- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001120097
感想・レビュー・書評
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全体を通して友情や愛情の素晴らしさを説いた良書。特に母を訪ねて三千里は愛する家族(ここでは母親)のためならどんな困難や試練も乗り越えられることを主題にしているので教科書に掲載してほしいぐらいです。
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統一国家となって間もないイタリアの、国民精神や愛国の意識を子供たちのあいだに行き渡らせようという強い熱気が伝わってくるような内容。逆に、そのことを意識しなければ、なんだか押しつけがましい話だと感じられそうだ(エンリーコに対する、彼の両親や姉の態度にそれを感じる)。それでも無私の愛に満ちた各エピソードには胸を打たれる部分も多い。下巻にて、病気から快復したエンリーコが袖に炭の粉がついていることの意味に気づいて嬉しくなるという場面が、優しさにあふれていてとても好きだ。
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基本的に、「可哀想」とか、「同情されるべき人たち」という視点が見える。
貧しい人とか、障害のある人とか。
そうでない人は、それらの人たちに施しをすべきだという発想。
その行為自体は別段悪くない事なんですけど、見方によってはそれが上から目線と感じられてしまう。
同じ人間なのに、同じ人間ではないように。
なぜ主人公はくる病の子たちと遊んではいけないのか、会ってはいけないのか。
くる病の子たちに劣等感を抱かせると考えている時点で、彼らを下に見ているということになる。
ただ、これがこの作品の欠点というつもりはない。
そういう時代に書かれたのだということ。
大事なのは、今の視点でこの作品を読むときに、今の読者がそこをどう感じるのかということだと思う。 -
読むのに時間がかかってしまった。
子どもの本だと侮っていたが、物語のテーマが「徳」や「孝」にあたるものがあり、その強さに圧倒され、施しの気持ちや教師の生徒へ対する「わたしを忘れないで」とか、あんなに働きづめで貧しくて家にはなにもなくてかわいそうな老先生という風な描かれ方に「うーむ・・・」と。
自分の持っているものは貧しい人に与えるのも、自分の体験上、けっこう難しい。ボランティアの精神もなかなか偏っている世の中だから、すんなり受け取ってもらえるストーリーに首をかしげる点もある。
それでも数々のエピソードに涙。 解説を読み、日本が明治時代に入った頃、イタリアも統一の夢を掲げ戦っていたからこその祖国愛や上下関係を思うと納得した。
イタリアは半島の名称であって国ではないとなると、イタリア人のプライドは大きく憤ったと思うし、愛情も深いに違いない。
日本人がいう「お国のために命をささげる」のとこの本に書かれてるそれは本質的に違うようだ。この本から読み取れる祖国への愛は自分の心から発生してるもので、日本のそれは上から、悪く言うと強制的に与えられていたように思う。戦後の民主主義もそうだ。だとしたら、本当の愛国心を知らないなぁ、日本人と思った。 -
「母を訪ねて三千里」が入ってる。
時代背景を知って読まないと誤解しそうな表現もあるけど
いつ読んでも背筋がまっすぐになる本。 -
う~ん、いい話だぁ! 確かに説教臭いと言えば説教臭いし、現代感覚からすると冗長に感じられるところもないわけじゃないけれど、それでもこの本の説教は KiKi には鼻につかないんですよね~。 それは根底に「人に対する尊敬」だとか「親子の間に流れる愛情(それもベタベタしたものではない)」だとか「自分を育ててくれた人・国に対する感謝」だとか、ちょっと眩しすぎるけれどそれでも可能であればそういう気持ちを自分も持ちたいと思わせてくれる、人間の根源にある「社会性への指向」みたいな部分の一番ピュアな形が描かれているからなんじゃないかしら。 「国のため、家族のために尽くす」というテーマのエピソードが数多く収められていて、「愛国心が希薄だ」という自覚がある KiKi にとっては、それが鬱陶しく感じられても不思議じゃないと思うんだけど、何故かこの物語だと突っ込みも忘れて「うんうん」と頷いちゃったりして、逆に自分を恥ずかしく思っちゃったりもするんですよ(苦笑)。
(全文はブログにて)