」の原案となる。)の原話にもなった名作を初絵本化。チベット族(チベット・中国四川省)の民話。 
     日本画家・絵本画家 後藤 仁

  • チベットの人々の主食の材料となる大麦の来歴を語る民話。
    チベット プラ国のアチョ王子は、民を救うため、穀物の種を求めて苦難の旅に出る。蛇王の洞穴でやっと種を手に入れるが、見つかって、犬の姿にされてしまう。それでも王子は果敢に種を国に運び、心優しい娘ゴマンの愛の力で元の姿にもどり、2人は結ばれ、国は豊かになる。

    ストーリーに起伏があって面白く、君島久子氏の文章が味わい深いのは、この本の大きな魅力だが、私は、何と言っても日本画家後藤仁氏の画に惹かれる。凜々しい王子、清楚で美しいゴマン。丹念に描き込まれたチベットの風俗・自然。どのページも、そのままずっと眺めていたい美しさである。
    このような本格的な美しい日本画を、絵本の画として味わうことができるのは、子どもたちにとって幸せなことだと思う。この画の魅力が、やがて、チベットの人々や文化への、親しみや敬愛の気持ちを育てていくのではないだろうか。

    昨年3月、後藤氏の画による「ながいかみのむすめ チャンファメイ」(福音館書店 こどものとも684号)を書店で見て、目が釘付けになった。こんなに早く、氏の次の作品を手にすることができて、嬉しい。

  • チベットの民話。
    絵が斬新ですが、君島久子さんの文章が鉄板なので、うまく融和されていたように思います。
    穀物の種は、昔とても貴重だったのでしょうね。

  • 2014.1.5

    【経緯】
    図書館。

    【書き出し】
    大むかし。チベットのプラ国に、ゆうかんで、こころのやさしいアチョという王子がいました。

    【感想】
    •小学生のときの国語でスーホーの白い馬を読んだときの気持ちになった。
    •王子が男らしくていいな!
    •チベット民謡いいな!
    •踊りながら意中の殿方に果物を投げるって難しそう
    •選ばれなかったからって犬に投げたゴマンを笑った男の器の小ささ!
    •ごまんを引き立たせるためとはいえゾタンとハムツォの表情の描写がちょっと酷い

  • チベットの民話。
    物語と絵の世界観がマッチしていて素敵でした。
    読む前は王子が犬になったままで終わるのかとドキドキしましたが
    ラストは物語にふさわしいハッピーエンドで楽しめました。

  • 図書館で子どもと借りる本を探していて挿画のあまりの美男美女っぷりにふらふらと手に取りました。日本画の方なんですね。

    他の方のレビューで「シュナの旅」の原話、との記述を見て驚き。気づかなかった!

  • 勇敢で心優しいアチョ王子は、国のために、おいしい穀物がなるという種を手に入れるため、九十九の山を越え、最後にはたった一人、蛇王から種を奪うも、犬にされてしまう。
    ここまででもじゅうぶんドラマチックな展開だけども、ここからさらに、ピンチの最中、山の神からもらった玉をのみ、犬になってしまう。。

    とっても美しい、恋の物語でした。

  • プラ国の、ゆうかんでこころやさしいアチョ王子が、おいしいこくもつのタネを手に入れるため、旅にでました。しかし、いいつたえどおり山の神リウダに会うものの、リウダではなく蛇王がタネをもっているとおしえてもらいます。蛇王は人間にタネをぜったいにわたさない、それどころか、やってきた人間を犬にかえて食べてしまうようです。はたして、アチョ王子は蛇王からタネを手に入れることができるでしょうか──?
    原題は『青稞種子的来歴』。1964年に君島久子さんが本作を含めチベットの民話を翻訳(『白いりゅう黒いりゅう』)、そんな君島さんの作品に幼い頃から親しんでいた後藤仁さんが絵本化したもの。お二人の後書きで、チベット文学史で本作は有名な作品であること、宮崎駿さんの『シュナの旅』の原話は本作であることを知りました。アチョ王子は国を豊かにしただけでなく、綺麗な花嫁さんも手に入れて羨ましい(笑)どちらも優しく美人でお似合いですね。お気に入りは、王子がひとにぎりの大麦のタネを手に入れるところ。背景の色使いと王子のアップの顔に迫力があって良い。

  • ★★★★★
    今年のイケメン枠です。
    チベットに伝わる民話が絵本に。
    民のために穀物を求める危険な旅にでかけた王子。
    種は手にいれたものの呪いをかけられ・・
    読後もしっかりしたお話を読んだなあという満足感。
    (まっきー)

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