せいめいのれきし 改訂版

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作品紹介・あらすじ

地球上にせいめいがうまれたときから、いままでのおはなし。地質時代区分の年代、進化の歴史や気候変動についての説、生物の名前(学名)などなど…アメリカで刊行されたUpdated Editionを元に、日本語版独自の改訂を加えた。

感想・レビュー・書評

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  • 何を今更の世界的ロングセラーの名作。
    子どもの頃この本に夢中になったひともさぞ多いかと。
    1964年初版だが、2015年の改訂版の方をブク友さんにお薦めされじっくり読んでみた。
    うん、いつ読んでも素晴らしい。

    タイトルから何となく想像出来てしまうだろうが、プロローグは銀河系が出来る頃から。
    「考えられないほど大昔、太陽が生まれました」で、始まる。
    見開きの左側にテキスト。石井桃子さんの訳がとても分かりやすい。
    右側の挿絵は舞台仕立てになっている。
    暗紅色のカーテンを開け、舞台の袖に立つ人物が銀河系の大スクリーンの前で講義をする。
    この人物のサイズが、登場する動植物のサイズとの比較になる。

    全5幕で、1幕目は「古生代」、以下「中生代」「新生代」「にんげんの時代」「現代のひとびとの生活」と続く。
    今でこそ人間が地球上にあふれているが、「三葉虫」が主役の時代もあれば「頭足類」が主役のときもあり、「両生類」が主役のときもあった。植物にしても同じ。
    地球上にはこんなにも多くの生物が生存してきたということに、あらためて驚く。
    「せいめいのれきし」という視点で見ると、人間はまだまだ新参者なのだ。

    日頃は考えることもない不思議な古代生物も、進化という点で繋がっている。
    はるか太古の昔から、今日、そして明日へと続く歴史。
    5幕の終わりに描かれた新月の空と夜空の美しさに、神秘を感じてしまう。
    この空を、どうしたら守れるのだろう。
    バートンも石井桃子さんもそう思ったかもしれない。

    冥王星を惑星から外し、恐竜絶滅の原因が隕石衝突であったとの記述が追加されたのが、この改訂版。難しい言葉もあるが総ルビ付きだし、ぜひおうちで一緒に読んでみてね。
    未来へのバトンを託される最後まで読むと、感動が押し寄せてくる。
    決して小さな子向けではないのに、不思議に子どもの心をとらえる本。

    バートンが8年もかけて書き上げたという本書は、絵本らしく「起きたこと」だけを記述してあり、そこがいっそう好感を呼ぶ。
    「ちいさいおうち」を書いた人と言えば分かりやすいかな。
    詩情豊かな絵が、悠久の時へと誘ってくれる。プレゼントにも最適の一冊。

    ということで、今年もどうぞよろしくお願いします。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      良い話。きっと姪っ子さんは、喜んでくださるでしょうね!

      「これからも描き続けられるといいなと思っています。」とあったの...
      nejidonさん
      良い話。きっと姪っ子さんは、喜んでくださるでしょうね!

      「これからも描き続けられるといいなと思っています。」とあったので、次の改訂版も翻訳されと良いですね、、、

      ポーランド発の大判絵本「マップス 新・世界図絵」 興味と好奇心の引かれるままに、旅をさせてくれる|好書好日
      https://book.asahi.com/article/12801962
      2021/01/03
    • nejidonさん
      猫丸さん。
      そのように言っていただけてとても嬉しいです!
      11月の半ばに贈ったものを、クリスマスまで開封しないで待ったらしいです。
      開...
      猫丸さん。
      そのように言っていただけてとても嬉しいです!
      11月の半ばに贈ったものを、クリスマスまで開封しないで待ったらしいです。
      開けてみて大興奮で、毎日1頁ずつ家族団らんの時間にみんなで見ているそうです。
      泣けました。
      リンク、ありがとうございます!
      とても良い記事でした♪
      ポーランド発の素敵な地図が、これからも描き続けられますように。
      2021/01/04
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      猫まで、律儀さに微笑ましく感じましたヨ。
      nejidonさん
      猫まで、律儀さに微笑ましく感じましたヨ。
      2021/01/05
  • 初バージニア・リー・バートン。

    イエローの表紙に細かくぎっしりと描かれた古代から現代のすべての生物たちが愛おしく感じられる、そんな絵本。

    地球の歴史が舞台のようにプロローグから1幕1場、2場と順々に紹介されていく。

    果てしなく広い宇宙での太陽の誕生、そして地球が生まれ、まるで大スペクタクル映画のような時代を経て、最初の生命が誕生。わたしたち人類が生きている現代までを、優しいのに迫力のあるタッチの絵で描かれている。

    ここから先は読んだことのない人には、なんのこっちゃ、かもしれません。

    先日こんなことがありました。
    スーパーで買い物をしていたところ、後ろ姿の、真っ赤な振袖の装いの女性がいた。
    私服のお友達と談笑をしている。
    それをじっと見る二つの目。
    三歳くらいの女の子が振袖姿の女性を見つめていた。
    いつまでも見つめる女の子。
    隣にいた母親らしき女性が言う。
    「○○ちゃんも大きくなったら着るんだよ。」

    、、、ああ、そうか。こうやってリボンのくさりの「わ」はつながれてゆくのか。今日成人した女性がいて、はじめて着物を見る女の子がいて、成人を楽しみにするその子のお母さんがいて。

    地球にある、ちっちゃい国の、ちっちゃな町の、割と大きなスーパーで、地球の『せいめいのれきし』のいままで途切れることのなかったリボンの先端を見た気がしました。

    この絵本の終幕が好きです。
    夢中になって本を読んで、ふと気付けば朝。
    窓の外はいつもと同じだけどいつもと同じじゃない。
    本の中を旅して、戻ったとき、いつもの日常が違って見える。
    そんな本です。
    ロングセラーなのも頷けます。

    最後に。
    裏表紙の太陽が私にはみのもんたさんの満面の笑みに見える。
    妙にリアルに見えるんですよね。こんな顔見たことある、と思うような。モデルがいたのかな、、、もしかして、旦那さん!?キャー!と、確かめようもないことを考えるのだった、、、。

    • nejidonさん
      5552さん(^^♪
      わぁぁぁ!なんて素敵なレビューなんでしょ!
      こういうの、私にはとても書けません。
      同じ本を読んでもみんな受け止め...
      5552さん(^^♪
      わぁぁぁ!なんて素敵なレビューなんでしょ!
      こういうの、私にはとても書けません。
      同じ本を読んでもみんな受け止め方も表現も違うのがとても楽しいです♪
      リボンのこととか、ラストの旦那さんのこととか、ロマンチックじゃないですか。
      いいなぁ、私また読み返したくなりましたよ。
      2021/01/12
    • 5552さん
      nejidonさん、こんばんは!

      感想後半、ほぼ妄想ですね!(笑)
      バートンさん、天国かどこかで呆れてるかもしれませんね。
      でも、...
      nejidonさん、こんばんは!

      感想後半、ほぼ妄想ですね!(笑)
      バートンさん、天国かどこかで呆れてるかもしれませんね。
      でも、そう感じた事は事実なのでそのまま書いちゃいました。
      nejidonさん、あたたかなコメントありがとうございました☆

      2021/01/12
  • 皆さまのレビュー拝見し、ぜひ読んでみたいと思った1冊

    イラストがとても素敵!
    優しい色使いと細かく緻密な模様
    センスが良いのだが、それ以上に優しさと温かさがにじんで居心地が良い

    劇場(舞台)のような仕掛で、「幕」、「場」という単位で進行する

    地球が生まれたときから…がはじまり
    例えば地球の大きさなんか
    「惑星のひとつで……そのなかで、いちばん大きくもなく、いちばん小さくもありませんが…」
    とある
    なんだか親しみを感じて一気にリラックスモードへ

    詳しいことはわかんないけど
    地球が若かったころは真っ赤な溶岩の海に覆われてたんだ〜
    それから雨が降って山を削って川ができて…
    地球が冷やされていった
    ふむふむ
    イラストがその時の変化や流れを描いてくれるので視覚的によくわかる

    そんな感じで植物や動物、人間が舞台に登場し
    その舞台はなんだか過酷な自然界の歴史のはずなんだけど、素敵な色彩がのんびり平和で楽しそうにみえる
    不思議だなぁ

    そして最後に我々の現代へ時代が移りゆく
    季節の変化、月の満ち欠け、1日の終わり・はじまり…
    「いますぎていく1秒1秒が、はてしない時のくさりの、あたらしい「わ」となる…」

    こういうの読むと
    私たちは自然の中の一部に過ぎなくって
    「私」という個は良い意味で「個」が消えていく…
    だからどこに居ようが誰といようが、悩もうが楽しもうが
    ただただ地球の、宇宙のかけらとしてら漂っている
    限定的な場所なんかなくて、自然界に動物や植物や細菌や空気や惑星や星屑や…さらには分子や原子みたいにただ存在しているのだ

    だから怖いことも、孤独も、死さえも
    あらゆる出来事や感情がただの記号みたいな感じがしてくる
    また漂いながらどこかに辿り着いて…
    きっとそうやって繰り返されるのだろうなぁ
    な~んて考えだすと
    不思議だけどなんだか悪くないなぁ
    みんな平等で平和に共存していくのだ
    そーよね
    「せいめいのれきし」
    ってそーゆーことだよね うんうん

    そんなおおらかにゆったりとした気持ちになる絵本であった

  • 皆様 素晴らしいレビューを、書かれているので、感想を、少しだけ…。
    バージニア・リー・バートン。文章も素晴らしいが、絵がとても好きです。特に、恐竜、首長竜類、バシロサウルス(クジラのそせん)の体のライン(しっぽ?、尾ヒレが長〜い!)など、たまりません! ああ!素敵です!!


  • 大ロングセラー絵本が進化した!『せいめいのれきし 改訂版』 - HONZ
    https://honz.jp/articles/-/41640

    ↓ まなべまことさんインタビュー
    せいめいのれきし 改訂版 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b254672.html

  • 先日「生命と地球の歴史」(丸山茂徳・磯崎行雄著)を読んだが、知らない分野の専門用語に、少々ストレスを感じながら読んでいた。そして読後のレビューを書き終えたときに、フォローさせて頂いている数名の皆さまの書棚から本書を見つけ、「これはわかりやすそう!」とのインスピレーションから、読ませて頂きました。

    ふだん絵本を読む習慣がない私ですが、とても楽しめました。絵本と図鑑をミックスしたような造りで、どちらの意味でも楽しめました。

    あの丸山先生の本を、もっともシンプルにまとめたらこうなるのでしょうが、文字ばかりで少々専門的な説明を聞くよりも、様々な工夫が施された紙面のステージでバートンさんの説明を聞く方が数倍楽しめますね。

    本書は古典に分類される絵本なのですね。内容がリニューアルされているとはいえ、それ以外の部分もまったく古さは感じません。古典というのは必ずしも「古い」という意味ではないんでしょうね。

    内容的にも、かなり緻密に正確な情報が詰まっていて、いろんな角度から楽しめるように思います。

    図書館で借りた本には、「5年 教科書」とシールが貼られていました。5年生の教室で、これを教科書として使うなら、たぶん1ページだけで1時限の授業が時間切れになってしまうのではないでしょうか(笑)。

    • りまのさん
      abba_rainbowさん
      こんばんは。フォロー頂き、どうもありがとうございます。こんな夜中に、ごめんなさい。どうぞよろしくお願いいたしま...
      abba_rainbowさん
      こんばんは。フォロー頂き、どうもありがとうございます。こんな夜中に、ごめんなさい。どうぞよろしくお願いいたします。
      りまの
      2021/02/26
    • abba-rainbowさん
      りまのさん、こんにちは。こちらこそ、フォロー頂き、たくさん「いいね!」をくださりありとうございます(^^)。

      夜中にいろいろと思いを巡...
      りまのさん、こんにちは。こちらこそ、フォロー頂き、たくさん「いいね!」をくださりありとうございます(^^)。

      夜中にいろいろと思いを巡らしながら読書する時間、私も好きです。眠気と体力との勝負ですが(笑)。よろしくお願いします。
      2021/02/26
  • 命が繋がっている。宇宙の、その中にある小さな銀河系の、そのまた小さな太陽系の、地球という星で、ものすごく長い時間を経て、私たちが存在する。
    あ、ホントに繋がっているなぁと感じることが出来る絵本です。

    久しぶりに、読み聞かせました。少し長いけど、読み聞かせると、よりこの絵本の良さがわかるような気がします。

    子どもの視点は面白い。最後の博物館のページの一番上の屋根裏部屋のようなところに目を付けて、あ、「へんなものみっけ」(博物館を舞台にした漫画)だ、と。

  • バージニア・リー・バートンによる古典的絵本。

    地球上に生命が生まれたときから今までのおはなしを美しい絵とともに語っていきます。
    5幕の劇仕立てになっているのが楽しいところ。
    プロローグは宇宙の始まりから。
    第1幕は古生代。
    第2幕は中生代。
    第3幕は新生代。
    第4幕はにんげんの時代。
    第5幕は現代のひとびとの生活。
    そしてエピローグ。

    各幕は4~8の場で構成され、その時代の大きな出来事を紹介します。
    各場は見開きで、右に時代を象徴する1枚の絵、左に挿絵入りの説明文が入ります。

    バートンはこの作品に8年もの時間を掛けたといいます。
    子どもたちが歴史の流れを楽しく学べるように、よく考えられた構成だと思います。

    おもしろいのは、宇宙の始まりから現代に近づくにつれて、時間の単位が短くなっていくのですね。説明文には、何年前から何年前までというタイムスケールも書き加えられており、連綿と続く流れを感じるところができる点も工夫されています。
    宇宙はずいぶん前に生まれて、生命が生まれたのはそれに比べると最近のことだけれど、ヒトが生まれたのはさらにごくごく最近のことなのだ、と感じられます。
    数十億年、数億年、数千万年、数万年、100年、1年、1か月、1週間、1日、1時間、1分、1秒。
    実感できないほどの長い時間から、私たちが暮らすタイムスパンまで。
    歴史の流れの中で、私たち自身の生は一瞬だけれども、過去から続く現在を生き、それを未来につないでいく、そんな存在でもあります。
    そうした大きな視点から、自分の生を大切に、そして他者の生も大切に、といった深い思いが感じられるようにも思います。

    バートンが本書を完成させたのは1962年のこと。
    それから長い年月が経ち、新たな知見も得られました。
    原書では2009年に改訂版が出ており、本書は2015年に出た邦訳改訂版になります。
    バートンは1968年に亡くなっています。絵については手を加えることは難しいでしょうし、おそらくは説明部分に多少改変があったのではないかと思います。邦訳版では古生物学者の真鍋真さんが監修に携わっています。

  • 「ちいさいおうち」の作者の絵本。
    大人が読んでもへえ〜となる。
    人間の歴史は、地球上のせいめいの歴史に比べたら、ほんの最近のことなんだな、と。

  • デザイン、コンセプトがよい。本棚にあると、素敵な雰囲気になります。
    ただ、長く、情緒的文章も多いため、小学校高学年以上でないと理解は難しいと思います。子どもへの学習効果を期待するならば、図鑑を選択した方がよいと私は思います。

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著者プロフィール

1909年アメリカのマサチューセッツ州ニュートンセンター生まれ。父はマサチューセッツ工業大学の学監、母はイギリス生まれの詩人で音楽家。バートンはカリフォルニアの美術大学で絵の勉強をするかたわらバレーも学び、1931年にボストンで絵の教えをうけた彫刻家ジョージ・ディミトリオスと結婚。以後、海べの小さな村フォリー・コーヴに住み、画家として、デザイナーとして、また絵本作家として活躍。
最初の絵本『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』は、長男アーリスのため、第二作『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』は次男マイケルのために描かれたもの。その他主な作品に『ちいさいおうち』『せいめいのれきし』『名馬キャリコ』(以上、岩波書店)、『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』(福音館書店)ほか多数。

「2022年 『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー KATY AND THE BIG SNOW』 で使われていた紹介文から引用しています。」

バージニア・リー・バートンの作品

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