シャクルトンの大漂流

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  • Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001112603

作品紹介・あらすじ

十七か月にもおよぶ極限の旅…救命ボートで嵐の海を千数百キロ…極地の山岳地帯を三十六時間で踏破…絶望の淵にあって、決して希望を捨てなかった男たちの物語。デビュー作にして、ケイト・グリーナウェイ賞史上最年少受賞作!

感想・レビュー・書評

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  • やさしく細かい絵、ファンタジー?なんて考えながら頁をめくっていたら、なんとノンフィクション!?
    南極横断探検隊の過酷な挑戦を語る。
    ふんわりしたイラストからは予想できない衝撃の展開。
    準備の品々や緊急時に持ち出したものなど、細かい描写に、自分が漂流したときの参考になるかも、とつい真剣に見入る。
    窮地に追い込まれて、士気が下がる中、隊長のシャクルトンと副隊長のワイルドの前向きな姿が素敵。

    カタカナの名前に苦戦して音読をしていたS12。
    途中から夢中になって読み進める。
    「うわ、これ、すげー考えたね。ってこっちでも同じこと考えてるじゃん」
    「出発前に誰が隊から外れたか調べてみる」と読み返す。
    「10人、名前がでてこねー。」

  •  エンデュアランス号のノンフィクション絵本版。抽象化された絵ではあるが、隊員全員や探検道具、犬たちが絵付きで紹介されいておもしろい。写真に残されていない海上シーンなども描かれていて想像力を刺激される。
     この本で初めて知ることも少なからずあった。エレファント島でマクリンとオーデリーの決闘騒ぎがあったことや犬たちの名前、ハーレーがどうやって写真を撮っていたか等である。エンデュアランス号について書く際に著者たちはそれぞれに取材し、分かったことを取捨選択して本にまとめているのだから、ファンとしては手に入るものすべてに読む価値があると思う。

  •  この物語は、1914~1917年、南極の流氷帯で船が沈没したけれど、探険隊の全員が無事に生還した実話を描いた絵本です。

     アーネスト・シャクルトンはイギリスの探険家。この話の前にはノルウェーのアムンセンの探険隊がスコットの探険隊に先駆けて南極点に到達していた。
     シャクルトンは次の冒険として南極大陸を横断する探険隊を結成する。自信が隊長となり、船や隊員たちなどの準備を進め、いざ南極に向けて出港。
     だが、流氷帯に入り、身動きもできないまま人々は船から出て宿営地を作る。間もなく船は流氷に押し潰され沈没。
     隊員たちは、アザラシやペンギンなどを狩って命を繋ぎながら、帰還の道を進む。

     大変厳しい状況の中、希望を失わずシャクルトン隊長や隊員たちが南極の氷山を歩き続けたり、脱出用のボートで航海したり、とんでもない冒険となっている。また、作者の絵が、クレヨンパステルのような柔らかくて可愛い絵なのに、南極の荒々しさや厳しさが描かれています。

     子どもが冒険の物語として読んでもいいと思いますし、それが実話だったのだと知るとまた別の感情が湧いてくるように思います。

  • じっくり読みごたえのある絵本。隊員の募集に5000人も応募があって、そのなかから26人選抜なんて、めっちゃ狭き門やん!(密航者もひとりいたのね(笑)) ていうか、けっこう少ない人数だったんだなとおどろいた。でも、そういう少数精鋭だったから乗り切れたんでしょうね。

    隊員の名前や犬の名前までていねいにつらねていくことが、あとあと状況がきびしくなってきたときに刺さってくる。隊長のシャクルトンがひたすら有名だけど、隊を割って救助を要請にいくチームと居残りのチームにわけたとき、残留組をひきいたワイルド副隊長もすごく有能だったんじゃないかな。

    あと、ものすごくきびしい状況のなかでも、犬ぞりレースをしたり音楽会をひらいたり、詩を朗読したり、食事に気を遣ったりという人間的な度量というか、ユーモアを忘れないのがすばらしい。だからページをめくっていてもどこか明るさが漂っているんですよね。状況はまっ暗でも現代の「ブラック企業」なんかよりはるかに人間的。このあたりが、エンデュアランス号の物語が求め続けられるゆえんではないかと感じた。

  • 南極大陸横断に挑むも果たせず、極寒の地での漂流から無事生還を果たしたシャクルトン探検隊について描いた大型絵本。
    ふんわりした絵柄で隊員の一人一人、犬たち、エンデュアランス号の設計、調達された物資などがこまごまと描かれているかと思えば、見開きページを使って大自然の驚異をダイナミックに描いているギャップが魅力。
    どんな状況においても、メンバーの士気や精神状態を良好に保っておくことはやはり大切なことなのだなあ。

  • 南極を目指したアーネスト・シャクルトンの実話
    探検の詳細をわかりやすく絵本にして解説

    23回日本絵本賞翻訳絵本賞

  • 20世紀初頭、GPSも携帯もない時代。南極をめざして出航したエンデュアランス号は、巨大な流氷にはばまれて座礁してしまう。だが、氷上にとりのこされた28人の乗組員たちは、決してあきらめなかった。実話にもとづく、とほうもない勇気と冒険の物語。デビュー作にして、ケイト・グリーナウェイ賞史上最年少受賞作。

  • 何回読んでも感動するわ、常に明るかったと❗️

  • [墨田区図書館]

    図書館で立ち読み。
    不勉強な私は彼の名前を知らず、この本で初めて知った。

    何も知らない現代人が読むと、「結局南極大陸横断どころか全然踏破できなかったんじゃん」と思ってしまいそうだが、今の技術や物資でさえ、極寒の地を、しかも命綱となる船を失った氷上生活で生き抜くのはとてもすごいことだというのはわかる。後で調べてみると案の定、様々な映画などにされている伝説の人となっていた。もちろん先人達の建てた小屋があったからなど、ラッキーな要素も多々あるとは思うし、この人による工夫やリーダーシップもあるとは思うが、「全員無事帰還」というのはとてつもなくすごいことだな。

  • 人は常に冒険をし続けなくてはならない。それが失敗に終わったとしても挑戦することが重要だ。

    そんな気持ちにさせた本。

  • ・シャクルトンは南極大陸横断を志しなしとげることはかなわなかったが苛酷な自然と闘いつつなんとか全員生還したその不屈の挑戦を描く絵本。
    ・この旅路は失敗なのか、成功なのか。ラストのひと言は負け惜しみかそれとも真実か。

  • 南極大陸横断を目指したシャクルトン号の男たち、犬たちは、想像をはるかに超える試練に向かう。しかし、さらに驚かされるのは、彼らの精神の健やかさと笑顔だ。

  • ☆南極大陸横断を目指して

  • かなり詳細な情報がある。持ち物、隊員の名前と特徴、犬の名前、船の設備、副隊の状況などが書き込まれていて、読み込みたくなる一冊。

  • 冒険家!!!

  • 「エンデュアランス号大漂流」を読んだ時は、もっと怖く感じたけど
    色鉛筆のイラストが入って絵本になるとわくわく感が増して
    冒険が楽しめる感じがします
    子どもたちにぴったりですね

    帯に石川直樹さんのコメントが入っているのも嬉しかったです
    彼ってこれからの人たちの指針になるような冒険家だと思うんですよね

  • 色鉛筆の絵が冒険の過酷さをやわらげていて、物語の理解を助けています。一人ひとりの苦悩や辛さは計り知れないものがあると思いますが、事実が淡々と描かれているので、読み進めることができました。辛い時ほど、美味しい料理や楽しみを感じる出来事が大切だと思いました。

  • 2016年に出版された絵本の勉強のために、借りてよんだ。

    1914年8月8日、アーネスト・シャクルトンと隊員たちは、南極大陸横断の探検へと乗りだした。
    2015年度ケイト・グリーナウェイ賞受賞。

    100周年だから出版されたんですね。
    色鉛筆の絵はすてきです。
    でも、私にはそれ以外の良さはわからなくて残念。
    出帆するところまでは わくわくしてページをめくっていたけれど、南極についてからは脱出のことしかなかった気がする。
    自然の厳しさ、無事生還できたことの強さ、を讃える本ということなのでしょうか。
    インクのにおいも苦手。

  • とにかく絵がキレイ。
    シャクルトンの冒険にも、ハラハラドキドキさせられた。
    自分がこの隊員だったら、絶対に生きて帰れないと絶望しただろう。シャクルトンはじめ、隊員たちの精神力の強さに驚かされた。
    あまりにもキレイに描かれているが、いろいろドラマがあったことと思う。そういう点が描かれていない点が少し物足りなかったので、星4つ。

  • この物語でどうしても考えてしまうのは犬たちのことですね。
    人間が生きるために、命がけで一生懸命働いて、働いて、だけども最後はやはり人間が生きるためにために、その人間の手によって殺されてしまった犬たち。
    人間が全員無事に帰ってきたその裏で、そのために死んで行った犬たちのことが想われます。

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著者プロフィール

イギリスの絵本作家。『シャクルトンの大漂流』で、2015年、史上最年少(25歳)でケイト・グリーナウェイ賞を受賞。つづく『カランポーのオオカミ王』で、2017年度ボローニャ・ラガッツィ賞最優秀賞を受賞。「エレファント・ビル」と呼ばれたイギリス人の本を読んで、ミャンマーのゾウとゾウ使いの世界に魅せられ、現地での取材を経て本作を執筆した。

「2022年 『バンドゥーラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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